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ディティコ王国に祝福を
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王位継承パーティーの時、俺のやった”おまじない”のおかげで。
敵対してた叔父派を一掃できた、ということで。
セルジオス王からは大いに歓迎された。
ゼノンは、ヴォーレィオ国王から預かった親書を渡して。
夜這いと称して寝首を掻きに来たことはもう二度としないなら水に流してやる、と言った。
セルジオス王はそれを聞いて、冷や汗を流して目を白黒させていた。
本来ドノーマルなのに男好きのふりをするとか凄い度胸だけど。
誤魔化そうなんて、ゼノンを馬鹿にし過ぎだ。
俺はわかんなかったけど。
言われてみれば。
確かに、惚れた相手を見るような目で見てなかったって気がする。
笑顔でも、目が笑ってないというか。
でも、俺に対してはかなり興味持ってそうなんだよな。
性的な意味で。
女装が似合ってるからか……? 脱いだらちゃんと男です!
こっちの人と比べればそりゃ貧弱だろうけど。
セルジオス王的には、ヴォーレィオ王国と和平条約を結ぶことに異議はないようだ。
今からだとちょっと準備に手間取るので。
年明けにでも、カルデアポリで条約を交わそうって話になった。
めでたしめでたし。
*****
「ノーティオに舞い降りた、麗しき豊穣の女神の噂は聞き及んでおります。我が国でも是非に……!」
俺の手を握らんばかりの勢いでセルジオス王が寄ってきて。
ゼノンが威嚇した。
もうそんな噂が広まってるのか。
あの時ノーティオの農場前にいたギャラリーの中に、インフルエンサー的な噂話好きでもいたのかな?
スパイみたいな役割の人とか?
トゥリティの結婚記念食器のことも知ってて。
是非うちも注文させてほしいって言われた。
スマホもラインもないのに、みんな情報早いな。
条約にはお互いの国の発展に協力し合う、という項目もあるので。
じゃあ、畑を蘇らせるのをお手伝いしましょう、ということになった。
今年は降雨量がいまいちで、育ちが悪いんだそうだ。
でも、天気は天候神が見守ってるから、そうそう崩れたりしないはずなんだけどな。
……どれどれ。
ええと。
水の精霊、怒ってるな。
「……水の精霊の機嫌が悪いようだけど。何か水を汚すようなことしました?」
「!」
セルジオス王と、彼の近衛騎士ヒュース・アグリオスが反応した。
心当たりがあるのかな?
これから罰を当てるつもりなのか、と恐れてたので。
水の神の怒りまではかってないと言うと、ほっとしていた。
十三神の中で、一番怒らせちゃいけないのは天候神だろうな。
太陽、風、水、地の神と仲が良いので全員を敵に回すことになるから。
旱魃や雷雨に台風、水害の上に地震とかでもう大変だ。
よほどの悪事でもしないと怒らないけど。
ちなみに死の神は、名前のわりに穏やかな性質だ。
「こちらにも事情がありましてね。詳しくは言えませんが、もう二度とそのような事はないとお約束できます」
セルジオス王は困ったように言った。
近衛騎士は俺を見て。
ざっと青ざめて、慌てて跪いた。
「おお……、神よ、尊き十三神よ。罪深き我が身をどうか、お許しください」
なんか祈られてるんだけど。
……十三神って言った?
