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家に戻って

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アナトリコの護衛と共に、国境の城壁まで行った。


アナトリコとカルデアポリの国境には入り口があるけど。
ヴォーレイオとアナトリコ間では国交がない。そのため、二国の国境に、入り口はなかった。

なので通常、訪問する場合はカルデアポリを経由するらしい。
滅多にないそうだけど。


出入り口も無いのにどうするのかと思ったら。
ゼノンが城壁に魔法で穴を空けて、ヴォーレィオ側に渡った。

なるほど、こうやって入ったのか。

いずれ二国が交流するようになれば、ちゃんとした出入り口が作られるかもしれない。
仲良くなったらいいな。


こちらに頭を下げているアナトリコの兵の姿は、壁の穴を塞いだため、すぐに見えなくなった。


*****


俺が攫われた場所から、ゼノンの家は本当にあともう少しの所だったようで。
馬車を走らせたと思ったら、すぐに着いた。

まだ我が家、って感じじゃないけど。
ただいま。


予定外の寄り道で、すっかり日が暮れてしまった。
でも、かなり収穫があったんじゃないかな?

ゼノンは当然のように俺をお姫様抱っこした状態で馬車から降りた。

別に抱っこされなくても歩けるって、って思ったけど。
これも俺が攫われたりしないための用心なのかと思うと、もう文句も言えない……。

……あれ?

「あのさ、もし、この状態で敵から襲われたら、どう対処するんだ?」
俺、地面に落とされるの? それとも肩に担がれるとか?


ゼノンは目を瞬かせて。
「……ノエ、」

「はい、」
いきなりノエが抜刀して。

背後からゼノンに斬りかかってきた。


「うわわ、」
魔法で防御するのかな、と思ったんだけど。

ガキン、ってすごい音がして。

次の瞬間、ノエの剣が弾き飛ばされてしまっていた。
ノエはビリビリする、と言って手を振っていて。耳もへたれてる。


何が起こったのか理解できなくて、聞いてみたら。

ゼノンはあの一瞬の間に俺の足を持ってた手で抜刀。
振り向いてノエの剣をはじき返して。

剣を鞘に納めてから、俺の足を抱え直したらしい。


ぜ、全然わかんなかった……。

魔法で防御しても良かったけど、それだとノエの剣が壊れて使い物にならなくなるので、剣で対応したんだって。
どんな防御魔法なんだろう。きっととんでもないレベルなんだろう。

さすが国一番の黒騎士だ。
強いなんてもんじゃない。剣の達人だよ。


「何が起こっても、俺が護る。だから、傍から離れるな」
「……うん」

うわあ。
凄く照れるけど。嬉しいかも。

こんな強い騎士と一緒なら、何があっても大丈夫だって安心感半端ない。


ご機嫌なゼノンを見て、騎士たちも嬉しそうだ。
27年間、浮いた噂の一つもなかった主人が、花嫁をもらってこんなに幸せそうなのが嬉しいらしい。

配下にも慕われてるんだなあ。


*****


「夕食はどうする? すぐに用意させるか?」

俺はレオニダス王からお菓子やフルーツとかもらってたから、そんなにお腹空いてない、と言うと。
ゼノンはちょっと微妙な顔をして。


まっすぐ寝室に向かった。
ゼノンやタキたちは腹ペコなんじゃないのか、と思ったんだけど。

「ゼノンはお腹、空いてないの?」
「それよりスオウを食いたい」

うわあ。
真顔で言われちゃったよ。色気より食い気じゃないの?


そのまま、ベッドに運ばれて。
キスの合間に、嬉しそうに囁かれる。

「……はっきりと拒絶し、俺を愛してると言ってくれて、嬉しかった」
「ん、アドニスに、冗談でナンパされた時?」

その場で押し倒さなかった理性を褒めて欲しい、とか言われても。
他国の城でそんなこと考えてたのかよ。

「冗談? いや、あれは半分以上本気だった。スオウは自分がどれだけ魅力的か自覚してないのか? 勿論、中身も見た目も素晴らしいが。国を代表する者ならば、誰しもスオウを側に置きたいと考えるだろう」


ああ。
欲しいのは俺自身じゃなく、俺の持ってる異世界の知識か。

大正生まれ昭和育ちの徳田さんのアドバイスだけでも、かなり役に立ったようだし。
それより科学の発展した、未来の世界から来た俺はさぞかし、って期待されちゃうんだろうな。


いやいや、俺は普通の高校生だから! 特殊な専門知識とかないから!

スマホも持ってきてないんじゃ、俺なんか役立たずもいいとこだぞ?
読んだ本の内容くらいしか知らない。

自力で家とか建てちゃう徳田さんの方がずっと物知りだと思う。


「人工衛星とかロケットとかなさそうだし、宇宙の話くらいは良いかと思って話しちゃったけど。まずかったかな?」
レオニダス王に話した内容を言うと。

「ここでは日が昇るも沈むも全て神の 御業みわざと考える者が多い。そうでないことを知るのは、果たして益になるか否か……」


考え込みながらドレス脱がすのやめて欲しいんだけど。

ゼノンは俺がしていたネックレスを外して。
 忌々いまいまし気にテーブルへ置いた。

「こんな貴重品を渡してくる辺り、かなり気に入られてしまったな」


あの指輪。
王様が重要な書類に捺印する印鑑の次に貴重な物だったようだ。

何でそんな大事な物をあんな簡単に渡してくれちゃうかな!


「……スオウ。俺のツガイだ。誰にも渡さない」
ゼノンの唇が近づいて来て。

地下道に落ちたりしてるし、シャワー浴びたいけど。
今日は心配させちゃったし。


焦らすのも悪いと思って、目を閉じた。


*****


変化してしまった性器を愛撫されて。
慣らされた後ろに、ゼノンが入ってくる。

今日は正面から受け入れてるから。何もかも丸見えだ。


ゼノンの性器は、俺の知る人間の性器とは形状が違っていた。
くびれがあまりない、棒みたいだった。太くて長いけど。

その上、あの根元が瘤みたいに膨らむのか……。

固いのは、中に骨が通ってるせいだ。前にも聞いたが、陰茎骨という。
長時間種族ほど、中の骨が長いらしい。

アライグマが一番長いとか、そんな知識、どこで使うんだよ……。


「ふぁ、……ああっ、」
余計なことを考えるな、とばかりに突き上げられた。

ああもう、エロイ顔しちゃって。それでも格好良いんだからずるい。
こんな男が、俺に夢中なんだよな。

俺っていうか、ツガイにか。

男に生まれてきて、まさか運命の相手が男だとか、冗談みたいな話だよな。
聖人君子じゃあるまいし。

今まで女の子を抱く妄想をしたことがなかったとは言わない。
自分が抱かれる方になるなんて、予想外にもほどがある。


でも、もう。
俺も、ゼノンを手放せない。
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