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魔王様のレベル上げ
悪竜公ドラクⅠ
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「……入れ、」
『失礼、』
ノックの後。一礼して、きびきびと入ってきたのは、黒い軍服の男だ。
『北の伯爵家より、ドラクが参上仕りました。以後、お見知りおきを。此度の魔王様は着任早々、大変精力的に職務を果たされておられると伺い、このドラク、心より感服しております』
いきなり真顔で嫌味かよ、と思ったが。こんな短期間でこれだけレベルを上げた魔王は初めてだという。
本気で褒めてたのかよ。
でもそれ、連続で公爵が協力してくれてるからだよな。
しかも、またも公爵が来るとか。
俺の舌も、なかなか優秀だな!
†††
『永遠なる忠誠を』
ドラクは跪いた。
黒い角に、やはり黒の大きな翼。プラチナブロンドにアイスブルーの目。顔色は白い。白皙の美貌ってやつだ。
なんか、超ロシア人っぽいイメージなんだが。北の魔族だからか?
北の悪竜公、ドラク。レベル6666。
うわあ、ドラゴンだよドラゴン!!!!! ドラゴンブレス吐くって! すげえ!!
ドラゴン形態時は、どんな魔法も攻撃も跳ね返す、魔界最高強度を誇る竜の皮膚になるとか。かっけー!
『……魔王様?』
気付けば、ドラクの手を握り締めていた。
……つい、テンションMAXになって浮かれてしまった。だってマジモンのドラゴンだし。上がるだろそりゃ。ドラゴン形態、見たいし。
『畏くも、魔王様に拙の精気をお使いくださる機会を賜り、』
「……そう、かしこまらずともよい」
あんまりガチガチに応対されると、こっちまでかしこまっちまう。
そんなじゃ肩凝っちゃうぞ。
『甚だ光栄にございます。しかし、どうにも性分ゆえ。……さらば、魔王様に申し上げたいことがございます』
サラバ? いざ去らば友よ、の?
……ああ、そうであれば、か。普通に言ってくれよ。
何だ?
「赦す。話せ」
†††
応接セットに座って。
ガルムから貰ったチャイを飲みながら、話を聞く。
『魔王様におかれましては既にご存知でおられましょうが。北の伯爵家は、人間界にある、同じく北の国へ魔族を送り込んでおります』
人間界と魔界は表裏一体、同じような位置関係にあるらしい。
次元移動の魔法が使えない弱い魔族でも通過できる、人間界への道を繋げた通路があるそうだ。公爵たちは、より強大な力を得るため、東西南北それぞれの通路から、人間界へ、配下の魔族を送り込んでいる。
魂や精気、血肉を奪ったり、操って労働させたり、商人に化けて商売をしてるのもいる……と、スレイに教わったっけ。
お恥ずかしながら、とドラクは俯いた。
『……ここ十年ほど、拙の領地の魔族が人間に狩られており、手をこまねいているのです』
下級魔族を送り込んでも、戻ってこない。それが、もう十年近く続いている。
しかし下級は数がやたら多いし、弱いので、人間に狩られることは想定内だと楽観視していたが。
中級魔族も、犠牲になった。
最近になって上級魔族が調査に乗り出し。命からがら報告に戻り、やっと判明したという。
一人の人間が、魔族を狩っていた、と。
『その時点で、彼奴は”勇者”の称号を得ておりました』
ここ十年ほど前に、北の国に現れた勇者?
……まさか。あいつじゃないよな?
だって、あいつはまだ、19歳で。十年前なら、まだたったの9歳だろ?