*****
ヒュース・アグリオスは、オーラとか、そういうのが見える人だったらしい。
前に見た時は魔力が測定不能なくらいで、普通の人間だと思っていたけど。
俺の中に眠っていたクロノスが完全に目覚めたため、その存在がはっきりわかるようになったようだ。
しょうがないので、戦争ばっかりする人間に愛想を尽かした時間神が異世界に行ってそちらの人間の魂の中で眠ってしまっていたけど、時間神が大好きだった月神がゼノンに転生して。
”道逢の儀”の時、全能神が異世界への扉を繋げてくれて時間神を迎えに行ったんだっていうことをざっくり説明した。
「では、豊穣の女神とは、比喩ではなく……?」
うん。
まさか本当に豊穣神が直接降りて来て、祝福を与えてくれるとは思わないよね。
俺も驚いたよ。
「でもこれ、ここだけの話にしておいてくださいね。騒ぎになるのは困るし」
ゼノンだって、記憶もないのに神様扱いされたくないだろう。
今までされてきた神の子扱いですら、うんざりしていたのに。
「もちろん、一切口外しないことをお約束します。何か召し上がられますか? 何なりとお申し付けください……!」
なんかセルジオス王まで俺の前で跪いてる。
貴方のしもべです、みたいに見上げないで欲しいんだけど。
「あの、普通にしていてください。……それで、畑はどこですか?」
とっとと水やりやっちゃおう。
*****
ディティコ王国の国営農場では、サトウダイコンとかハーブ、香辛料を主に育ててる。
この前仕入れてもらった香辛料で作ったカレー、美味しかったな。
ちょっと見て回ったら。
確かに、作物の元気がないようだ。
「この国ではもう戦いは起こらないよ。水や大地を血に染めることはないから。安心してすくすく育ってくれよ」
願いながら水を撒いた。
水の精霊はすっかりご機嫌になっている。
良かった。
枯れちゃったりしたら、植物が可哀想だもんな。
「豊穣、水、地の神。太陽、空気、天候の神。みんな力を貸して」
そっと風が吹いて。
「風の神も手伝ってくれるの? ありがとう」
ふわりと身体が軽くなる。
「重力神まで。……ありがとう」
風と重力神のコンボで空も飛べそう。
てか浮いてる。
上からの方が、広範囲で水が撒けるな……。
ほぼみんな来ちゃってるんじゃないのかこれ。
星と死の神は、空から見守っててね……。
*****
水やりを終えて戻ったら。
ゼノンがコップを手に、スタンバってた。
ええっ、セルジオス王に飲み物用意させたの?
誰が用意をしようが、絶対自分が渡す、という気概を感じる……。
まあ普通に膝の上に乗るけど。
あ、炭酸水に砂糖漬けレモンが入ってる。
サイダーだこれ。
こっちにもあるんだ。嬉しいな。
美味しい。
炭酸水の湧く泉があるんだ。いいな。
「眼福でした。寿命が伸びそうです……」
幸福そうに目を細めてる。
セルジオス王、まだ若いのに。なに年寄りみたいなこと言ってんの?
「凄い勢いで魔力が渦巻き、生命活動が活発になっております……!」
ヒュース・アグリオスは、畑を見て感動してる。
土の中の微生物とかも見えるのかな……。
敵対してた叔父派を一掃できた、ということで。
セルジオス王からは大いに歓迎された。
ゼノンは、ヴォーレィオ国王から預かった親書を渡して。
夜這いと称して寝首を掻きに来たことはもう二度としないなら水に流してやる、と言った。
セルジオス王はそれを聞いて、冷や汗を流して目を白黒させていた。
本来ドノーマルなのに男好きのふりをするとか凄い度胸だけど。
誤魔化そうなんて、ゼノンを馬鹿にし過ぎだ。
俺はわかんなかったけど。
言われてみれば。
確かに、惚れた相手を見るような目で見てなかったって気がする。
笑顔でも、目が笑ってないというか。
でも、俺に対してはかなり興味持ってそうなんだよな。
性的な意味で。
女装が似合ってるからか……? 脱いだらちゃんと男です!
こっちの人と比べればそりゃ貧弱だろうけど。
セルジオス王的には、ヴォーレィオ王国と和平条約を結ぶことに異議はないようだ。
今からだとちょっと準備に手間取るので。
年明けにでも、カルデアポリで条約を交わそうって話になった。
めでたしめでたし。
*****
「ノーティオに舞い降りた、麗しき豊穣の女神の噂は聞き及んでおります。我が国でも是非に……!」
俺の手を握らんばかりの勢いでセルジオス王が寄ってきて。
ゼノンが威嚇した。
もうそんな噂が広まってるのか。
あの時ノーティオの農場前にいたギャラリーの中に、インフルエンサー的な噂話好きでもいたのかな?
スパイみたいな役割の人とか?
トゥリティの結婚記念食器のことも知ってて。
是非うちも注文させてほしいって言われた。
スマホもラインもないのに、みんな情報早いな。
条約にはお互いの国の発展に協力し合う、という項目もあるので。
じゃあ、畑を蘇らせるのをお手伝いしましょう、ということになった。
今年は降雨量がいまいちで、育ちが悪いんだそうだ。
でも、天気は天候神が見守ってるから、そうそう崩れたりしないはずなんだけどな。
……どれどれ。
ええと。
水の精霊、怒ってるな。
「……水の精霊の機嫌が悪いようだけど。何か水を汚すようなことしました?」
「!」
セルジオス王と、彼の近衛騎士ヒュース・アグリオスが反応した。
心当たりがあるのかな?
