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キノコマスター、旅立つ。
話し合いをしよう
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バルは目を瞬かせて俺を見ている。
あ、いけね。
こっちの言葉じゃなくちゃ通じないんだった。
ええと。
せっかく少しは話せるようになったってのに。頭ぐちゃぐちゃで言葉にならない。
「うわあ~、もっと言葉教えてもらえば良かった……!」
何で俺、こんなに頭が悪いんだよ?
小学校からエスカレーター式で、ずっとぬるま湯生活だったから、頭の回転が鈍いのか?
いや、俺が今まで、真面目に勉強することを選ばなかったのが悪いんだ。
今更後悔したって遅いけど。
『……拙く話すのもティエルノ故、黙っていたが。私は君の話す言葉を理解している。魔術師ならば簡単なことだ』
よしよし、と頭を撫でられた。
ティエルノって何?
俺の言葉が拙いのは知ってるけど。
俺の話してた日本語を理解してる? バルは魔術師だから、異世界人である俺の言葉もわかるって?
……そういえば。
俺を召喚した魔法使いも、俺の話す言葉は理解できていた。
じゃあ。
日本語で思わずかっこいいなあ、とか。ムカツクほどイケメンだよな、とか呟いたのも。全部理解してたってこと……?
うわあ。
恥ずか死ねる!
*****
『ふふ。そうだな。私のリンドガティート……この心優しき優輝を異世界より我が元に呼び寄せた功績だけは認めてやってもいいだろう』
微笑みを浮かべながら真っ直ぐ見つめられて、照れてしまう。
こんな、笑顔が魅力的なイケメンなのに。何で冷酷な魔王とか思われてるんだ? モテないやつのひがみ?
側近の人がまた、ぶはっ、って吹き出してる。
腹抱えて笑ってんだけど。
クールっぽい美形なのにな……。
バルがまだ側近の人を睨むと。
ぷるぷる震えながら笑うのを必死で止めている。そこまでウケるようなことを言ったのか?
「えっと。リンドガティートって、何?」
たぶん、その言葉に反応して笑ってたんだよな?
『意味を知りたいのかね? ならば、教えてあげよう』
バルの美貌が、間近に迫ってくる。
バルの背は、この世界でも高いほうだと思う。確実に3メートル以上はあるけど。
頭が小さいし、すらっとしたモデル体型だから、近くで見るぶんには、そんなに巨人って感じはしない。
村には、顔の大きさが俺の倍くらいある人もいた。肩幅も倍以上あって手足も棍棒みたいに太くて。まさに巨人! って感じで威圧感があったな。踏まれそうで怖い、なんて初めて思ったっけ。
バルの美貌に見惚れながら、そんなことを考えていたら。
「んぐ、」
ぱく、って感じで。
いきなり唇で、口を挟まれた。
と思ったら、大きな舌が、口の中に入ってきた。
親指で顎を、他の指で後頭部をしっかり押さえられて。
逃げようにも、しっかり抱き込まれてるし。
すごい力だ。
びくともしない。
「うう、うぐ、……っ、」
大きな舌で、喉の奥を探られて。
嘔吐きそうになる。
何だこれ。
俺、何をされてるんだ?
*****
「……っ、は、」
やっと舌を引き抜かれた頃には、あまりの苦しさに、涙が出てた。
その涙を、そっと拭われる。
「……泣かせてしまったか、すまない。しかし、これでこちらの言葉を完全に理解できるようになったはずだ」
え? 今ので、俺もこっちの言葉を話せるようになったって?
本当に? どういう魔法なんだよ。
あ、でもさっきまでの異世界語って感じじゃなくて、普通に日本語を話してるみたいに違和感なく聞こえた。
じゃあ、さっき疑問に思ったことを聞いてみるか。
これでそうなってなかったら泣かされ損だ。
っていうか。
さっきのって、もしかして、俺のファーストキ……いや、考えるのはやめよう。
「じゃあ改めて聞くけど。スデステ村の人は、自分が住んでる土地がバルの持ち物だってこと、知ってるのかな?」
「知らぬ者はいないはずだが?」
「でも、スデステ村の人は、外国から来たんだよね? スデステ村の人に話したの? ここは自分の土地だって」
バルは、少し首を傾げた。
「……いや。私の姿を見て、怯えて逃げていた。後ろ暗いところがある故だろう」
それぞれの領地の領主は、代々バルのことを知ってるし。
きちんと税を納めているので、何か不具合があれば自ら直接手助けもする、という。
しばらく姿が見えなかった時も、大雨で土砂崩れになっていた山を魔法で整えたり、援助しに行っていたらしい。
いい王様じゃないか。
「もしかしたら、知らなかったんじゃないかな……」
*****
俺は自分の世界……アメリカの話をした。
アメリカ大陸には、元々住んでいたインディアン……ネイティブアメリカン、だっけ? とにかく、先住民がいたんだ。
それなのに、船に乗ってやって来た外国の人が、突然新大陸発見、とか言いだして。先住民を追いやって、自分の国にしてしまった、って話。
どう考えても侵略行為なのに。ちょっと前までは”新大陸発見”って授業でも教えてたんだって、先生から教わった。
「なんと……。先に住んでいた者を追い出し、我が物とするとは。酷い話だ。そちらでは、そのような非道が許されるのか?」
バルはその話を聞いて、真剣に怒ってる。
うん、やっぱりバルは冷酷な魔王なんかじゃない。まともな……というか、俺たちと変わりない価値観を持った王様だった。
国とかが違うと常識も変わるっていうし、ちょっと心配してたけど。
感覚が同じみたいで安心っていうか、ほっとした。
あ、いけね。
こっちの言葉じゃなくちゃ通じないんだった。
ええと。
せっかく少しは話せるようになったってのに。頭ぐちゃぐちゃで言葉にならない。
「うわあ~、もっと言葉教えてもらえば良かった……!」
何で俺、こんなに頭が悪いんだよ?
