人生に絶望した俺が異世界で龍のツガイにされるなんてこれはきっと悪い夢に違いない。

篠崎笙

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黄龍大帝のツガイ

逆鱗に触れる

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『望の心の広さに感謝するがいい』

『ははっ、』
無罪放免となった冬雅は深く頭を下げた。


『あの、僭越ながら。ツガイ殿は何故、平服で図書の整理など……?』

まさか皇帝陛下のツガイともあろう身分の人が下働きのするような仕事をしているとは考えにも及ばず。
フリーなら自分のものにしてしまおうと思ったようだ。

まあ使用人だからっていっても、決して気軽に手を出していいわけじゃないと思うけど。
倫理観が違うのかな? 王様だっていうしな。


『後宮に籠るより、何か仕事をしたいと云うので。困っていた青峰の手伝いをさせたのだ』

俺が皇帝のツガイでいるのは死んでも嫌だと拒んだためこうなった、とはさすがに言えなかったようだ。
そういうことにしておいてやろう。


*****


「そういや、青峰に用事って何だったの?」

『ああ、以前より緑王が欲しいと云っていた書物が手に入ったので。届けに来たのですが』
懐から、本を出した。

「じゃ今リストに入れるから、一旦俺に渡して? すぐ読みたいだろうし、青峰に渡しとくよ」
『では、お願いできますか?』


差し出された本を受け取ろうとして。


素顔の冬雅と目が合う。


……うわあ、何度見ても綺麗な顔だなあ。
と見惚れていたら。


『冬雅、面を着けよ』
苦虫を噛み潰したような雷音の声で、我に返った。

『はっ、』
冬雅は慌てて顔を隠した。

お面を着けてるのは、綺麗すぎて皆がぼんやりと見惚れてしまい、仕事にならないからだそうだ。
美形も大変だな。

でも、今まで好きなように食い放題だったんだろうな。
間近で見たら、抵抗する気なくすもん。


「雷音は、冬雅の顔を見ても平気なの?」

『顔の美醜など、たかだか皮一枚の差で惑わされたりはせん』
得意そうにすまし顔してるけど。

「匂いには惑ったわけだ」
『…………だからもう、そなたの意志に反してはせぬと云うておろうに……こら冬雅、何を笑うか』

冬雅は肩を震わせて、笑っているようだ。

『いえ、戦鬼龍神と音に聞こえた雷帝も、可愛いツガイ殿の前ではそのような顔をされるのかと、』


確か、朱赫も”雷帝”とか言ってたな。
名前が雷音だからかな?

雷でも放つとかなら、竜神様ならぬ雷神様だ。


*****


『ツガイ殿の逆鱗は隠すより、むしろ見せた方が危険が減るかと存じますが』
まさか、皇帝の印がついている者を狙う命知らずはいないだろう、と冬雅は言った。

『しかし、誰かに不意に触れられた場合、わたしが側にいなかったら……』
心配性だな、と思ったが。

実際今日、危ないとこだったからな。
逆鱗を見て、止まってくれたからいいけど。


『中央を水晶にし、逆鱗を守りながらも見えるような首飾りにしてはいかがでしょうか。宝石の細工物は、我が国の得意と致すところです』
『そうか、ならばそちに頼もう』

今つけてるやつを元に作る、というので。
一旦チョーカーを外して渡した。

「ずっと着けてたから、外すと何か心許ない感じだなあ」
首がスースーするような気がする。

『そうか、こうしてずっと守ってやれたらいいのだがな』
と、首を覆うように触れて。


「っ!?」
雷音の指が。

逆鱗に、触れた。


「雷音……、」
この野郎。

思わず前屈みになって、涙目で雷音を睨む。

『い、いや、わざとではないぞ!?』


『陛下、早くツガイ殿を寝所に、くっ、芳香がここまで……、』
冬雅はマントで鼻を覆っている。


どうやらフェロモンがめちゃくちゃ出ているようだ。

何その反応。
俺は毒ガスか何かか?


雷音は俺を抱え上げて。
大急ぎで自分の部屋まで運んだ。


*****


身体が熱くて。
今すぐにでも擦りまくって、下半身の熱を吐き出したくてたまらない。

それだけじゃなくて。
何故だか後ろが、刺激を求めて疼いている。

これが、龍のツガイに与えられる”発情”か。


服を脱ぎたいのに。
動くと布が触れる刺激がたまらなくて、下手に動けない。

「雷音、はやく……、」
何とかしろよ、あんたのせいだからな! とまでは言えず。

悶えるばかりである。


雷音はごくり、と喉を鳴らした。
『ああ、すぐに』


服を脱がされて。
香油を手にして、俺の性器を擦りながら、後ろを慣らしていく。

触れられるだけでも感じてしまうのに。
指を入れられて、動かされると。

頭がおかしくなりそうだ。


「ひぁ、……あぅ、はあ、雷音、もう、……お願い、ここに、」
腰を上げて、雷音を求めてしまう。

中を、早く。
めちゃくちゃに、擦って欲しい。


『ああ、望……、今、与えるぞ』
腰を掴まれて。

待ち望んでいたもの、が入ってきた。

俺の中を、いっぱいに満たして。
えらの張ったもので、中をごりごりと擦りあげられる。


「は、……ああっ、雷音、もっと、奥、……来て、」

『全て、そなたの望むままに。望……、』
お尻に、ぱしん、と腰骨が当たるくらいに叩きつけられる。

「……は、ああ、雷音の、奥、来てる……、いっぱい、……はぁん、」

大きな手。
腰を掴まれながら、胸の先を人差し指でぐりぐりと弄られる。

そうすると、中の雷音を締め付けてしまう。


「ね、中ぁ、ぐちゅぐちゅって、掻き回して……?」
ねだると。

ぐん、と中のものが大きくなったような感じがした。

『望……、どうしてそなたはわたしをこのように、狂わせるのか……』

「ひぁ、あっ、あっ、やあ、激し、いやぁ、あっ、」
ぐちゅぐちゅと、恥ずかしいくらいの水音がして。

めちゃくちゃに腰を叩きつけられて。
中をごりごり穿たれている。

なのにそれが、頭がおかしくなるほど気持ちいい。


「ひぁ、あ、いい、きもちいいよぉ、雷音、雷音、」
『愛しい望。わたしなしではいられないくらい、感じよ。もっと、わたしを、欲しがるがいい、』

「雷音、もっと、」
『ああ、何度でも。そなたが望むなら、果てるまで』


何度も中に出されて。

前から後ろから、表裏引っくり返されて。
何回もされた。
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