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周辺諸国との関係
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アナトリコ王国との国境に、長い城壁と見張りの塔があるのは、アナトリコを仮想敵国としていただけでなく。
モグラたちみたいな、隣国から来る窃盗団対策でもあったようだ。
いくら国王の志が立派でも、国民の方に法律とか決まりを守れるだけの知能が無いと、全ての民を統制するのも難しいようだ。
かといって罰則をきつくしても暴動が起こるとか。
サヴァトの鉱山で働いてる工夫も、いわゆる”亜人”が多いようで。
自分のテリトリーに入って来た相手は本能的にぶちのめす性質でも、相手が敵か同国民かを理解できないとか。
そりゃ見張りの兵を置くのも難しいよ……。
本能に左右されがちな獣が多い国の王様は色々大変だな。
でも、理性があっても完璧な施政ができるとは限らないんだけど。
*****
反対側、熊族の多い西のディティコ王国は警戒しないのか聞いたら。
ディティコ王国との国境は険しい山で隔たれているので、それほど脅威でもないようだ。
山の上空には強風が吹いていて、鳥族も飛行不可能。
体重の重い熊族でも、崖下に吹っ飛ばされるくらいの強い風が常に吹いているんだって。
領土を広げようとしたり、あまり仲違いをさせないように、神様がそういう立地条件にしてるのかなあ。
中央にあるカルデアポリを通れば陸続きで行けるけど。
戦争の武器を持ってカルデアポリに入ることは、神様によって禁じられているので、それはないとか。
位置的にカルデアポリを挟んで正面にある南のノーティオ王国と友好関係を築いてるのは、お互い戦争できない位置関係、って理由もあるのかな?
でも、ノーティオ王国以外、国同士であまり交流はしてないんだ。
何でだろう?
犬猿の仲的なものかなあ。
……猿といえば。
「そういえば、竜族は耳に毛が生えてないのに猿人呼ばわりされてないようだけど。何で?」
「何でも何も……、竜族は竜神の加護を受けた者だからだが?」
ゼノンは不思議そうに首を傾げて。
ああ、知らないんだった、と納得している。
そうだよ。
見た目はもうすっかりこの世界の住人みたいだろうけど。
俺、異世界人だからな?
*****
竜族の他にも、蛇族やトカゲ族など。耳に毛が生えてない種族はけっこういるようだ。
どんな風貌の人なんだろう。
見るのが怖いような、あえて見てみたいような……。
”猿”という動物はいるけど。
猿を加護をする神様がいないので、竜族とか以外で耳に毛の無いものは亜人扱いされてたとか。
いないのか。
ハヌマーン的な存在は……。
猿は見た目が”人間”に似ているだけに気持ち悪い、と嫌われてるんだそうだ。
うーん、不気味の谷現象みたいなもんかなあ。
ゼノンは猿を気持ち悪いと思ったことも無いし、猿人と呼ばれる人に対して偏見も無かった。
でも、俺が猫族になって、ほっとしたんだろうな。
”神に愛でられた王子”として、嫌でも注目されちゃう身分だし。
嫁が”猿人”とかめちゃくちゃ叩かれそう。
何を言われようが、自分が守るつもりだったらしいけど。
いや、……ゼノンは本当に。
俺のことを、全力で守ろうとしてくれた。
「……ごめん、」
ゼノンの肩に寄り掛かって。
「ん?」
「俺が安全な馬車から勝手に降りちゃったせいで攫われちゃって。心配かけたよな?」
敵意があると思われていたレオニダス王と直接和解、というか、友好的に話が出来て結果的に良かったとしても。
突然ツガイを見失って。
心臓が停まりそうになるくらいショックだったようだし。
交渉役としてアドニスを連れて行くだけの理性は残ってても、友好国でもない国の城に乗り込むからには、アナトリコ王国と戦争も辞さない覚悟があっただろう。
俺がうっかりしてたせいで。
危うく戦争になるかもしれなかったんだ。
