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J・J
城から出る
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部屋に戻る前。
アンリは報告書を読み、クロエに告げた。
「そうそう、明日には診察室が使用可能になるそうだ」
王命で、外出後のうがい手洗いの徹底。
咳や熱のある者は診療所に来るよう通達したという。
では、早くも明日から患者が来るのか。
「診察室には俺もついていく。多少なら医療魔法も使える。助手に使え」
部屋に戻るなり、クロエに告げた。
「え、でも……」
「患者を診る医師が一番危険にさらされるのだろう? 心配だ。クロエから離れたくない」
森のことなら、少々離れていてもわかる。
今は狩りの時期でもないし、俺が行かねばならないような事件は滅多に起こらないだろう。
クロエを危険から遠ざけなければならない。
俺の命に代えても。
†‡†‡†
「カゼなら何度か引いたことあるし。僕は大丈夫だよ。むしろ、もしジャンがダウンしたら誰がその巨体を運ぶの?」
困ったように言われた。
俺が病に倒れる? そういう可能性もあったか。
想像したことも無かった。
確かに、クロエの細腕では、俺を運べないだろう。
危険だからと他人を呼ばず、自分で何とかしようと考えるクロエは立派だが。
重力の魔法は習得できなかったようだ。
デュランは得意なんだがな。
伝染病というものに罹ると、高熱が出て体力を奪われ衰弱し、動けなくなるという。
俺は今まで、そんな状態にはなったことが無い。
伝染する病なら、その辺に放り出しても構わない、とは言えない。
実際、なってみないとわからないかもしれないが。
「なら、診察室の近くに寝台を置かせよう。そこまで、這ってでも行く」
それまでは、クロエの傍で支えてやりたい。
絶対に離れない、という俺の気概を酌んでくれたようだ。
「じゃあお願いするね」
苦笑して、手を差し出してきた。
クロエは握手を求めたのだろう。
だが。
俺はその小さな手を掴み、自分の方へ引き寄せた。
†‡†‡†
「挿れないから、触らせろ」
柔らかな頬に顔を摺り寄せ、懇願する。
「愛している。クロエ」
愛を告げると。
照れたように目を伏せた。
この様子では、嫌ではないようだ。
すぐに抱き上げ、寝台まで運び、愛しいツガイを押し倒した。
顔を寄せずとも、首筋から、たまらなく芳しい香りが漂ってくる。
すでに感じているのだ。
鼓動は早鐘のようだ。可愛らしい。
鼻腔いっぱいに甘く官能的な芳香を吸い込みながら、クロエの服を脱がしていく。
無論、抵抗はない。
「うぁ、……ん、」
性器に触れただけで、真っ赤になりながらびくりと身体を震わせたが。
それが拒絶ゆえの反応ではないことは、後孔に触れずともわかる。
感じているクロエの顔は、普段の幼く見える容姿に反し、とてつもなく色っぽい。
「こんなに可愛いのに、年上とはな」
口づけをしながら告げると。
ムッとしたように睨まれるのも愛おしい。
「ひゃ、……や、」
桃の花弁のような乳首を吸い、舌先で捏ねてやると、可愛らしい鳴き声を上げる。
充血し、紅く色づいたそこは唾液で濡れ、てらてらと光っている。
目が合う。
クロエはそれを見て、恥ずかしがっているようだ。
俺がこうしたんだぞ、と。
わからせるようにぴんと立った乳首を指先でつまんでやると、内股がびくりと震えた。
後ろに、欲しいのだろう。
疼いている。
俺が、クロエの身体をそのようにしたのだ。
†‡†‡†
あまり焦らすとクロエが泣くので、性器と後孔を可愛がって達かせた。
快楽で鳴かせるのは良いが、泣かれて嫌われては台無しだ。
気持ち良いことだけをしてやることに決めている。
「クロエ……、」
射精の後の虚脱でぼんやりとしているクロエの太股に己を挟ませる。
……挿れたい。
指を挿れるだけでは、太股で擦るだけでは足りない。
クロエの中に入りたい。
貫いて。
奥の奥まで味わい、熱く締め付けるはらわたの中で達し。
精を放ち、腹が膨らむほど注ぎ込みたい。
クロエの中を、俺で満たしたい。
狂おしいほどの衝動を、必死に耐える。