小学校からエスカレーター式で、ずっとぬるま湯生活だったから、頭の回転が鈍いのか?
いや、俺が今まで、真面目に勉強することを選ばなかったのが悪いんだ。
今更後悔したって遅いけど。
『……拙く話すのもティエルノ故、黙っていたが。私は君の話す言葉を理解している。魔術師ならば簡単なことだ』
よしよし、と頭を撫でられた。
ティエルノって何?
俺の言葉が拙いのは知ってるけど。
俺の話してた日本語を理解してる? バルは魔術師だから、異世界人である俺の言葉もわかるって?
……そういえば。
俺を召喚した魔法使いも、俺の話す言葉は理解できていた。
じゃあ。
日本語で思わずかっこいいなあ、とか。ムカツクほどイケメンだよな、とか呟いたのも。全部理解してたってこと……?
うわあ。
恥ずか死ねる!
*****
『ふふ。そうだな。私のリンドガティート……この心優しき優輝を異世界より我が元に呼び寄せた功績だけは認めてやってもいいだろう』
微笑みを浮かべながら真っ直ぐ見つめられて、照れてしまう。
こんな、笑顔が魅力的なイケメンなのに。何で冷酷な魔王とか思われてるんだ? モテないやつのひがみ?
側近の人がまた、ぶはっ、って吹き出してる。
腹抱えて笑ってんだけど。
クールっぽい美形なのにな……。
バルがまだ側近の人を睨むと。
ぷるぷる震えながら笑うのを必死で止めている。そこまでウケるようなことを言ったのか?
「えっと。リンドガティートって、何?」
たぶん、その言葉に反応して笑ってたんだよな?
『意味を知りたいのかね? ならば、教えてあげよう』
バルの美貌が、間近に迫ってくる。
バルの背は、この世界でも高いほうだと思う。確実に3メートル以上はあるけど。
頭が小さいし、すらっとしたモデル体型だから、近くで見るぶんには、そんなに巨人って感じはしない。
村には、顔の大きさが俺の倍くらいある人もいた。肩幅も倍以上あって手足も棍棒みたいに太くて。まさに巨人! って感じで威圧感があったな。踏まれそうで怖い、なんて初めて思ったっけ。
バルの美貌に見惚れながら、そんなことを考えていたら。
「んぐ、」
ぱく、って感じで。
いきなり唇で、口を挟まれた。
と思ったら、大きな舌が、口の中に入ってきた。
親指で顎を、他の指で後頭部をしっかり押さえられて。
逃げようにも、しっかり抱き込まれてるし。
すごい力だ。
びくともしない。
「うう、うぐ、……っ、」
大きな舌で、喉の奥を探られて。
嘔吐きそうになる。
何だこれ。
俺、何をされてるんだ?
*****
「……っ、は、」
やっと舌を引き抜かれた頃には、あまりの苦しさに、涙が出てた。
その涙を、そっと拭われる。
「……泣かせてしまったか、すまない。しかし、これでこちらの言葉を完全に理解できるようになったはずだ」
え? 今ので、俺もこっちの言葉を話せるようになったって?
本当に? どういう魔法なんだよ。
あ、でもさっきまでの異世界語って感じじゃなくて、普通に日本語を話してるみたいに違和感なく聞こえた。
じゃあ、さっき疑問に思ったことを聞いてみるか。
これでそうなってなかったら泣かされ損だ。
っていうか。
さっきのって、もしかして、俺のファーストキ……いや、考えるのはやめよう。
「じゃあ改めて聞くけど。スデステ村の人は、自分が住んでる土地がバルの持ち物だってこと、知ってるのかな?」
「知らぬ者はいないはずだが?」
「でも、スデステ村の人は、外国から来たんだよね? スデステ村の人に話したの? ここは自分の土地だって」
バルは、少し首を傾げた。
「……いや。私の姿を見て、怯えて逃げていた。後ろ暗いところがある故だろう」
それぞれの領地の領主は、代々バルのことを知ってるし。
きちんと税を納めているので、何か不具合があれば自ら直接手助けもする、という。
しばらく姿が見えなかった時も、大雨で土砂崩れになっていた山を魔法で整えたり、援助しに行っていたらしい。
いい王様じゃないか。
「もしかしたら、知らなかったんじゃないかな……」
*****
俺は自分の世界……アメリカの話をした。
アメリカ大陸には、元々住んでいたインディアン……ネイティブアメリカン、だっけ? とにかく、先住民がいたんだ。
それなのに、船に乗ってやって来た外国の人が、突然新大陸発見、とか言いだして。先住民を追いやって、自分の国にしてしまった、って話。
どう考えても侵略行為なのに。ちょっと前までは”新大陸発見”って授業でも教えてたんだって、先生から教わった。
「なんと……。先に住んでいた者を追い出し、我が物とするとは。酷い話だ。そちらでは、そのような非道が許されるのか?」
バルはその話を聞いて、真剣に怒ってる。
うん、やっぱりバルは冷酷な魔王なんかじゃない。まともな……というか、俺たちと変わりない価値観を持った王様だった。
国とかが違うと常識も変わるっていうし、ちょっと心配してたけど。
感覚が同じみたいで安心っていうか、ほっとした。
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