これから罰を当てるつもりなのか、と恐れてたので。
水の神の怒りまではかってないと言うと、ほっとしていた。
十三神の中で、一番怒らせちゃいけないのは天候神だろうな。
太陽、風、水、地の神と仲が良いので全員を敵に回すことになるから。
旱魃や雷雨に台風、水害の上に地震とかでもう大変だ。
よほどの悪事でもしないと怒らないけど。
ちなみに死の神は、名前のわりに穏やかな性質だ。
「こちらにも事情がありましてね。詳しくは言えませんが、もう二度とそのような事はないとお約束できます」
セルジオス王は困ったように言った。
近衛騎士は俺を見て。
ざっと青ざめて、慌てて跪いた。
「おお……、神よ、尊き十三神よ。罪深き我が身をどうか、お許しください」
なんか祈られてるんだけど。
……十三神って言った?
*****
ヒュース・アグリオスは、オーラとか、そういうのが見える人だったらしい。
前に見た時は魔力が測定不能なくらいで、普通の人間だと思っていたけど。
俺の中に眠っていたクロノスが完全に目覚めたため、その存在がはっきりわかるようになったようだ。
しょうがないので、戦争ばっかりする人間に愛想を尽かした時間神が異世界に行ってそちらの人間の魂の中で眠ってしまっていたけど、時間神が大好きだった月神がゼノンに転生して。
”道逢の儀”の時、全能神が異世界への扉を繋げてくれて時間神を迎えに行ったんだっていうことをざっくり説明した。
「では、豊穣の女神とは、比喩ではなく……?」
うん。
まさか本当に豊穣神が直接降りて来て、祝福を与えてくれるとは思わないよね。
俺も驚いたよ。
「でもこれ、ここだけの話にしておいてくださいね。騒ぎになるのは困るし」
ゼノンだって、記憶もないのに神様扱いされたくないだろう。
今までされてきた神の子扱いですら、うんざりしていたのに。
「もちろん、一切口外しないことをお約束します。何か召し上がられますか? 何なりとお申し付けください……!」
なんかセルジオス王まで俺の前で跪いてる。
貴方のしもべです、みたいに見上げないで欲しいんだけど。
「あの、普通にしていてください。……それで、畑はどこですか?」
とっとと水やりやっちゃおう。
*****
ディティコ王国の国営農場では、サトウダイコンとかハーブ、香辛料を主に育ててる。
この前仕入れてもらった香辛料で作ったカレー、美味しかったな。
ちょっと見て回ったら。
確かに、作物の元気がないようだ。
「この国ではもう戦いは起こらないよ。水や大地を血に染めることはないから。安心してすくすく育ってくれよ」
願いながら水を撒いた。
水の精霊はすっかりご機嫌になっている。
良かった。
枯れちゃったりしたら、植物が可哀想だもんな。
「豊穣、水、地の神。太陽、空気、天候の神。みんな力を貸して」
そっと風が吹いて。
「風の神も手伝ってくれるの? ありがとう」
ふわりと身体が軽くなる。
「重力神まで。……ありがとう」
風と重力神のコンボで空も飛べそう。
てか浮いてる。
上からの方が、広範囲で水が撒けるな……。
ほぼみんな来ちゃってるんじゃないのかこれ。
星と死の神は、空から見守っててね……。
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水やりを終えて戻ったら。
ゼノンがコップを手に、スタンバってた。
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まあ普通に膝の上に乗るけど。
あ、炭酸水に砂糖漬けレモンが入ってる。
サイダーだこれ。
こっちにもあるんだ。嬉しいな。
美味しい。
炭酸水の湧く泉があるんだ。いいな。
「眼福でした。寿命が伸びそうです……」
幸福そうに目を細めてる。
セルジオス王、まだ若いのに。なに年寄りみたいなこと言ってんの?
「凄い勢いで魔力が渦巻き、生命活動が活発になっております……!」
ヒュース・アグリオスは、畑を見て感動してる。
土の中の微生物とかも見えるのかな……。
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