俺は獣ではない。獣人だ。
襲い掛からない、理性があるはずだ。
なのに、どうしようもなく、欲しくなる。
クロエの何もかも、全て。
骨の一欠片も残さず喰らい尽くしてしまいたい。
ツガイというのは、これほどまでに理性をかき乱される存在なのか。
「ん、」
クロエが俺の腕に掴まった。
小さな手。
俺とは違う、柔い肌。
優しくしなくてはいけない、と反射的に思い、動きを止める。
「痛かったか? 乱暴に擦り過ぎたか」
「ん、へいき」
愛しいツガイの額に口づけを落とし。
クロエの足を抱え上げた。
滑らかで柔らかな太股の間に己を挟み、そこで遂情するために。
†‡†‡†
朝食の席でクロエは、感染の危険を防ぐため、俺とクロエはここの客室ではなく、診察室の傍に移すと宣言した。
これからは食事も別々に摂るべきだと。
報告や連絡の伝達すら、直接口頭で伝えるのではなく文書形式が良いという。
かなり徹底している。
「そこまで用心せねばならぬほどのことなのか?」
ロイは眉根を寄せ、不満そうだ。
賢く愛らしいクロエと、こうして一緒に食事をするのを、ロイやメイベル、アンリも楽しみにしていたのだろう。
だが。
「それほどのことです。そこまでしても、足りない可能性もありえます」
真剣な顔で。
何が起こるかわからないので、万が一のことを考えて用心しておくのが大事だとクロエは言った。
メイベルだけでなく、ロイやアンリすら不安そうな表情を浮かべ、クロエを見ている。
伝染病とは、そこまで恐ろしいのかと怯えたのだろう。
「後で過剰に用心しすぎたと笑い話にできることを願ってください。騒動が収まったら、またご一緒に食事が出来るのを楽しみにしてますから」
クロエは明るく言ってみせた。
「ああ、一日でも早くそうなるよう、その日を待とう」
ロイも不安げな表情を笑顔に変えて了承し。
アンリはそのように手続すると言った。
「うん。一緒にお菓子食べようね。異世界のお菓子、楽しみにしてるよ」
メイベルは泣きそうだったが。
涙をこらえ、微笑んだ。
随分と成長したのだと思った。
おそらく、俺も変わっただろう。
クロエというかけがえのないツガイを得て。
アンリは報告書を読み、クロエに告げた。
「そうそう、明日には診察室が使用可能になるそうだ」
王命で、外出後のうがい手洗いの徹底。
咳や熱のある者は診療所に来るよう通達したという。
では、早くも明日から患者が来るのか。
「診察室には俺もついていく。多少なら医療魔法も使える。助手に使え」
部屋に戻るなり、クロエに告げた。
「え、でも……」
「患者を診る医師が一番危険にさらされるのだろう? 心配だ。クロエから離れたくない」
森のことなら、少々離れていてもわかる。
今は狩りの時期でもないし、俺が行かねばならないような事件は滅多に起こらないだろう。
クロエを危険から遠ざけなければならない。
俺の命に代えても。
†‡†‡†
「カゼなら何度か引いたことあるし。僕は大丈夫だよ。むしろ、もしジャンがダウンしたら誰がその巨体を運ぶの?」
困ったように言われた。
俺が病に倒れる? そういう可能性もあったか。
想像したことも無かった。
確かに、クロエの細腕では、俺を運べないだろう。
危険だからと他人を呼ばず、自分で何とかしようと考えるクロエは立派だが。
重力の魔法は習得できなかったようだ。
デュランは得意なんだがな。
伝染病というものに罹ると、高熱が出て体力を奪われ衰弱し、動けなくなるという。
俺は今まで、そんな状態にはなったことが無い。
伝染する病なら、その辺に放り出しても構わない、とは言えない。
実際、なってみないとわからないかもしれないが。
「なら、診察室の近くに寝台を置かせよう。そこまで、這ってでも行く」
それまでは、クロエの傍で支えてやりたい。
絶対に離れない、という俺の気概を酌んでくれたようだ。
「じゃあお願いするね」
苦笑して、手を差し出してきた。
クロエは握手を求めたのだろう。
だが。
俺はその小さな手を掴み、自分の方へ引き寄せた。
†‡†‡†
「挿れないから、触らせろ」
柔らかな頬に顔を摺り寄せ、懇願する。
「愛している。クロエ」
愛を告げると。
