上 下
15 / 68

本能に忠実

しおりを挟む
「ひ……っ!?」

俺の中にいたゼノンのアレが、更に膨らんだ気がした。
……いや、気のせいじゃない。

実際に、大きくなってる。

嘘だろ。
ただでさえでかいのに。これ以上、大きくなるもんなの!?


「やだ、抜け……っ、これ、抜いてって、……ひぁっ、」

思わず逃げようとする腰を掴まれて。
ぐい、と引き下ろされる。

「ああ、怖かったか? 悪いが、に慣れてもらわないと困る」

愛おしむように、目元をぺろぺろと舐められてる。
泣いてたようだ。


大きくなった、というか。
太くなっていたのは全体ではなく、根元・・だけだと気付いた。

「何これ。どうなってるの?」
お腹いっぱいで、苦しいんだけど。

「俺の……というか、狼や犬族の性器は、放出した子種をしっかり着床させるため、根元が瘤のように膨らむ。それは蓋の役割をし、子種で腹を満たすように出来ている」


ああ。
何か前、そういう話は聞いたことある気がする。

犬は一度交尾したら、出し切るまで抜けなくなっちゃうとか何とか。


マジで!?
性器まで獣になっちゃうのかよ!?


*****


「で、でも俺、男だから。そんなことされても妊娠しないのに、」

「承知の上だ。スオウのこの薄い腹を、俺の子種でいっぱいに満たしたい。……奥の、奥まで」
やけに色気のある声で。

まるで、口説かれてるみたいで何だかドキドキしてしまう。
口説かれてるっていうか、すでに実行されてるんだけど。


確かに、中に出したいって言われて、OKはしたよ?
でも、こんなことになるなんて知らなかったし。

これに慣れろっていうけど。
そんなの無理だって。

ただでさえお腹の奥まで太くて大きいのを突っ込まれてる上に、更に根元を限界まで大きくされて。苦しいし。


うう、出てる……。
中で、液体がいっぱい出てるのが、感覚でわかってしまう。

っていうかイってるのに。何で中のゼノンはガチガチなんだよ!?


「ひっ、や、腰、揺すんな。バカぁ、」
「ああ……、可愛い。そら、スオウも快楽に溺れてしまうがいい、」
小刻みに腰を揺すられる。

それがすごく気持ち良くて。
気が遠くなりそうだ。

「愛している。俺の可愛いスオウ」
ちゅっちゅっ、と顔中にキスされてしまう。

愛情表現が激しすぎるよ。


いくら今まで誰かを好きになったこともなくて、こういう経験もなかったからって。
見た目はクールで禁欲的なのに。

エロいケダモノに覚醒し過ぎだろ!?


*****


「……ん、」
いつの間にか、寝てしまっていたようだ。

いっぱいイかされて、疲れたせいだろう。


「え?」
すぐに下半身の違和感に気付いた。

うわ、まだ入ってる。

っていうか。
まだ、出てる……?


ゼノンはまだ、一回目の射精も終わってなかったようだ。

いやいや、精液、どんだけ出るんだよ!? リットル単位で出てない?
干からびちゃわない?

俺のお腹も、心なしか膨らんでいるような……?

ええっ、精液だけでこんなになるもんなの!?
うわ怖い。

まさか、腸内逆流して、胃まで来ないよな!?


あ、違うわこれ、ゼノンの性器で腹が押されて、膨らんで見えるだけだ。
どれだけ固いんだよ。

陰茎骨? 中に骨があるから萎えても硬いとか。
どんだけエロ特化した種族だよ。

と。
自分の性器が視界に入った。


何これ。
皮から、赤い突起みたいのが飛び出してる……。

その突起の根元には、細かいトゲみたいなのが生えてる感じ。

まさかこれ、猫の性器?
性器の形状まで猫に変わっちゃってたの!?

ゼノンの性器も確かに人より犬寄りだけど。

俺も、半分獣になっちゃったから、理性が弱くなったというか、本能に忠実になって。
快楽にも弱くなって。

うっかり流されて、ゼノンのことを受け入れちゃったのかもしれない。
いや、そうに違いない。

そうじゃなかったら、自分を異世界に誘拐して強姦した男を許せるわけないもんな。


*****


ゼノンが俺の視線に気づいたようだ。

やたらエロい視線を向けられて。
にやりと笑うと、俺の性器を摘まんだ。

「ふにゃ!? やああっ、」

皮から出て敏感なそこを、皮膚の固い指で弄られて。
トゲトゲを逆なでされて。

中のゼノンを、ぎゅうぎゅうに締め付けてるのを感じる。


「気持ち良いか? 感じてくれて嬉しいぞ」
獣は、目を細めた。

「やあん、」
猫みたいな声が出てしまうのも、半分猫になったから……?


対面座位? だったのを、ベッドに押し倒されて。
ぐいぐい腰を押し付けられる。

「……スオウが男で良かったと、心から思う」
猫耳を甘噛みされながら、囁かれる。

「ふぇ……?」
「もし女で、俺の子を孕んだら。スオウの意識が他に向けられるのに我慢できず、俺は実の子にまで嫉妬し、噛み殺すに違いない」

真顔で何を言ってるんだか。

冗談ではなさそうな感じというか、本気っぽくて怖いんだけど。
本気……じゃないよな?


「んっ、」
出し切って、瘤が縮んだのか。

ゼノンが腰を前後に動かし始めた。

動く度に、ぐちゅぐちゅと水音がする。
中に出されたのを掻き回されてると思うと、恥ずかしくて死にそう。


まさか。
また、するの!?

ゼノンは一回しか出してないから、まだし足りないんだろうけど。
その一回が長すぎるんだよ!


*****


首に、ハッハッと、荒い息が掛かる。

汗一つかかなそうなのに。
興奮して、汗とか体液でどろどろになって、必死な様子で俺を抱いてる。


王子で、立場があるから。
おそらく、普段は無口で感情を見せないんだろう。

そんな男が。

こんな、異常なまでの独占欲を見せて。本能剥き出しな姿を晒すのは。
唯一、ツガイである俺だけなんだ。

そう思うと。
胸が締め付けられるみたいにきゅうきゅうする。


何だよこれ。
乙女じゃあるまいし。

まさか、ゼノンに恋しちゃったとかないよな!?


元の世界には戻れないだろうし、半分猫になっちゃったし。
仕方ないから、求婚を受け入れたけど。

異世界に無理矢理連れ去られて、強姦されて、嫁にされちゃったんだぞ!?
なのに。


いくら何でもチョロ過ぎだってば!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

王子なのに戦場の聖域で好き勝手ヤってたら獣人に飼われました

サクラギ
BL
戦場で共に戦う者たちを慰める場所、聖域がある。そこでは国も身分も関係なく集うことができた。 獣人と戦士が書きたいだけで始めました。独りよがりなお話をお許し下さいます方のみお進みください。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない

春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。 路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。 「――僕を見てほしいんです」 奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。 愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。 金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

処理中です...