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国王攻略
西の国王グリン・Ⅱ
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西の王は、剣に手を置いていた。
茶髪に緑色の目。頬に刀傷のある、ガタイのいい男前が、見えないはずの俺の位置をしっかり捉えてる。さすがだ。
西の国王、グリン。
国王レベル150。ウエポンマスター。マスターグラップラー、マスターストライカー。
ウエポンマスター……剣も槍も斧も弓も武器は全てマスタークラスか。グラップラーは主に組み技や寝技で、ストライカーは打撃系だ。武器だけじゃなく格闘も強い、ってわけか。すげえな。
確かにこりゃ、警備なんていらねえわ。かえって足手まといになる。
しかし、国王レベルが150って……。
国王として政治もちゃんとしろやと言いたい。
†††
魔法を解除し、姿を現してやる。
「む、……魔王、か。相手に不足なし」
グリンは剣を抜き、構えた。
隙のない構えだ。無駄に殺気を放ったりもしない。
こちらの見た目が弱そうでも油断もしない。強者の証だ。
こっちは構えもせず、まっすぐにグリンの前へ進んでいく。
斬りかかってくる刀をアーマーブレイクの魔法で粉々にすると、グリンは刀の破片で自身が傷付くのも構わず、素手で飛び掛ってきた。
「くっ……、ぐぅ、」
殴りかかる拳の骨を、手のひらで止めると同時に粉砕。蹴り上げる脛骨は、身体に当たる前に粉砕させた。
肉体強化の魔法をかけてあるので、当たったとしてもこちらはノーダメージだ。
「な……ん、だと……?」
驚愕するグリンに、にこっ、と笑ってみせて。
手刀で心臓をひと突きしたら、血飛沫を上げて、西の王は倒れた。
……とりあえず、仮死状態にした。
心臓までは貫かず、ショックを与えて停止させ、仮死状態にしているわけだ。
本来は殺す、って作戦だったが。
うっかり殺してしまわなくてよかった。実際に攻撃するのは初めてだもんな。手加減難しいよ。
いくら生き返るといっても、平和な現代日本生まれなんだぞ、俺。
文字でこそ、億単位殺したけど。
実際に人を殺すのも、傷つけるのも、嫌なんだよ。
リオンの策、えぐすぎる……。
†††
すぐさま停止した心臓に、回復を施す。
「……う……っ、」
気がついた。
次は、手と足の治療だ。まずは足だな。損傷が酷いほうが優先だ。
自分でやっといて何だが、痛そう。良心の痛みは、この際忘れておこう。
「蘇生……? それに、回復魔法だと……? しかも、痕跡も残さず……魔族……魔王が……?」
グリンは驚いてそれを見ている。
次は手の回復。
グリンはうっとりとした顔をした。
「なんと……あたたかい、気なのだ……慈母神のようで……」
何だ慈母神って。などと思いながら、そ知らぬ顔で。
吹っ飛ばした剣の破片で切った頬も、そっと撫でて治してやる。
「こんな、細くか弱い手で……? 信じられぬ……」
か弱くねーわ。日本人の標準だっつの。
「西の王、グリンよ。俺の配下になれ」
命じたら。
グリンは飛び起きて。
あっさりと跪いてみせた。
「……このグリン、すでに身も心も魔王様のものです」
さすがリオンの策だ。
俺にはこんな作戦思いつかねーわ。
名付けて、力こそ全て。徹底的にねじ伏せろ作戦。策士ー。
†††
取引内容も、命令形で言ったら。
「この私に、戦うなと……? 魔族と……和平を結ぶなどと……くぅっ、何という戒めか……!」
グリンは悶えながらも了承した。
何で苦悶しつつ嬉しそうなんだよテメー……。スレイやどっかのアレに似たものを感じて若干引きつつ。
「それと、お前の精気を俺に寄越せ。その逞しい肉体、さぞ精気も美味いことだろう」
「はっ! どうぞ、この身体、お好きにお使いください!」
夜着の前を、引きちぎるように開けた。
はちきれそうな筋肉……。
さすが格闘家だ。
身体中に、刀傷やら傷跡があるが、背中には一切無い。
