神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

エピローグ

異世界で、結婚パレードする。

「王様万歳ソンプラジャルーン！」
喜びの声が上がる。

国王の伴侶は神の子で、結婚式では直接神から祝福を受け。
更に神獣である狛犬プラ・シンが二人をその背に乗せて歩いているんだから、これはめでたい！　となったんだろう。

花火が上がったり、花が撒かれたりして。国中大騒ぎだ。


「何で神様は俺に、こんなに目を掛けてくれるんだろ？」
謎過ぎる。サービス過剰じゃないか？

「ふふ、君は自覚が無いようだけど。あのような力を持っているのに、私欲のために使わないのは、本当に凄いことなのだよ？」
ウィリアムは苦笑している。

「え、俺、お酒とか食べ物、めちゃくちゃ私欲で出しまくりだよ？」
自分の理想の家も建てたし。

今日も、ウィリアムの晴れ姿を記録に残しておきたくてカメラ出しちゃったし。
私欲まみれだ。


＊*＊*＊


「しかし、それを独り占めしてはいないだろう？」
「出そうと思えばいくらでも出せるのに。独り占めしてどうするの？」

”創造”スキルは魔力を消費するわけでもない。
個数や範囲の制限もない。人に迷惑が掛からない範囲で使うなら、惜しむものでもないと思う。

俺は人が美味しいものを食べて喜んでる姿を見るの好きだし。嬉しいことは共有したい。


「人というのは普通、”創造”などという力を持てば、欲に溺れ、その富を独り占めし。他人に分け与えようなどとは思わないものだ」
大いなる力を持っていて。それ・・を使わないで自制するのはかなり難しいことだという。

「私も、決して使うまいと己に禁じていた闇魔法を使ってしまったのだから」


そのせいでリズリーの森は枯れ果て、死の荒野になって。スペンサー夫妻も職を失うことになったのを、悔やんでるようだ。
でも、それは魔物の襲撃が一年以上続いた上に、それまでいなかったワイバーンの襲撃でお父さんとお兄さんを亡くしたからで。私欲で使った訳でも何でもないと思う。

ウィリアムがそこで無理やりにでも戦いを終わらせてなかったら、もっと被害が広がって。大勢の死傷者が出ていたかもしれなかった。
もし、自分に行き詰った状況を打破する力があるなら、使っちゃうのはしょうがないと思う。

それに、魔物の大発生をさせたのや、お父さんとお兄さんが亡くなったのは。ウィリアムを堕落させたくて、闇魔法を使わせようとした悪い神様の仕業だったかもしれない。


「結局、それでもウィルは堕落しないで、国を再興させて。こうして立派に王様やってるんだから。俺は俺よりウィルを褒めたいよ」
「それは、君の協力あってこそだ」
「いや、ウィルが助言してくれたからだよ」

「ワフン、」
シロが呆れたような声で鳴いた。

イチャイチャすんなって？　傍から聞いてたらそうかもな……。


＊*＊*＊


シロの足は、冒険者協同組合の前に差し掛かっていた。


「リンちゃん、結婚おめでとう！」
冒険者仲間が、こちらに手を振ってる。

「バカ、もう王配殿下だぞ」
リンちゃん、と呼んだ人が、隣の人に肘で鳩尾を突かれてる。
「えー、じゃあリン様？」


「冒険者として出る時は、今まで通りで構わないよ？」
ウィリアムが圧のある笑顔で答えた。

俺のことに関してだけ、心狭いよね……。


下町や、商店街を通って。
ラドクリフたちに手を振ったりして。

城に到着すると。
城の兵たちからも、一斉にお祝いの声が上がった。


ここまでに見た国民は、皆、笑顔で祝いの言葉を贈ってくれた。
それは、今までウィリアムが頑張って国王をやってたのを見ていて。幸せになって欲しいと願っていたから。こうしてお祝いしてくれてるんだろう。

「俺も、ウィルのこと幸せにするからね！」
責任重大だ。

「君と結婚出来て、もう最高に幸せだ。私も君を、幸せにするよ」
「うう、俺の旦那様が最高にイケメン過ぎてつらい！」


＊*＊*＊


……あれ？
いつの間にか、城の中にいる。それもウィリアムの部屋の前。

「ワフン」
シロはサイズダウンして。俺たちを残し、廊下を走って行った。

続きは寝室でやれって？


「そういえば、今夜は初夜か。楽しみだね？」
ウィリアムは俺をひょい、と抱え上げた。


初夜も何も。
もう何度もしてるじゃん！