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おまけ:赤竜王の思い出
ツガイとの幸せの記録
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慣らして、ゆっくりと挿入していく。
「……あれ?」
いつもとは、違う感触。
油ではない、ぬめりを感じた。これは。
ああ。
朔也は。私の願いを、叶えてくれたのだ。
「朔也……、」
朔也は、明後日の方向を見て。恥ずかしそうに頬を染めている。
昼に睦みあう時、明るさに恥じるほど恥ずかしがりだというのに。
私が願ったから?
「絶対、誰にも言うなよ?」
何度も頷いて。
ぎゅっと抱き締めた。
「愛してる、」
囁いて。
奥へと腰を進ませた。
自分だけでなく、相手からも。
欲しいと思ってくれることが、こんなに嬉しいとは。
*****
「ん、……っく、は、あ、あっ」
腰を叩き付けるように中を穿つと。
その度に、甘い声が上がる。
引き抜こうとすると、離したくないと吸い付いてくるのに。
入れるのに、さほど抵抗は無く。
「ああ、凄い。……吸い付いてくるのに、ぬるぬるだ」
腰を動かす度、ぐちゅぐちゅと音がして。
その音に、朔也が恥じらっているのも可愛らしくてたまらない。
「朔也も、気持ちいいの? ここも中も、びしょびしょだね」
精を零している朔也の花茎を擦りながら囁くと。
きゅう、と蕾の締め付けがきつくなる。
一滴残らず搾り取られそうだ。
「は、あ、あっ、ん、」
何も知らなかったのに。
口付けすら私としたのが初めてだった、初心な朔也が。
私に抱かれて、感じるようになって。
私を受け入れてくれて。
濡れる身体になってくれた。
私がどんなに嬉しいか、わかるだろうか?
*****
「俺の可愛いツガイ。……朔也。何でこんなに愛おしいんだろう」
いくら抱いても、飽きることがない。
むしろもっと抱きたくなる。
人間が侵される、麻薬中毒のようだ。
依存性の高い、甘い毒。
「ごめんね。……俺のせいで色々失って。それでも、朔也を手放せない」
山で出逢って。
欲に負けて、攫ってしまったせいで。
ずっと通いたかったという大学も。
学友も。家族も。
普通の、人としての生活を。
君から奪ってしまった。
「俺は、何も失ってないよ。……大好きなツガイは得たけど」
朔也は、優しく微笑んだ。
「家族よりも。元の生活よりも。俺は朱赫を選ぶよ」
何よりも。
私を選ぶと。言ってくれた。
「ああ、朔也……、俺はもう、君なしでは生きていけない」
「貴方のいない世界なんて想像できない」
朔也は、こちらの言葉で応えてくれた。
『愛しているよ、朔也。私は君だけを、生涯愛し続ける』
私は日本語で、愛を伝えた。
それが。
私たちだけの、愛の交歓。
*****
「朱赫、何読んでるの?」
私の愛しいツガイが、背中に圧し掛かってきた。
全体重を預けてきているが、相変わらず、羽のように軽い。
「日記だよ。君との思い出を反芻して、幸福に浸ってた」
片目を閉じてみせると、真っ赤になって。
「もう。恥ずかしいことばっか言う」
ぽかぽかと、背を叩かれる。
「……ちょ、何てこと書いてるんだよ!」
日記を見て。
朔也がまた赤くなっている。
「レコーダーとか無いのに。何でこんなこと、細かに覚えてるの!?」
「君の言葉なら、一字一句全て記憶している」
龍の記憶力は途轍もないのである。ツガイの言葉に限るが。
「こわっ!」
「愛だよ、愛」
「まあいいけど。……あ、剛麒もキッチン欲しいらしくて。いいの見繕ってやってって望ちゃんが言ってた」
どうやら、ガス水道キッチン周り整備の腕を見込まれたようだが。
「わりと大変な作業なんだけどね……」
「俺からもお願い」
私のツガイは、私が一番喜ぶ方法に気付いて、おねだりが随分上手になった。
もちろん喜んで、引き受けよう。
朔也の喜ぶ顔が、私の一番のご褒美であるのだから。
*****
「じゃ、早く、寸法測りに行こう!」
ちゃんとした服に着替えてくる、と部屋を出て行った。
「片付けたら、すぐに行くよ」
書斎の机には、日記と。
朔也の実家に届いた、二枚の明信片。
一枚は、火傷が消えたことと、謝罪の言葉。
もう一枚は、朔也の友から。
いつでも見られるよう、飾っておこう。
私たちの幸せの記録と、朔也のアルバムの並ぶ棚に。
おわり
「……あれ?」
いつもとは、違う感触。
油ではない、ぬめりを感じた。これは。
ああ。
朔也は。私の願いを、叶えてくれたのだ。
「朔也……、」
朔也は、明後日の方向を見て。恥ずかしそうに頬を染めている。
昼に睦みあう時、明るさに恥じるほど恥ずかしがりだというのに。
私が願ったから?
