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激しい執着

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「では、あの植物の異常なまでの成長は実際に豊穣神の祝福だった訳ですね」

タキもすっかり納得した様子で俺が時間神の生まれ変わりだってことを受け入れてる。
順応力高いなあ。

態度も、前と変わらないのはありがたい。


「うん。豊穣神だけじゃなくて、水や土の神様もみんな張り切って手伝ってくれたみたい」

「私のスオウは可愛いからな。こんな可愛らしい子猫にねだられれば何でも叶えてやりたいという気持ちは理解できる」
後ろからぎゅうぎゅう抱き締められる。


ゼノンがちょっと……いや異常なまでに誰彼構わず嫉妬したり傍に置いて置きたがるのは。
失っているはずの月神の記憶が身に沁みついてるせいだろう。

数百年の喪失を埋めたがってると思えば可愛いもんだ……と思っておこう。
首輪や鎖をつけられて、地下室とか塔に閉じ込められなくて良かった、くらいに前向きに考えよう。


……耳に鼻先を突っ込んで匂いを嗅ぐの、やめてくれないかな。


*****


「じゃあ今日の勉強会はここまでとするかね」
徳田さんが席を立った。

畑の様子を見に行ってくるって。

「えー、なら俺も見に行きたい」

「黒野君は今日の復習……する時間はあるかわからんが……」
そんなことを呟きながら図書室を出て行った。


「もー、何で勉強の邪魔するんだよ」

ゼノンは自分の仕事をさっさと終えてすぐにこっちに来ては、俺を膝の上に乗せようとする。
仕事はちゃんとやってるだけに、あまり文句は言えない俺だった。
俺も早く働きたい。


「気が散るから勉強中はやめろって言ってるのに。何が『ねだられれば何でも叶えてやりたい』、だよ」

「願いを叶えてやりたいと思う気持ちとこれは別だ。一日中抱きたいのを我慢しているのだ、かなりの譲歩だと思うが?」
堂々と言い張るようなことじゃないよね?

だからこうして抱き締めるのは許せって?
いやいやいや、それは違うと思う。


「勉強中くらいは、勉強に集中したいんだってば」

「俺の頭の中はいつでもスオウのことでいっぱいだが、仕事はできているぞ?」
うう。勝てる気がしない。


「あ、ゼノンが月神の生まれ変わりだって話、内緒にしてね」
生温い笑顔で見守っていたタキとノエに頼む。

月の神様が、こんな色惚けエロ狼だって知ったら、みんなががっかりしちゃうだろうし。


「誰も驚かないと思いますがね……」
「陛下の耳には入れないよう気をつけます」

ああ、それは本当にお願いしたい。

両親からも特別扱いされてきたゼノンは。
それに傷ついていたから。


*****


ベッドに運ばれて。
ゼノンがじっと俺の顔を見てると思ったら。


「……初めて見た時から、全身を舐めまわしたい欲求に駆られるのが不思議だったが。その理由がわかった」

え。全身を舐めまわしたいって、俺の?
それ以外にないよな……。

さすがにドン引きされると思って、今まで我慢してたのかな? そりゃドン引きするよ。
そのままずっと我慢していて欲しい。ヒトとして。


「月狼と子猫だったせいだ。愛しい者を可愛がりたいという本能ゆえの欲求だったのだな……」
一人で納得してる。


狼と猫の姿なら、ぺろぺろ舐めてても微笑ましい光景だろうけど。
ゼノンの欲求は、絶対そんな可愛らしいものじゃない。

100%エロい気持ちだ。
どう考えてもヘンタイだと思う。

ヒトとしての理性を手放さないでほしい。


「ひゃ、」
耳の中に、舌が入ってきた。

くすぐったいな、もう。

まさか。
これから全身を舐めまわすつもりじゃないだろうな!? そんな有言実行は決して褒められたもんじゃないからな!?


「やぁん、」
猫みたいな声が出てしまうのは不可抗力だ。

「……可愛い。声、もっと聞きたい」
顔も、もう片方の耳も舐められる。

くすぐったいけど。
気持ちいい。

反応してしまったのを、手で弄られて。

違う、って思ってしまう。
手じゃなくて。


*****


「ああっ、」

胸の先を舐められて。
こっちも気持ちよくて困る。

俺ばっかり気持ち良くされてしまって。
不公平な気がする。

……目の前でピコピコ揺れてるゼノンの耳。
俺もしたら、喜ぶかな?


「!?」
かぷりと甘噛みしてみたら、びくっと肩を揺らした。

「悪戯っ子め」
壮絶なくらい色っぽい顔で。

何か変なスイッチ入っちゃった!?


手を掴まれて。
手のひらや指の間を丹念に舐められてしまう。

くすぐったいだけなはずのそれが。何だかおかしな感じだ。


「や、あ、」
二の腕の後ろに舌を這わされる。

「どこも簡単に嚙み切れそうなほどやわらかい。最初にこの身体を見た時、どこの姫君かと思ったものだ」

「ひゃ、やあ、」
わきの下を舐められて思わず身悶えてしまう。

「こうして、俺に可愛がられるために生まれてきたのだろう。……俺だけのものだ」
そうだと言って欲しい、って気持ちが伝わる。


記憶は無くても、魂に染み付いてるんだ。
手を離したら、どこかへ行ってしまうような不安に駆られている。

だから、いつでも腕の中に抱き締めてないと不安でしょうがなくて。
自分でも、どうしようもないんだろう。


「……っ、うん、俺の全部、ゼノンのものだよ。だから、いっぱい可愛がって……?」
ゼノンの硬い腹筋に、勃ったのを押し付ける。

「ああ。全て、望むままに」


*****


全身余すところなく舐められた後。
ようやく挿れてくれた。

「あっ、ん、や、あう、」
後ろから腰を掴まれて、硬くて大きいので、強く突き上げられる。


待ち望んでいたそれを。
もっと、ってねだるように自分の腰が上がっているのがわかる。

もう、挿れられるだけでも気持ち良いけど。
それよりも上の快楽があることを何度も教えられた。


「ゼノン、……お腹の奥、出して」
「っ、……今、たっぷり飲ませてやるから、待ってろ、」

期待で、ゼノンのをきゅうきゅう締め付けてるのがわかる。


俺の、美しい狼。
俺だけのものだってしるしを。


ゼノンの匂いを刻み付けて欲しい。
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