人生に絶望した俺が異世界で龍のツガイにされるなんてこれはきっと悪い夢に違いない。

篠崎笙

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黄龍大帝のツガイ

友情と愛情

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「元白も冬雅も好きだし。仮面つけてたとしても、別に拒絶しないよ……?」

抱かれるのは嫌だけど。
好意で龍気を分けてくれるというなら、ありがたく頂く。


『望殿、私は? 私からでも受け取っていただけます?』
青峰から訊かれて。

「ああ、もちろん。青峰も好きだよ」

『嬉しいです。私も望殿が好きですよ』
にっこり笑ってる。

恋愛感情ではない、純粋な好意というのは嬉しいものだ。


ふと見たら。
朱赫が戸の陰からこちらを覗いていた。

「朱赫も好きだよ?」

すると、嬉しそうににこーっと笑って、立ち去った。
何やってんだあの人。


ちょっと可愛いな、とか思ってしまった。


*****


『うわああん、望の浮気者ー!』

元白は泣きながら出て行った。
あいつ、あの図体でまだ泣き虫なのか……。

大丈夫か? 聖将白龍王。

っていうか、何だよ浮気者って。
俺がいつ、何をお前と誓い合ったというんだ……。


『終生の愛を誓い合い、望の心はわたしだけのものだというのに。寝言を抜かすなというのだ』

雷音。
いつの間に。

気がついたら、背後に立ってた。
毎度、気配を消して近寄るのは止めて欲しい。

何ドヤ顔してんだよ。
さあ、自分のことも好きだと言え、みたいな顔してこっち見んな。

……見なかったことにしよう。


「ええと、それで式の礼儀作法は……、」
ガン無視して、本に視線を落とす。

『望殿、かまって差し上げてください……』
青峰は、しょぼんとしてる雷音を見て、あわあわして。

『ウザいのはわかりますが、拗ねると厄介ですから。ここは堪えて』
何気に酷いこと言ってるな冬雅。


龍って、けっこう懐っこいというか。かまって欲しがる生き物のようだ。
そこが可愛いところでもあるけど。

「……そういうの、人前で言うのやだ」

『ああ、友情は良いけれど、本気の告白は恥ずかしいという複雑な気持ちなのですね!』
何で生き生きとしてんの青峰。


いや、まあ。
……そういうことになるのかな。

おそらく顔が真っ赤になっていってることがわかる。
顔が熱い。


『ならば、今すぐに二人きりになろう。望!』
勉強中だっていうのに。


駄目な皇帝に攫われた。


*****


『むう、他の龍のにおいがする』

龍気かな?
元白と、冬雅のを受け取ったから。

俺には違いはわからないけど。
龍同士はわかるものなのか。


『溢れるほど注いで、全て追い出してやろう』
ヤキモチか!

抱き締められて。
愛おしくてたまらない、という風にキスをされる。

「んう、……んん、……ん、」

口の中に舌を突っ込まれるのも、唾液を交換する行為も。
雷音とじゃなかったら、絶対無理だと思う。


性急に、拡げるように後ろを探られてる。
俺も。早くしたい。

雷音のに触れてみたら、すでにガチガチで。臨戦状態だった。


背中を叩いて。

『望?』
口が離れたので。

雷音に、喉を晒してみせた。
逆鱗。

すぐに、しゃぶりつくように逆鱗に舌を這わされて。


「ひ……っ、あああっ」
一気に突き入れられる。

気持ち良い。
身体全部が性感帯になってるみたいで。触れられるだけでもイってしまいそうだ。


「雷音、……好き、……ん、」
しがみついて、告げる。

『ああ、望。そなたがこうして身体を許すのは、わたしだけだな?』
「ん、当たり前……、」

『わたしのものだ、望。……愛している』


何度も、愛を告げられて。
何度も注がれた。

身体の中が、雷音でいっぱいになるまで。
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