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Ⅲ
異世界で、色々作る。
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「じゃあ、ここから試してみます」
貯水池の設置予定地へ手を向け。
目を閉じて、頭の中に完成された貯水池を思い浮かべる。
保水のために貯水池の周囲はコンクリートで覆うが。椀状の溜池では子供が落ちたりした時に這い上がれず、悲しい事故が起きたりもする。点検用にも梯子が必要だろう。
水の安全も、子供らには必要なので。研修で、浄水場に行ったりもした。ろ過装置もつけよう。
陶器製の土管でできた水路は城壁の下をくぐって、新たな井戸を作る。手動では大変だから、蛇口にしよう。5つほどで足りるかな? 足りなければ増やせばいい。
蛇口から出てくるのは、ろ過された飲料水だ。
「อ่างเก็บน้ำ」
呪文を唱え、目を開けると。
綺麗な水を湛えた貯水池と、ろ過装置。城壁内には井戸が完成していた。
改めてすごいな。”創造”のスキル。
見張りの兵が突如現れたそれらに驚いて、城壁から落ちそうになってた。……手摺りつけちゃ駄目かな?
*****
「いや、これ、”貯水池”の範囲で出来るものではないよね? ろ過装置と水道まで作っている」
あ、ウィリアムはろ過装置ってわかったんだ。
しかし、ろ過自体は知っていても、水場が近くになければどうしようもないからな。
「あとは、リズリーに森と湖を作ります」
城壁から降りようとしたら。
「あ、この辺に塩湖を作ってくれないかな?」
ウィリアムが地図を取り出して、指差した。ここからも目視できる距離だった。
「できれば、景観の良い湖がいいな。薄い赤の」
おお、ぐいぐい注文するなあ。
ヒマラヤ岩塩みたいなのかな? ミネラルが豊富なんだよね。アスタキサンチンは鮭の身やフラミンゴの羽色を赤くする色素だ。抗酸化作用があるらしい。
前、テレビで見たことがあるから大丈夫だろう。絶景で有名なウユニ塩湖の奥にある、ラグーナ・コロラダみたいな感じで良いかな。
オズワルドとオーソンは、塩湖? 赤い塩? と、不思議そうな様子だ。
この世界には塩湖も赤い塩も存在しないようだ。
あれ? じゃあ何でウィリアムは知ってるんだろう。
……まあいいか。さっさと作っちゃおう。
リズリーに早く行きたいし。
「ทะเลสาบเกลือ」
「おお……、」
青い空に、ピンク色の湖。幻想的な光景に、皆が見惚れている。
「凄い。想像した通りだ」
ウィリアムは大喜びだ。岩塩はもうほぼ掘り尽くされていて、枯渇寸前だったらしい。
そりゃ良かった。お役に立てれば何よりだ。
*****
何故か馬車ではなく、馬でリズリーへ向かうことになった。
ナムグン可愛いからいいけど。
「あ、ここにも 黒子発見」
「ひぐぁ、」
突然耳の裏をつつかれて、おかしな声を出してしまった。
……身体を震わせて。笑うのを我慢しているのが丸わかりなんだが。
「ふふ、目の下の黒子って、色っぽいよね」
男に色気を感じられても嬉しくない。ホクロをつつくな。
「あ~あ、懐かれちゃいましたね」
並走していたオーソンが、呆れたように言った。
「その人拗ねると厄介なので、適度にかまってあげてくださいね?」
ええ……。
オズワルドまで、こちらに同情めいた視線を……。
保育園の調理師だった頃は、空いた時間に園児と遊んだりもしていたが。
今、俺は10歳児だ。押し付けられても困る。
そんなこんなで、いつの間にかリズリーに到着していた。
見渡す限りの荒野。
これ、魔物の血でこうなったんだと思うと、なんかこわいな。
じゃ、とっとと森を復活させよう。
城門から見て、だいたいの植生も確認したし。図鑑にあった動物や植物は、地球のものとあまり変わらなかったから、難しく考えなくて大丈夫そうだ。
違うのは、魔物がいることくらいかな?
*****
「ป่าลึก」
目を閉じて。
深い森と、森の動物たちをイメージする。
草食動物だけでなく、危険な肉食動物もいないと生態系が狂う。
生い茂る草と。
「ทะเลสาบ」
動物たちに水場も必要だろう。琵琶湖……は大きすぎるな。向こう岸が見える程度の大きな湖。
水草、魚や小エビなどの水生生物。……シャケ食べたい。
目を開くと。
深い森と、緑に包まれた巨大な湖ができていた。少々邪念が入ったが。
それと。道沿いだと野盗に目を付けられそうなので、ちょっと道よりも奥に入ったところに家を作ろう。
念願の! 風呂付一戸建て!