「絶対、誰にも言うなよ?」
何度も頷いて。
ぎゅっと抱き締めた。
「愛してる、」
囁いて。
奥へと腰を進ませた。
自分だけでなく、相手からも。
欲しいと思ってくれることが、こんなに嬉しいとは。
*****
「ん、……っく、は、あ、あっ」
腰を叩き付けるように中を穿つと。
その度に、甘い声が上がる。
引き抜こうとすると、離したくないと吸い付いてくるのに。
入れるのに、さほど抵抗は無く。
「ああ、凄い。……吸い付いてくるのに、ぬるぬるだ」
腰を動かす度、ぐちゅぐちゅと音がして。
その音に、朔也が恥じらっているのも可愛らしくてたまらない。
「朔也も、気持ちいいの? ここも中も、びしょびしょだね」
精を零している朔也の花茎を擦りながら囁くと。
きゅう、と蕾の締め付けがきつくなる。
一滴残らず搾り取られそうだ。
「は、あ、あっ、ん、」
何も知らなかったのに。
口付けすら私としたのが初めてだった、初心な朔也が。
私に抱かれて、感じるようになって。
私を受け入れてくれて。
濡れる身体になってくれた。
私がどんなに嬉しいか、わかるだろうか?
*****
「俺の可愛いツガイ。……朔也。何でこんなに愛おしいんだろう」
いくら抱いても、飽きることがない。
むしろもっと抱きたくなる。
人間が侵される、麻薬中毒のようだ。
依存性の高い、甘い毒。
「ごめんね。……俺のせいで色々失って。それでも、朔也を手放せない」
山で出逢って。
欲に負けて、攫ってしまったせいで。
ずっと通いたかったという大学も。
学友も。家族も。
普通の、人としての生活を。
君から奪ってしまった。
「俺は、何も失ってないよ。……大好きなツガイは得たけど」
朔也は、優しく微笑んだ。
「家族よりも。元の生活よりも。俺は朱赫を選ぶよ」
何よりも。
私を選ぶと。言ってくれた。
「ああ、朔也……、俺はもう、君なしでは生きていけない」
「貴方のいない世界なんて想像できない」
朔也は、こちらの言葉で応えてくれた。
『愛しているよ、朔也。私は君だけを、生涯愛し続ける』
私は日本語で、愛を伝えた。
それが。
私たちだけの、愛の交歓。
*****
「朱赫、何読んでるの?」
私の愛しいツガイが、背中に圧し掛かってきた。
全体重を預けてきているが、相変わらず、羽のように軽い。
「日記だよ。君との思い出を反芻して、幸福に浸ってた」
片目を閉じてみせると、真っ赤になって。
「もう。恥ずかしいことばっか言う」
ぽかぽかと、背を叩かれる。
「……ちょ、何てこと書いてるんだよ!」
日記を見て。
朔也がまた赤くなっている。
「レコーダーとか無いのに。何でこんなこと、細かに覚えてるの!?」
「君の言葉なら、一字一句全て記憶している」
龍の記憶力は途轍もないのである。ツガイの言葉に限るが。
「こわっ!」
「愛だよ、愛」
「まあいいけど。……あ、剛麒もキッチン欲しいらしくて。いいの見繕ってやってって望ちゃんが言ってた」
どうやら、ガス水道キッチン周り整備の腕を見込まれたようだが。
「わりと大変な作業なんだけどね……」
「俺からもお願い」
私のツガイは、私が一番喜ぶ方法に気付いて、おねだりが随分上手になった。
もちろん喜んで、引き受けよう。
朔也の喜ぶ顔が、私の一番のご褒美であるのだから。
*****
「じゃ、早く、寸法測りに行こう!」
ちゃんとした服に着替えてくる、と部屋を出て行った。
「片付けたら、すぐに行くよ」
書斎の机には、日記と。
朔也の実家に届いた、二枚の明信片。
一枚は、火傷が消えたことと、謝罪の言葉。
もう一枚は、朔也の友から。
いつでも見られるよう、飾っておこう。
私たちの幸せの記録と、朔也のアルバムの並ぶ棚に。
おわり
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