ドラクは、その時の映像を見せてくれた。
荒んだ目をして、魔族を斬っている、まだ若い少年の姿。
それは。
知っている表情とは違っていたが、間違いなく。
……北の勇者、リオン。
†††
『先代の魔王様を亡き者にしたのも、この”北の勇者”にございます』
先代魔王は、自ら勇者を堕落させてやろうと誘惑をしに行き。
あっさり返り討ちにあったらしい。
廊下に飾ってあった、先代魔王の肖像を思い返す。
……女性だったな……。
黒髪黒目、エキゾチックな美貌でグラマラスな。
今にもこぼれそうなオッパイの、太股までスリットが入ったセクシーな黒いドレスをまとっていた。
怠惰な性格で、まだレベルもそんなに高くなかったらしい。
『失礼、』
ノックの後。一礼して、きびきびと入ってきたのは、黒い軍服の男だ。
『北の伯爵家より、ドラクが参上仕りました。以後、お見知りおきを。此度の魔王様は着任早々、大変精力的に職務を果たされておられると伺い、このドラク、心より感服しております』
いきなり真顔で嫌味かよ、と思ったが。こんな短期間でこれだけレベルを上げた魔王は初めてだという。
本気で褒めてたのかよ。
でもそれ、連続で公爵が協力してくれてるからだよな。
しかも、またも公爵が来るとか。
俺の舌も、なかなか優秀だな!
†††
『永遠なる忠誠を』
ドラクは跪いた。
黒い角に、やはり黒の大きな翼。プラチナブロンドにアイスブルーの目。顔色は白い。白皙の美貌ってやつだ。
なんか、超ロシア人っぽいイメージなんだが。北の魔族だからか?
北の悪竜公、ドラク。レベル6666。
うわあ、ドラゴンだよドラゴン!!!!! ドラゴンブレス吐くって! すげえ!!
ドラゴン形態時は、どんな魔法も攻撃も跳ね返す、魔界最高強度を誇る竜の皮膚になるとか。かっけー!
『……魔王様?』
気付けば、ドラクの手を握り締めていた。
……つい、テンションMAXになって浮かれてしまった。だってマジモンのドラゴンだし。上がるだろそりゃ。ドラゴン形態、見たいし。
『畏くも、魔王様に拙の精気をお使いくださる機会を賜り、』
「……そう、かしこまらずともよい」
あんまりガチガチに応対されると、こっちまでかしこまっちまう。
そんなじゃ肩凝っちゃうぞ。
『甚だ光栄にございます。しかし、どうにも性分ゆえ。……さらば、魔王様に申し上げたいことがございます』
サラバ? いざ去らば友よ、の?
……ああ、そうであれば、か。普通に言ってくれよ。
何だ?
「赦す。話せ」
†††
応接セットに座って。
ガルムから貰ったチャイを飲みながら、話を聞く。
『魔王様におかれましては既にご存知でおられましょうが。北の伯爵家は、人間界にある、同じく北の国へ魔族を送り込んでおります』
人間界と魔界は表裏一体、同じような位置関係にあるらしい。
次元移動の魔法が使えない弱い魔族でも通過できる、人間界への道を繋げた通路があるそうだ。公爵たちは、より強大な力を得るため、東西南北それぞれの通路から、人間界へ、配下の魔族を送り込んでいる。
魂や精気、血肉を奪ったり、操って労働させたり、商人に化けて商売をしてるのもいる……と、スレイに教わったっけ。
お恥ずかしながら、とドラクは俯いた。
『……ここ十年ほど、拙の領地の魔族が人間に狩られており、手をこまねいているのです』
下級魔族を送り込んでも、戻ってこない。それが、もう十年近く続いている。
しかし下級は数がやたら多いし、弱いので、人間に狩られることは想定内だと楽観視していたが。
中級魔族も、犠牲になった。
最近になって上級魔族が調査に乗り出し。命からがら報告に戻り、やっと判明したという。
一人の人間が、魔族を狩っていた、と。
『その時点で、彼奴は”勇者”の称号を得ておりました』
ここ十年ほど前に、北の国に現れた勇者?
……まさか。あいつじゃないよな?
だって、あいつはまだ、19歳で。十年前なら、まだたったの9歳だろ?
ドラクは、その時の映像を見せてくれた。
荒んだ目をして、魔族を斬っている、まだ若い少年の姿。
それは。
知っている表情とは違っていたが、間違いなく。
……北の勇者、リオン。
†††
『先代の魔王様を亡き者にしたのも、この”北の勇者”にございます』
先代魔王は、自ら勇者を堕落させてやろうと誘惑をしに行き。
あっさり返り討ちにあったらしい。
廊下に飾ってあった、先代魔王の肖像を思い返す。
……女性だったな……。
黒髪黒目、エキゾチックな美貌でグラマラスな。
今にもこぼれそうなオッパイの、太股までスリットが入ったセクシーな黒いドレスをまとっていた。
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