敵に背は向けないってか。男前じゃねえか。
ちょっと好感度上がった。
茶髪に緑色の目。頬に刀傷のある、ガタイのいい男前が、見えないはずの俺の位置をしっかり捉えてる。さすがだ。
西の国王、グリン。
国王レベル150。ウエポンマスター。マスターグラップラー、マスターストライカー。
ウエポンマスター……剣も槍も斧も弓も武器は全てマスタークラスか。グラップラーは主に組み技や寝技で、ストライカーは打撃系だ。武器だけじゃなく格闘も強い、ってわけか。すげえな。
確かにこりゃ、警備なんていらねえわ。かえって足手まといになる。
しかし、国王レベルが150って……。
国王として政治もちゃんとしろやと言いたい。
†††
魔法を解除し、姿を現してやる。
「む、……魔王、か。相手に不足なし」
グリンは剣を抜き、構えた。
隙のない構えだ。無駄に殺気を放ったりもしない。
こちらの見た目が弱そうでも油断もしない。強者の証だ。
こっちは構えもせず、まっすぐにグリンの前へ進んでいく。
斬りかかってくる刀をアーマーブレイクの魔法で粉々にすると、グリンは刀の破片で自身が傷付くのも構わず、素手で飛び掛ってきた。
「くっ……、ぐぅ、」
殴りかかる拳の骨を、手のひらで止めると同時に粉砕。蹴り上げる脛骨は、身体に当たる前に粉砕させた。
肉体強化の魔法をかけてあるので、当たったとしてもこちらはノーダメージだ。
「な……ん、だと……?」
驚愕するグリンに、にこっ、と笑ってみせて。
手刀で心臓をひと突きしたら、血飛沫を上げて、西の王は倒れた。
……とりあえず、仮死状態にした。
心臓までは貫かず、ショックを与えて停止させ、仮死状態にしているわけだ。
本来は殺す、って作戦だったが。
うっかり殺してしまわなくてよかった。実際に攻撃するのは初めてだもんな。手加減難しいよ。
いくら生き返るといっても、平和な現代日本生まれなんだぞ、俺。
文字でこそ、億単位殺したけど。
実際に人を殺すのも、傷つけるのも、嫌なんだよ。
リオンの策、えぐすぎる……。
†††
すぐさま停止した心臓に、回復を施す。
「……う……っ、」
気がついた。
次は、手と足の治療だ。まずは足だな。損傷が酷いほうが優先だ。
自分でやっといて何だが、痛そう。良心の痛みは、この際忘れておこう。
「蘇生……? それに、回復魔法だと……? しかも、痕跡も残さず……魔族……魔王が……?」
グリンは驚いてそれを見ている。
次は手の回復。
グリンはうっとりとした顔をした。
「なんと……あたたかい、気なのだ……慈母神のようで……」
何だ慈母神って。などと思いながら、そ知らぬ顔で。
吹っ飛ばした剣の破片で切った頬も、そっと撫でて治してやる。
「こんな、細くか弱い手で……? 信じられぬ……」
か弱くねーわ。日本人の標準だっつの。
「西の王、グリンよ。俺の配下になれ」
命じたら。
グリンは飛び起きて。
あっさりと跪いてみせた。
「……このグリン、すでに身も心も魔王様のものです」
さすがリオンの策だ。
俺にはこんな作戦思いつかねーわ。
名付けて、力こそ全て。徹底的にねじ伏せろ作戦。策士ー。
†††
取引内容も、命令形で言ったら。
「この私に、戦うなと……? 魔族と……和平を結ぶなどと……くぅっ、何という戒めか……!」
グリンは悶えながらも了承した。
何で苦悶しつつ嬉しそうなんだよテメー……。スレイやどっかのアレに似たものを感じて若干引きつつ。
「それと、お前の精気を俺に寄越せ。その逞しい肉体、さぞ精気も美味いことだろう」
「はっ! どうぞ、この身体、お好きにお使いください!」
夜着の前を、引きちぎるように開けた。
はちきれそうな筋肉……。
さすが格闘家だ。
身体中に、刀傷やら傷跡があるが、背中には一切無い。
敵に背は向けないってか。男前じゃねえか。
ちょっと好感度上がった。
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