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Ⅲ
異世界で、添い寝される。
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気が付いたら、朝になっていた。
いつの間にか眠ってしまっていたようだけど、記憶にない。寝落ちしたのかも。
ご飯を食べて、うとうとして寝てしまうとか。子供じゃないんだから。
いや、実際に今現在の俺の身体は10歳の子供だから、体力も子供並みになっているのかもしれない。力もなさそうだしな。
これは、城のベッドか? 高級品だろうシーツの肌触りはいいが、マットレスが硬い。
コイルが入ってないからか?
20代までは万年床だったが。重いもの運んでる最中に足の筋を痛めて。
立ち上がりやすいベッドに変えたら、もう二度とせんべい布団になど戻れないカラダになってしまった。もう疲れが違う。
枕は軟らかいな。羽毛のようだ。
布団も軽くてあたたかく、心地よい。これも羽毛だろう。もう少しだけ寝ていたい気もするが。そろそろ起きなくては。
今日は、やらなくてはいけないことが沢山あるからな。
*****
起き上がろうとしたら。
腰に、何か重いものが乗っかっていたので動けない。肌色のこれは。……人の、腕?
これはいったい、どういうことだ。
「おはよう。もうお目覚めかな?」
「!?」
振り向いて。
思わず絹を裂くような悲鳴を上げてしまいそうになったが。どうにか吞み込んだ。
何故かウィリアムが、同衾……いや、添い寝をしていた。
しかも、上半身裸で。
鍛えられた肉体が眩しい。調理の仕事は肉体労働ではあったが、ここまでの筋肉はつかなかった。
やけにあたたかいと思ったよ。ウィリアムが筋肉質で、体温が高かったせいか。
上掛けで下半身は見えていないが。まさか、すっぽんぽんじゃないよな……?
自分の姿を見ると、パジャマのようなやわらかい布地の服になっていた。パジャマまで買ってくれてたとは。
寝てる間に、着替えさせられたのだろう。
ウィリアムは、子供相手なので、特に深いことは考えず。異世界にきたばかりで一人で寝かせては寂しいだろうと思って添い寝して。
これまたあくまでも親切で、パジャマに着替えさせてくれたのだろうとは思う。
しかし。中身は中年なので、とてつもなく恥ずかしい。
「ん? 顔が赤いな。熱でもあるのかな? ……どれ、」
完璧に整った顔が近づいてきた。
そっと、額を額にあてられる。
額で熱を測るのは体温計がないからか。だからって額じゃなくても、手でもいいじゃないか。……肩に置かれた手はあったかい。ああ、これじゃ体温は測れないな……。
うわ、睫毛長いな。それに何か、いい匂いが。
「だ、だいじょうぶ。驚いただけ、」
どうにか胸板を押し返した。
このままでいたら、何だか違う世界の扉が開いてしまいそうだ。ただでさえ異世界にいるというのに。
男相手だというのに、うっかりドキドキしてしまったが。
「ひぇ、」
またしても悲鳴を上げかけてしまった。
ウィリアムが俺の熱を測るのに上半身を起こしたため、上掛けで隠れていた部分が見えてしまっていたのだ。衝撃で、心臓が止まるかと思った。
っていうか。
何でこの人、全裸で添い寝してるんだ!?
ベッドで纏うのはトワレだけとか。あんたどこのマリリンモンローだ!?
*****
予想通り、ウィリアムの着替えは下着から何から使用人に任せていた。貴族という職業は、羞恥心を持っているとやっていけないようだ。
俺は昨日スキート商会で誂えてもらった服を渡してもらい、自分で着た。
「ああ、安心して。昨日、君の着替えは私がしたから」
少しも安心できる要素が無かった。
まあいい。これも今日までだ。
今日からは、リズリーで家を”創造”して、一人暮らしをするのだ。
シンプルな朝ごはんをいただいて。
城門の上から、貯水池を作る予定の場所を確認させてもらう。
石造りの 壁高欄は50cmくらいの高さしかないので、ちょっと怖い。よろけたら真っ逆さまに落ちそう。
この城門、10mはありそうだ。下が見えると、どうしても腰が引けてしまうが。皆、普通に歩いてる。すごい。
さすが、魔物との戦いに身を投じているだけある。
え? 落ちても風魔法でどうにかなるから怖くない? そうか……。
前は城に、国を見渡すことが出来るような高い塔があったけど。例の魔物大発生の時に、飛竜が来て壊されてしまったそうだ。
残念だ。建て直しはしないのかな?