照れたように目を伏せた。
この様子では、嫌ではないようだ。
すぐに抱き上げ、寝台まで運び、愛しいツガイを押し倒した。
顔を寄せずとも、首筋から、たまらなく芳しい香りが漂ってくる。
すでに感じているのだ。
鼓動は早鐘のようだ。可愛らしい。
鼻腔いっぱいに甘く官能的な芳香を吸い込みながら、クロエの服を脱がしていく。
無論、抵抗はない。
「うぁ、……ん、」
性器に触れただけで、真っ赤になりながらびくりと身体を震わせたが。
それが拒絶ゆえの反応ではないことは、後孔に触れずともわかる。
感じているクロエの顔は、普段の幼く見える容姿に反し、とてつもなく色っぽい。
「こんなに可愛いのに、年上とはな」
口づけをしながら告げると。
ムッとしたように睨まれるのも愛おしい。
「ひゃ、……や、」
桃の花弁のような乳首を吸い、舌先で捏ねてやると、可愛らしい鳴き声を上げる。
充血し、紅く色づいたそこは唾液で濡れ、てらてらと光っている。
目が合う。
クロエはそれを見て、恥ずかしがっているようだ。
俺がこうしたんだぞ、と。
わからせるようにぴんと立った乳首を指先でつまんでやると、内股がびくりと震えた。
後ろに、欲しいのだろう。
疼いている。
俺が、クロエの身体をそのようにしたのだ。
†‡†‡†
あまり焦らすとクロエが泣くので、性器と後孔を可愛がって達かせた。
快楽で鳴かせるのは良いが、泣かれて嫌われては台無しだ。
気持ち良いことだけをしてやることに決めている。
「クロエ……、」
射精の後の虚脱でぼんやりとしているクロエの太股に己を挟ませる。
……挿れたい。
指を挿れるだけでは、太股で擦るだけでは足りない。
クロエの中に入りたい。
貫いて。
奥の奥まで味わい、熱く締め付けるはらわたの中で達し。
精を放ち、腹が膨らむほど注ぎ込みたい。
クロエの中を、俺で満たしたい。
狂おしいほどの衝動を、必死に耐える。
俺は獣ではない。獣人だ。
襲い掛からない、理性があるはずだ。
なのに、どうしようもなく、欲しくなる。
クロエの何もかも、全て。
骨の一欠片も残さず喰らい尽くしてしまいたい。
ツガイというのは、これほどまでに理性をかき乱される存在なのか。
「ん、」
クロエが俺の腕に掴まった。
小さな手。
俺とは違う、柔い肌。
優しくしなくてはいけない、と反射的に思い、動きを止める。
「痛かったか? 乱暴に擦り過ぎたか」
「ん、へいき」
愛しいツガイの額に口づけを落とし。
クロエの足を抱え上げた。
滑らかで柔らかな太股の間に己を挟み、そこで遂情するために。
†‡†‡†
朝食の席でクロエは、感染の危険を防ぐため、俺とクロエはここの客室ではなく、診察室の傍に移すと宣言した。
これからは食事も別々に摂るべきだと。
報告や連絡の伝達すら、直接口頭で伝えるのではなく文書形式が良いという。
かなり徹底している。
「そこまで用心せねばならぬほどのことなのか?」
ロイは眉根を寄せ、不満そうだ。
賢く愛らしいクロエと、こうして一緒に食事をするのを、ロイやメイベル、アンリも楽しみにしていたのだろう。
だが。
「それほどのことです。そこまでしても、足りない可能性もありえます」
真剣な顔で。
何が起こるかわからないので、万が一のことを考えて用心しておくのが大事だとクロエは言った。
メイベルだけでなく、ロイやアンリすら不安そうな表情を浮かべ、クロエを見ている。
伝染病とは、そこまで恐ろしいのかと怯えたのだろう。
「後で過剰に用心しすぎたと笑い話にできることを願ってください。騒動が収まったら、またご一緒に食事が出来るのを楽しみにしてますから」
クロエは明るく言ってみせた。
「ああ、一日でも早くそうなるよう、その日を待とう」
ロイも不安げな表情を笑顔に変えて了承し。
アンリはそのように手続すると言った。
「うん。一緒にお菓子食べようね。異世界のお菓子、楽しみにしてるよ」
メイベルは泣きそうだったが。
涙をこらえ、微笑んだ。
随分と成長したのだと思った。
おそらく、俺も変わっただろう。
クロエというかけがえのないツガイを得て。
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