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魔王転生
勇者様、レベル150
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はあ? 勇者、レベル150!?
レベル上限、いくつまでありやがるんだこの世界。
俺、まだたったの1だぞ!?
っていうか、先が長すぎるわ!!
「しかし、こやつは魔王ですぞ!」
「勇者様、どうか討伐を!」
「勇者様!」
言い募る村人AからH達に。
白馬に乗った麗しの王子様……じゃなかった勇者様は俺を見て。
いたわしそうに目を細めた。
「この少年は、まだ無垢だ。ましてや敵意もなく無抵抗の者を殺すこと、まかりならぬ」
†††
ん? 少年なのか、俺。
転生して、凛々しい美少年になってたりすんのか?
……っていうか、無垢? ナニが?
え、まさか。俺が童貞なの、見てわかるのか? えっち!
なんか、勇者様がうっとりした顔で俺のこと見てるんだが。こいつ、ソッチのケがあるのか? と、よく見てみたら。
備考欄に”千人斬り”とか”女殺し”ってあった。
おいおい、マジかよ勇者様。
それはアッチの方の意味で? 主に下半身事情というか。
くっそ、リア充爆発しろ! このエロ勇者!
まあ、女好きなら性的な意味で襲われる心配はないだろう。
安心したわ。
エロ勇者は、颯爽と馬を降りて。自分の羽織っていたマントを俺の肩にかけてくれた。
わあ、人肌がぬくい。勇者様優しいじゃん。さすが女殺し。俺は女じゃないから殺されないけど。
「魔王の身はこの私、北の勇者リオンが預かろう」
そう言って。
俺の身体をマントで包んで。軽く、ひょいと持ち上げられた。
力持ちだな。さすが勇者レベル150。
そのまま馬に跨って。
颯爽と、駆けて行くのはいいんだが。
俺、どこに引っ立てられるんですかー!?
†††
「ここは、北の町リンデンです」
町に入った時、入り口に立っていた青年が町の名を紹介した。
人が町に入る度に同じセリフを繰り返しているようだ。
ああ、RPGとかによくいる、町の名前しか言わないNPCか。
異世界にもいるのか……。
「……窮屈な思いをさせてしまってすまない。大事無いか?」
勇者が心配そうな顔をして、俺の頭を撫でてくる。
って俺、何歳設定なんだ?
まあ、見た目がガキだから、魔王でも討伐せずにお目こぼししてくれたんだろうし、ひとまずはラッキー、と思っておこう。
勇者様としては、職業倫理的にどうかと思うが。
「どこか、痛いところは?」
黙ったまま、首を横に振ってみせる。
とりあえずは、様子見である。下手な発言は避けよう。
今んとこ、コイツの前ではお子様のふりをして。かわいこぶっておいた方が得策かもしれない。いのちだいじに。だって俺、まだレベル1だからな!
勇者は、ほっとしたように微笑んだ。
「良かった。私の家へ向かうけれど、食べ物の好き嫌いはあるかな?」
聞かれて、首を傾げた。
こっちの食糧事情、まだまったく把握してない状態だからな。とりあえず片っ端から試してみないことには、何も言えない。
考え込む俺を見て。勇者はダダ甘な笑みを浮かべた。
「ふふ、まるで舞い降りたばかりの天使のようだな」
……うげー。
なんじゃそら。天使じゃねえっての。魔王だっつってんだろ!?
どんだけ今の俺の姿、可愛いんだよ? くっそ、早く確認してみてえな。鏡どこよ?
†††
町からしばらく奥へ入ったところに、勇者の家があるという。
「あれが私の家だよ」
イエー。
は? 家? 嘘だろ。……これって、城じゃねえの?
勇者の家は、城のように立派だった。これは家と言っていい規模ではない。某夢の国にある城よりでけえ。
見上げると、首が痛くなりそう。
勇者レベル150だからか?
倒したモンスターでそんな金、儲かってんのか?