いつの間にか眠ってしまっていたようだけど、記憶にない。寝落ちしたのかも。
ご飯を食べて、うとうとして寝てしまうとか。子供じゃないんだから。
いや、実際に今現在の俺の身体は10歳の子供だから、体力も子供並みになっているのかもしれない。力もなさそうだしな。
これは、城のベッドか? 高級品だろうシーツの肌触りはいいが、マットレスが硬い。
コイルが入ってないからか?
20代までは万年床だったが。重いもの運んでる最中に足の筋を痛めて。
立ち上がりやすいベッドに変えたら、もう二度とせんべい布団になど戻れないカラダになってしまった。もう疲れが違う。
枕は軟らかいな。羽毛のようだ。
布団も軽くてあたたかく、心地よい。これも羽毛だろう。もう少しだけ寝ていたい気もするが。そろそろ起きなくては。
今日は、やらなくてはいけないことが沢山あるからな。
*****
起き上がろうとしたら。
腰に、何か重いものが乗っかっていたので動けない。肌色のこれは。……人の、腕?
これはいったい、どういうことだ。
「おはよう。もうお目覚めかな?」
「!?」
振り向いて。
思わず絹を裂くような悲鳴を上げてしまいそうになったが。どうにか吞み込んだ。
何故かウィリアムが、同衾……いや、添い寝をしていた。
しかも、上半身裸で。
鍛えられた肉体が眩しい。調理の仕事は肉体労働ではあったが、ここまでの筋肉はつかなかった。
やけにあたたかいと思ったよ。ウィリアムが筋肉質で、体温が高かったせいか。
上掛けで下半身は見えていないが。まさか、すっぽんぽんじゃないよな……?
自分の姿を見ると、パジャマのようなやわらかい布地の服になっていた。パジャマまで買ってくれてたとは。
寝てる間に、着替えさせられたのだろう。
ウィリアムは、子供相手なので、特に深いことは考えず。異世界にきたばかりで一人で寝かせては寂しいだろうと思って添い寝して。
これまたあくまでも親切で、パジャマに着替えさせてくれたのだろうとは思う。
しかし。中身は中年なので、とてつもなく恥ずかしい。
「ん? 顔が赤いな。熱でもあるのかな? ……どれ、」
完璧に整った顔が近づいてきた。
そっと、額を額にあてられる。
額で熱を測るのは体温計がないからか。だからって額じゃなくても、手でもいいじゃないか。……肩に置かれた手はあったかい。ああ、これじゃ体温は測れないな……。
うわ、睫毛長いな。それに何か、いい匂いが。
「だ、だいじょうぶ。驚いただけ、」
どうにか胸板を押し返した。
このままでいたら、何だか違う世界の扉が開いてしまいそうだ。ただでさえ異世界にいるというのに。
男相手だというのに、うっかりドキドキしてしまったが。
「ひぇ、」
またしても悲鳴を上げかけてしまった。
ウィリアムが俺の熱を測るのに上半身を起こしたため、上掛けで隠れていた部分が見えてしまっていたのだ。衝撃で、心臓が止まるかと思った。
っていうか。
何でこの人、全裸で添い寝してるんだ!?
ベッドで纏うのはトワレだけとか。あんたどこのマリリンモンローだ!?
*****
予想通り、ウィリアムの着替えは下着から何から使用人に任せていた。貴族という職業は、羞恥心を持っているとやっていけないようだ。
俺は昨日スキート商会で誂えてもらった服を渡してもらい、自分で着た。
「ああ、安心して。昨日、君の着替えは私がしたから」
少しも安心できる要素が無かった。
まあいい。これも今日までだ。
今日からは、リズリーで家を”創造”して、一人暮らしをするのだ。
シンプルな朝ごはんをいただいて。
城門の上から、貯水池を作る予定の場所を確認させてもらう。
石造りの 壁高欄は50cmくらいの高さしかないので、ちょっと怖い。よろけたら真っ逆さまに落ちそう。
この城門、10mはありそうだ。下が見えると、どうしても腰が引けてしまうが。皆、普通に歩いてる。すごい。
さすが、魔物との戦いに身を投じているだけある。
え? 落ちても風魔法でどうにかなるから怖くない? そうか……。
前は城に、国を見渡すことが出来るような高い塔があったけど。例の魔物大発生の時に、飛竜が来て壊されてしまったそうだ。
残念だ。建て直しはしないのかな?
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