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異世界で、告白される。

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……その後のことは、あまり覚えてない。
酔ってたのもあって、多分、すぐ寝ちゃったんだと思う。


「ウィル、何、……あぅ、」
「ん? 覚えてないかな? 君は、私の先端・・を受け入れた時点で、寝てしまったんだよ。はやく、その先を味わいたかったけど。いくら恋人でも、寝ているところを犯すわけにはいかないからね、」
ぐっ、ぐっ、と、少しずつ、入ってくる。

そりゃ、寝てるところを犯すのは駄目だけど。
……え? 恋人?


「入り口付近は、もう、慣れたね?」
痛みはない。

それは、先端を挿入した状態で、寝てたから?


*****


顔が見えなくても。心から、幸せそうだとわかる声で。
ウィリアムは言った。


私も・・君が大好き・・・・・だよ。……愛してる、私の可愛いリン」


うわあ。
思わず、叫びそうになった。

一番好きな歌を、一番好きな歌手に目の前で歌ってもらって。
それに感動して、つい、抱き着いて、言ってしまったあれ・・を。ウィリアムは。

そういう好き・・だって、受け取ったのか!


いくら俺に、そんなつもりはなかったとはいえ。
好意を持った相手から。よりによって、ラブソングをリクエストされて。
それに対し、ウィリアムは俺の目を見て、俺だけのために、歌ってくれたんだ。思い返せば、すごく気持ちがこもってた。

その上で。
大好き、なんて言って抱き着いたら。……そりゃ、恋愛成就だと思うよな……。


オズワルドとオーソン、プレストンがおめでとう、って言ったのも。今思えば、俺の誕生日じゃなくて。
ウィリアムに対して言ってたんだ。

っていうか。
神託スキル持ちのプレストンが祝福してたってことは。


神様も反対してないってこと? どういうことだよ!?


*****


でも、お礼に、その場のノリで好きとか愛してるって言うの、普通じゃないか?

ラドクリフとかも、買取の時よく言ってたし。
オズワルドやオーソンなんて、美味しいものを食べるたびに俺のこと嫁に欲しいとか、プロポーズみたいなこと言ってたけど。どう考えても冗談だろうし、本気になんて取らなかった。


ウィリアムは、俺のこと。ずっと、そういう、……抱きたいって意味で、好きだったのかな。

俺に対するウィリアムの態度は、出逢った時から昨日まで、一貫して変わってないと思う。
スキンシップは激しい方だったけど。
それは、俺がいちいち赤くなったり恥ずかしがるから、反応を面白がってからかってるだけだと思ってた。

中身はともかく。肉体年齢はまだ子供だったから、あれでもセーブしてたのかな?


いや、さすがにウィリアムから並々ならぬ”好意”を向けられてるのはわかってた。
めちゃくちゃ贔屓するし。あからさまだし。

でも、それは。
このキングスレイ王国にとって大切な”神の使い”とか。貴重な転生者仲間としての友情……友愛みたいなものだと思ってたんだ。


肉欲を抱かれてたなんて、全然気づかなかった。
いつから? まさか、10歳の頃からそういう意味で・・・・・・・好きだった、とか言わないよな……?

いくら中身はおっさんでも、肉体年齢的にそれは犯罪じゃないか?
昨日、この世界では成人になったから、もう大人だから。手を出してもいいと思った?


突っ走り過ぎだよ!


*****


「ひゃ、」
「ここにも黒子がある……性感帯のしるしかな?」

ちゅっ、と肩甲骨の間にキスされて。
ウィリアムの性器が、ぐりっと中を抉る。

「ふふ、締まった。やはりそうみたいだね」

いや、今のは違うと思う。
っていうか。笑うと、振動がダイレクトに来るんだけど!


ぎゅっとシーツを掴んでる俺の手を、覆うように、握られる。

これまでとは違う触れ方だってわかる。
もうあからさまに、恋人に対して取る態度になってる。触り方とかエロいし。


「……シーツじゃなく、私にしがみついて欲しいのだけど。はじめては、こっちのほうが、楽だというから、」
息を荒げて。

つらそうなのに。
本当は、一気に突っ込んでしまいたいのを、我慢してるんだ。

俺がつらくないように。
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