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智紀

夢また夢

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その日の夜も。
ヴァルラムにエッチなイタズラをされる夢を見てしまった。


お仕置きだ、とか言われて。
散々焦らされた挙句、後ろから、ケダモノみたいに犯される夢。

それもまた、気持ち良くて。

僕はあの、美しい王に。
無意識化で、こうされたいと願っているのだろうか?


「……中に出すぞ?」
耳朶を甘噛みされながら、甘い声で囁かれ。

ヴァルラムの性器が、中で異様に膨れていくのを感じて。


意識が、深く沈んでいく。


*****


「ん、」
何か、お尻に違和感が。

「動くな。まだ全部注ぎ終わってない」
この声。

腰に回された手。
これは。

「え、ヴァルラ、……あっ、あう、」
ぐい、と腰を押し付けられて。

お腹の中、くぷくぷいってる。

これ、まさか。精液、なのか?
いやいや、こんな大量に、出る訳がないだろう。


……まだ、夢の中だというのか。

夢の中で目が覚めたら、それも夢とか。
ただでさえ、夢のような世界だというのに。

起きたら混乱してしまいそうだ、と思った。


「智紀はもう、私のものだ。皆にもそれがわかるよう、身体の奥の奥まで、私のを刻みつけてやろう」
後ろから、首を齧りながら、ぐいぐい腰を押し付けてくる。

拘束はされていなかったので、後ろに手を回して、結合部分に触れてみたら。
ヴァルラムの性器が、異様に膨らんでいるように感じた。

……犬族だから。
射精時に瘤ができて、射精し終わるまで抜けなくなるようになる感じか。

獣人だからといって、無意識に何というエロい設定を追加してしまったのだ。

僕の脳内、一体どうなっているのか。
そんな発想ができるなんて。自分で自分が信じられない。


*****


「ん、」

夢なのに。いや、夢だからか。
めちゃくちゃ気持ち良い。

精液で、お腹いっぱいにされて。
腰を動かすと、それが溢れてきそうになってしまう。

一回の射精で、こんなたぷたぷになるまで精液が出るわけがないので、これは夢に決まっている。


……夢なら。
愉しんでしまえばいいか。

自分でも、腰を揺すってみる。


「ん、……い、きもちい、」
「ふ、気持ち良いのか? じっくり慣らしてやった甲斐もあるというものだ。素直なそなたも可愛いぞ。……そら、蕩けた顔を見せるがよい」

「やぁう、」
片足を持ち上げられて、身体を引っくり返されて。

ヴァルラムの見事な裸体が視界に入った。
引き締まった身体。

ああ、王様をこんなエッチな夢に出演させてしまって、本当にごめんなさい。

などと思いながらも。
つい、その身体に手を伸ばしてしまう。

しっかりした筋肉がついている。

惚れ惚れするほど、いい身体だ。デッサンしたい。
見せるための筋肉ではなく、無駄の無い、しなやかな肉食獣の四肢。

いい身体っぽいのは服の上からもわかっていたが。こんなリアルに服の中身を妄想して再現してしまうとは。
我ながら、とんでもない妄想力である。


*****


「智紀、」
抱き寄せられて。

愛おしそうに、キスされてしまう。

うわあ。
こんな夢見ちゃって、ごめんなさい!

でも、夢なんて自分で自由に見られるわけじゃないし、仕方ないよね! などと自分に言い訳をしてみたり。


ぬる、と舌が入って来て。

ああ、あのナメクジ、この舌だったんだなあ、と思った。
一つの繋がった、同じ夢だったのか。珍しい夢もあるものだ。


「そなたの身も心も。全て私の物だ。そうだな?」
問われて。

つい、頷いてしまった。
それを見たヴァルラムは、嬉しそうに笑った。


「では、正式に私のツガイにするぞ。……いいな?」
……ツガイ?

よくわからないが、頷いた。

「よしよし、私の上に乗るが良い、」
そう言って、仰向けになったヴァルラムに貫かれながら、腰を揺すられる。


自分でいいように腰を振れ、と命じられても。

無理だ。
入ってるだけでもう、気持ち良過ぎて。全身から力が抜けてしまう。


「これは絶景。……ん? 自分では動けないのか? 仕方の無いやつだ。……そら、快楽に啼くがよい」
強靭な腰のバネを使い、下から容赦なくガツガツ叩きつけられる。

「ひ、……あっ、やぁ、あん、ああっ、」
突き上げられる度に、声が出てしまう。


気持ちよすぎても、涙が出るんだということを知った。
こっちに来てから、色々なことを知ったものだ。


これは、夢の中だけども。


*****


ああ、もふもふ天国……。

極上のもふもふに、頬ずりをしている感覚。
何これ、最高。

あたたかくて、すべすべで。
もふもふの毛皮。


……え、毛皮……!?

目を開けたら。
僕は白い犬……いや、銀色の大きな狼のお腹に顔を突っ込んで寝ていたのだった。

銀狼……?

これは、もしかして。
ヴァルラム!?


大きな狼は、長い睫毛の生えている瞼を開いて。

金の散った綺麗な緑の目を細めて。
僕の鼻に、鼻先を摺り寄せた。

それは、犬族の親愛のしるしである。
異世界でも、そういうのは同じなのだろうか? 

まだ生活習慣で特に違和感を抱いた覚えもないけれども。


ふさふさの尾は、嬉しそうに振られている。
ご機嫌だ。

「おはよう、智紀。良く眠れたか?」

……やっぱり、狼はヴァルラムだった。
銀狼は、ヴァルラムの美声で喋ったのである。

声帯はどうなっているのか。
魔法のある世界だ。細かいことを考えたら負けなのはわかっているが、気になる。


しかし。
何故僕は、王様であるヴァルラムと同衾をしていたのだろうか。

しかも、狼の姿で添い寝をされていたとは。
理由がわからない。


*****


「お、おはよう。……あ、あの、どうして狼の姿に……?」

「ん? 寝ぼけていて忘れたか? 智紀が、私のこの姿を見たいと言ったのだぞ。変化してみせたら大喜びで抱きついて、そのまま眠ってしまったのだ」


ええ……。
それは申し訳ない……。

全く記憶に無いけれども。


気にするな、というように。
ふさふさのしっぽで肩をぽふぽふされた。もふもふ気持ちいい。


ああ、確かにこの誘惑には勝てない。
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