今回は、たまたまレオニダス王が良い人で助かったけど。
それは運が良かっただけだ。
*****
ゼノンは優しく微笑んで、俺の頬を撫でた。
「いや、防御魔法を厳重にかけすぎたため、余計に目をつけられたのもある。それに、事前に馬車に魔法を掛けていると言わなかった俺も悪かった」
まさか地下に穴を空けてやって来るとは思わなかったという。
だよね。
モグラって生物自体を知らなかったんだもんな。
俺が攫われて。
ゼノンは犯人のモグラ族二人を殺したいほど憎んだだろう。
でも、俺が血を見たくなかったから。結局お咎めなしになってしまった。
”亜人”は知能が低いって言われてるけど。
ちゃんと自分たちの種族を自覚してたし。”道逢の儀”のことも、相手が死ねば独身に戻ることも知っていた。
レオニダス王の反応を見て、自分たちが悪いことをしたって自覚もしてた。知能はそう低くはないと思う。
見た目がほぼ獣だからって、まともな教育を受けさせてもらえなかっただけじゃないのかな。
あの二人、俺を攫ったり通りがかった馬車から物を奪うことを悪いことだと思ってなかった。
知らなかった、悪気が無いからって、罪を許すべきではなかったかな……。
後でレオニダス王がきつく注意してくれるといいけど。
「本来、泥棒は手首を切り落とすべきなんだろうけど……」
万引きとか、罪に対しての罰が軽すぎる。
今こそ世界的にハンムラビ法典を復活させるべきだと思う。
目には目、歯には歯。それ以上を罰として奪ってはいけないって、いい法律だよな。
ちなみに姦淫は性器を切断だっけ? それは怖いな。
「えっ? スオウのいた世界ではそういう決まりがあるのか!?」
ゼノンの顔色が変わった。
あ、そういえばゼノンは異世界から強引に俺を攫ってきた拉致誘拐犯だった。
プラス強姦。
「うん、昔に。今は野蛮だからってやめちゃったけど」
そう言うと、ほっとしたように息を吐いた。
「残念だよね……」
「!?」
あ、しっぽが逆立ってる。
可愛いなあ。
モグラたちみたいな、隣国から来る窃盗団対策でもあったようだ。
いくら国王の志が立派でも、国民の方に法律とか決まりを守れるだけの知能が無いと、全ての民を統制するのも難しいようだ。
かといって罰則をきつくしても暴動が起こるとか。
サヴァトの鉱山で働いてる工夫も、いわゆる”亜人”が多いようで。
自分のテリトリーに入って来た相手は本能的にぶちのめす性質でも、相手が敵か同国民かを理解できないとか。
そりゃ見張りの兵を置くのも難しいよ……。
本能に左右されがちな獣が多い国の王様は色々大変だな。
でも、理性があっても完璧な施政ができるとは限らないんだけど。
*****
反対側、熊族の多い西のディティコ王国は警戒しないのか聞いたら。
ディティコ王国との国境は険しい山で隔たれているので、それほど脅威でもないようだ。
山の上空には強風が吹いていて、鳥族も飛行不可能。
体重の重い熊族でも、崖下に吹っ飛ばされるくらいの強い風が常に吹いているんだって。
領土を広げようとしたり、あまり仲違いをさせないように、神様がそういう立地条件にしてるのかなあ。
中央にあるカルデアポリを通れば陸続きで行けるけど。
戦争の武器を持ってカルデアポリに入ることは、神様によって禁じられているので、それはないとか。
位置的にカルデアポリを挟んで正面にある南のノーティオ王国と友好関係を築いてるのは、お互い戦争できない位置関係、って理由もあるのかな?
でも、ノーティオ王国以外、国同士であまり交流はしてないんだ。
何でだろう?
犬猿の仲的なものかなあ。
……猿といえば。
「そういえば、竜族は耳に毛が生えてないのに猿人呼ばわりされてないようだけど。何で?」
「何でも何も……、竜族は竜神の加護を受けた者だからだが?」
ゼノンは不思議そうに首を傾げて。
ああ、知らないんだった、と納得している。
そうだよ。
見た目はもうすっかりこの世界の住人みたいだろうけど。
俺、異世界人だからな?
