魔王転生～勇者と魔族と人間と神、男の精気でレベルアップ！？

国王攻略

西の国王グリン・Ⅰ

「わー、グリフィンだー」

グリフォンだっけ？　まあ英語か仏語かの違いだし、どっちでもいいや。とにかく鷲ヘッドと鷲ウイングに獅子ボディーの幻獣である。
この世界にもいるのなら、見てみたいもんだ。

西の国の王宮を見上げる。
掲げられた旗は、緑地に、白と金の糸で鷲獅子を模った紋章。

ここは、文句なしのキャッスル。いわゆる西洋風の城だ。何となくホッとする。

魔界の西がルーマニアだかトランシルヴァニア風だしな。トランシルヴァニアなんて行ったことねえけど。


「ここは西の国の王都、グリムロックです」

トランスフォームとかしそうな名前だな……。
サキもサーズからこっちに転職したのか？　と思ったら、老けてる。

ああ、父親なのか、この人。見れば、名前はココだった。
ココ、ミチ、サキ、アン、ナイ……。

くそ、こうなったら母親の名が気になる……！


†††


王都や王城前の街の宿屋は、２モッコリが基準価格らしい。ここも２モッコリだった。
宿屋で協定でもあるのかね。

食料を買いながら、リオンが顔なじみらしい店の人から話を聞いてる。
そういえば、リオンはここ、西の国周辺に移動して、しばらくカーミラを狩ってたんだっけ。
そりゃ有名にもなるか。カーミラ狩るとか相当だ。

何で東をすっ飛ばして西で魔物退治してたかは、何となくわかった。
東には女の魔族が、少なくとも人間界には居なかったのだ。


宿屋で、今回の打ち合わせをする。

「西の王は、好戦的だという話だ」
リオンは町の人達から聞き出した話を総合し、俺に教えてくれた。

「好戦的って……問答無用でいきなり斬りかかってこられたりとか？」
「和平より、争いを好む性分と聞く」

むう。そりゃ困ったな。……とりあえず叩きのめしてから脅して了承させるか？
加減を間違えて殺っちゃったらどうしよう。

「あ、でも蘇生の魔法があるから安心……できねえよ。どうにか穏便に……」

「蘇生魔法リライブ！？　君は蘇生魔法を使えるのか！？」
リオンは俺の独り言を聞きとがめて、めちゃくちゃ驚いてる。


死んだばっかの人間に限れば成功率100％だが、死後経過しすぎてたり損傷が激しいと半々、骨だけだと失敗。灰になる可能性のが高い、とある。
多くの魔族の場合は死んだら塵になるので、塵にターンアンデッドをかけてやる。間違ってリライブかけたら、二度と蘇生不可能になる。

魔族はだいたい死体アンデッドカテゴリーなのか……。
まあ俺も一度死んでるから、似たようなもんか。


†††


「驚いた……どこまで規格外なのか……。蘇生魔法は、この世界では、教皇と、その配下である、厳しい修練を経た法師四名にしか使えぬ、秘術中の秘術といわれているのだよ」

ターンアンデッドなら使える魔族多いけど、そういや魔界に蘇生魔術持ちはいなかったような。半壊くらいまでなら自力で再生可能みたいだし。回復魔法は基本的に必要ないのかね？
持っているのは、いいとこ拷問用の回復魔法くらいで。後は吸血系魔族が死体を眷属化するくらいか。

じゃあ、普通の人は死んだら普通に死んじまうのかよ！
おっかねえ。こんな世界じゃ、ライフがいくつあっても足りねえだろうに。

……いや、そうじゃない。
俺は危うくまた、命の重さを取り違えるとこだった。生き返るんだし、死んだっていいか、なんて。正しくゲーム脳じゃないか。


リオンは不敵な笑みを浮かべた。
「……いや、いっそ、力の差を見せ付けるのも良いかもしれない」

わー、悪いこと考えてる顔だ～。


†††


西の国の王の寝室に潜入成功。

……いいのか。こんな警備が手薄で。王が手練だから、大丈夫だと思ってるとか？
と。

「気配遮断、か。……誰だかは知らぬが、ここに忍び込もうとは。勇気のあることだ。いや、蛮勇か？」


おお、気付かれた。