私欲まみれだった。
貯水池の設置予定地へ手を向け。
目を閉じて、頭の中に完成された貯水池を思い浮かべる。
保水のために貯水池の周囲はコンクリートで覆うが。椀状の溜池では子供が落ちたりした時に這い上がれず、悲しい事故が起きたりもする。点検用にも梯子が必要だろう。
水の安全も、子供らには必要なので。研修で、浄水場に行ったりもした。ろ過装置もつけよう。
陶器製の土管でできた水路は城壁の下をくぐって、新たな井戸を作る。手動では大変だから、蛇口にしよう。5つほどで足りるかな? 足りなければ増やせばいい。
蛇口から出てくるのは、ろ過された飲料水だ。
「อ่างเก็บน้ำ」
呪文を唱え、目を開けると。
綺麗な水を湛えた貯水池と、ろ過装置。城壁内には井戸が完成していた。
改めてすごいな。”創造”のスキル。
見張りの兵が突如現れたそれらに驚いて、城壁から落ちそうになってた。……手摺りつけちゃ駄目かな?
*****
「いや、これ、”貯水池”の範囲で出来るものではないよね? ろ過装置と水道まで作っている」
あ、ウィリアムはろ過装置ってわかったんだ。
しかし、ろ過自体は知っていても、水場が近くになければどうしようもないからな。
「あとは、リズリーに森と湖を作ります」
城壁から降りようとしたら。
「あ、この辺に塩湖を作ってくれないかな?」
ウィリアムが地図を取り出して、指差した。ここからも目視できる距離だった。
「できれば、景観の良い湖がいいな。薄い赤の」
おお、ぐいぐい注文するなあ。
ヒマラヤ岩塩みたいなのかな? ミネラルが豊富なんだよね。アスタキサンチンは鮭の身やフラミンゴの羽色を赤くする色素だ。抗酸化作用があるらしい。
前、テレビで見たことがあるから大丈夫だろう。絶景で有名なウユニ塩湖の奥にある、ラグーナ・コロラダみたいな感じで良いかな。
オズワルドとオーソンは、塩湖? 赤い塩? と、不思議そうな様子だ。
この世界には塩湖も赤い塩も存在しないようだ。
あれ? じゃあ何でウィリアムは知ってるんだろう。
……まあいいか。さっさと作っちゃおう。
リズリーに早く行きたいし。
「ทะเลสาบเกลือ」
「おお……、」
青い空に、ピンク色の湖。幻想的な光景に、皆が見惚れている。
「凄い。想像した通りだ」
ウィリアムは大喜びだ。岩塩はもうほぼ掘り尽くされていて、枯渇寸前だったらしい。
そりゃ良かった。お役に立てれば何よりだ。
*****
何故か馬車ではなく、馬でリズリーへ向かうことになった。
ナムグン可愛いからいいけど。
「あ、ここにも 黒子発見」
「ひぐぁ、」
突然耳の裏をつつかれて、おかしな声を出してしまった。
……身体を震わせて。笑うのを我慢しているのが丸わかりなんだが。
「ふふ、目の下の黒子って、色っぽいよね」
男に色気を感じられても嬉しくない。ホクロをつつくな。
「あ~あ、懐かれちゃいましたね」
並走していたオーソンが、呆れたように言った。
「その人拗ねると厄介なので、適度にかまってあげてくださいね?」
ええ……。
オズワルドまで、こちらに同情めいた視線を……。
保育園の調理師だった頃は、空いた時間に園児と遊んだりもしていたが。
今、俺は10歳児だ。押し付けられても困る。
そんなこんなで、いつの間にかリズリーに到着していた。
見渡す限りの荒野。
これ、魔物の血でこうなったんだと思うと、なんかこわいな。
じゃ、とっとと森を復活させよう。
城門から見て、だいたいの植生も確認したし。図鑑にあった動物や植物は、地球のものとあまり変わらなかったから、難しく考えなくて大丈夫そうだ。
違うのは、魔物がいることくらいかな?
*****
「ป่าลึก」
目を閉じて。
深い森と、森の動物たちをイメージする。
草食動物だけでなく、危険な肉食動物もいないと生態系が狂う。
生い茂る草と。
「ทะเลสาบ」
動物たちに水場も必要だろう。琵琶湖……は大きすぎるな。向こう岸が見える程度の大きな湖。
水草、魚や小エビなどの水生生物。……シャケ食べたい。
目を開くと。
深い森と、緑に包まれた巨大な湖ができていた。少々邪念が入ったが。
それと。道沿いだと野盗に目を付けられそうなので、ちょっと道よりも奥に入ったところに家を作ろう。
念願の! 風呂付一戸建て!
私欲まみれだった。
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