*****
竜族の他にも、蛇族やトカゲ族など。耳に毛が生えてない種族はけっこういるようだ。
どんな風貌の人なんだろう。
見るのが怖いような、あえて見てみたいような……。
”猿”という動物はいるけど。
猿を加護をする神様がいないので、竜族とか以外で耳に毛の無いものは亜人扱いされてたとか。
いないのか。
ハヌマーン的な存在は……。
猿は見た目が”人間”に似ているだけに気持ち悪い、と嫌われてるんだそうだ。
うーん、不気味の谷現象みたいなもんかなあ。
ゼノンは猿を気持ち悪いと思ったことも無いし、猿人と呼ばれる人に対して偏見も無かった。
でも、俺が猫族になって、ほっとしたんだろうな。
”神に愛でられた王子”として、嫌でも注目されちゃう身分だし。
嫁が”猿人”とかめちゃくちゃ叩かれそう。
何を言われようが、自分が守るつもりだったらしいけど。
いや、……ゼノンは本当に。
俺のことを、全力で守ろうとしてくれた。
「……ごめん、」
ゼノンの肩に寄り掛かって。
「ん?」
「俺が安全な馬車から勝手に降りちゃったせいで攫われちゃって。心配かけたよな?」
敵意があると思われていたレオニダス王と直接和解、というか、友好的に話が出来て結果的に良かったとしても。
突然ツガイを見失って。
心臓が停まりそうになるくらいショックだったようだし。
交渉役としてアドニスを連れて行くだけの理性は残ってても、友好国でもない国の城に乗り込むからには、アナトリコ王国と戦争も辞さない覚悟があっただろう。
俺がうっかりしてたせいで。
危うく戦争になるかもしれなかったんだ。
今回は、たまたまレオニダス王が良い人で助かったけど。
それは運が良かっただけだ。
*****
ゼノンは優しく微笑んで、俺の頬を撫でた。
「いや、防御魔法を厳重にかけすぎたため、余計に目をつけられたのもある。それに、事前に馬車に魔法を掛けていると言わなかった俺も悪かった」
まさか地下に穴を空けてやって来るとは思わなかったという。
だよね。
モグラって生物自体を知らなかったんだもんな。
俺が攫われて。
ゼノンは犯人のモグラ族二人を殺したいほど憎んだだろう。
でも、俺が血を見たくなかったから。結局お咎めなしになってしまった。
”亜人”は知能が低いって言われてるけど。
ちゃんと自分たちの種族を自覚してたし。”道逢の儀”のことも、相手が死ねば独身に戻ることも知っていた。
レオニダス王の反応を見て、自分たちが悪いことをしたって自覚もしてた。知能はそう低くはないと思う。
見た目がほぼ獣だからって、まともな教育を受けさせてもらえなかっただけじゃないのかな。
あの二人、俺を攫ったり通りがかった馬車から物を奪うことを悪いことだと思ってなかった。
知らなかった、悪気が無いからって、罪を許すべきではなかったかな……。
後でレオニダス王がきつく注意してくれるといいけど。
「本来、泥棒は手首を切り落とすべきなんだろうけど……」
万引きとか、罪に対しての罰が軽すぎる。
今こそ世界的にハンムラビ法典を復活させるべきだと思う。
目には目、歯には歯。それ以上を罰として奪ってはいけないって、いい法律だよな。
ちなみに姦淫は性器を切断だっけ? それは怖いな。
「えっ? スオウのいた世界ではそういう決まりがあるのか!?」
ゼノンの顔色が変わった。
あ、そういえばゼノンは異世界から強引に俺を攫ってきた拉致誘拐犯だった。
プラス強姦。
「うん、昔に。今は野蛮だからってやめちゃったけど」
そう言うと、ほっとしたように息を吐いた。
「残念だよね……」
「!?」
あ、しっぽが逆立ってる。
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