召使いとかが、大勢お迎えに出てきてるし。
見られるか、リアルメイド! と思ったら、使用人は男ばっかだった。
まさか女だと惚れられて仕事にならないので男だけなのか? さすが女殺し千人斬り。パねえわ。
レベル上限、いくつまでありやがるんだこの世界。
俺、まだたったの1だぞ!?
っていうか、先が長すぎるわ!!
「しかし、こやつは魔王ですぞ!」
「勇者様、どうか討伐を!」
「勇者様!」
言い募る村人AからH達に。
白馬に乗った麗しの王子様……じゃなかった勇者様は俺を見て。
いたわしそうに目を細めた。
「この少年は、まだ無垢だ。ましてや敵意もなく無抵抗の者を殺すこと、まかりならぬ」
†††
ん? 少年なのか、俺。
転生して、凛々しい美少年になってたりすんのか?
……っていうか、無垢? ナニが?
え、まさか。俺が童貞なの、見てわかるのか? えっち!
なんか、勇者様がうっとりした顔で俺のこと見てるんだが。こいつ、ソッチのケがあるのか? と、よく見てみたら。
備考欄に”千人斬り”とか”女殺し”ってあった。
おいおい、マジかよ勇者様。
それはアッチの方の意味で? 主に下半身事情というか。
くっそ、リア充爆発しろ! このエロ勇者!
まあ、女好きなら性的な意味で襲われる心配はないだろう。
安心したわ。
エロ勇者は、颯爽と馬を降りて。自分の羽織っていたマントを俺の肩にかけてくれた。
わあ、人肌がぬくい。勇者様優しいじゃん。さすが女殺し。俺は女じゃないから殺されないけど。
「魔王の身はこの私、北の勇者リオンが預かろう」
そう言って。
俺の身体をマントで包んで。軽く、ひょいと持ち上げられた。
力持ちだな。さすが勇者レベル150。
そのまま馬に跨って。
颯爽と、駆けて行くのはいいんだが。
俺、どこに引っ立てられるんですかー!?
†††
「ここは、北の町リンデンです」
町に入った時、入り口に立っていた青年が町の名を紹介した。
人が町に入る度に同じセリフを繰り返しているようだ。
ああ、RPGとかによくいる、町の名前しか言わないNPCか。
異世界にもいるのか……。
「……窮屈な思いをさせてしまってすまない。大事無いか?」
勇者が心配そうな顔をして、俺の頭を撫でてくる。
って俺、何歳設定なんだ?
まあ、見た目がガキだから、魔王でも討伐せずにお目こぼししてくれたんだろうし、ひとまずはラッキー、と思っておこう。
勇者様としては、職業倫理的にどうかと思うが。
「どこか、痛いところは?」
黙ったまま、首を横に振ってみせる。
とりあえずは、様子見である。下手な発言は避けよう。
今んとこ、コイツの前ではお子様のふりをして。かわいこぶっておいた方が得策かもしれない。いのちだいじに。だって俺、まだレベル1だからな!
勇者は、ほっとしたように微笑んだ。
「良かった。私の家へ向かうけれど、食べ物の好き嫌いはあるかな?」
聞かれて、首を傾げた。
こっちの食糧事情、まだまったく把握してない状態だからな。とりあえず片っ端から試してみないことには、何も言えない。
考え込む俺を見て。勇者はダダ甘な笑みを浮かべた。
「ふふ、まるで舞い降りたばかりの天使のようだな」
……うげー。
なんじゃそら。天使じゃねえっての。魔王だっつってんだろ!?
どんだけ今の俺の姿、可愛いんだよ? くっそ、早く確認してみてえな。鏡どこよ?
†††
町からしばらく奥へ入ったところに、勇者の家があるという。
「あれが私の家だよ」
イエー。
は? 家? 嘘だろ。……これって、城じゃねえの?
勇者の家は、城のように立派だった。これは家と言っていい規模ではない。某夢の国にある城よりでけえ。
見上げると、首が痛くなりそう。
勇者レベル150だからか?
倒したモンスターでそんな金、儲かってんのか?
召使いとかが、大勢お迎えに出てきてるし。
見られるか、リアルメイド! と思ったら、使用人は男ばっかだった。
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