神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙

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異世界で、冒険者協同組合へ行く。

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「ほら、冒険者協同組合サハゴーンの建物はそこだよ」
ウィリアムが、城門の近くにある建物を示した。

いわゆる冒険者ギルドのことか。
レンガと白い石で構成された建物で、どこぞの赤レンガ倉庫みたいに見える。


「とりあえず、登録だけ先にしておこうか。魔物などを討伐した場合、そのまま丸ごとスキート商会に売ってもいいが。毛皮や肉などの素材が欲しい場合は、組合で解体してもらったほうが楽かな」

素材の入手や解体とかも、神様からもらったスキルでどうにかできそうだが。雇用や流通のことを考えると、こういう施設も利用した方が経済が回りそうだ。
自分の力だけで運用して、利益を独り占めしていると思われても困るしな。


*****


やたら背の高いウィリアムと、やはりこちらも負けじと背の高いオズワルドに両側を挟まれた状謡で。
捕らえられた宇宙人のような気持ちを味わいながら建物に入った。
オーソンは後ろからついてきている。

イケメントライアングルに囲まれてしまった。
ウィリアムはもちろんのこと。オズワルドもオーソンも、婦女子からかなり人気があるようだ。あの子は何なの? 的な視線が痛い。

この服はウィリアムが見繕ってくれた高級品だけど、俺はただのド庶民です。
悪しからず。


建物の中は、意外にも静かだった。
物語に出てくる冒険者ギルドは酒場のような騒がしいイメージがあったが。ここは役所みたいな堅苦しい雰囲気だ。荒くれ者もいない。

おっと。
ウサギみたいな耳の人がいた。獣人かな? エルフはいないけど、獣人はいるのか。
いよいよファンタジーの世界らしくなってきて、わくわくしてしまった。

でも、失礼だし、あんまりジロジロ見ないようにしないと。


「……っ!」
受付の若い女性がウィリアムの姿を見て、咄嗟に敬礼しそうになったのを手で制すと。
ウィリアムは、俺の肩にもう一方の手を添えて。静かに言った。

「新人冒険者だ。登録を頼む」

「は、はい!」
新人っぽい、可愛らしい受付嬢は緊張してガッチガチになってる。

顔が真っ赤だ。
こんな美形で、声まで男前。その上、王族だもんな。憧れの王子様だろう。リアルで。


*****


「こちらにご記入をお願いします」
震える手で、厚いわら半紙のような紙を差し出され。


何故かウィリアムがそれを受け取って。さらさらと記入している。
代筆までしてくれちゃうのか……。

字は読めた。
でも、書けるかどうかはわからないからありがたいけれども。


「……何か、一番得意な魔法などはあるのかい?」

訊かれて、首を傾げてしまった。
ここへ来て、したことといえば、ステータス画面を見て。”創造”で手鏡と水入りコップを4つ作ったくらいだ。


「じゃあ、ちょっと失礼するよ。……การตัดสิน鑑定
ウィリアムは鑑定の魔法を持っていたようだ。

「えっ、レベル10? …………ええと……、これは、どういうことなのかな……?」
悩まれてしまった。

表記が”創造”だけじゃ、悩むのも仕方ないかと思ったが。


ウィリアムはかなり鑑定魔法のレベルが高く、冒険者組合でもウィリアム以上のレベルの人はいないくらいだという。
それなのに、俺の詳しいステータスが表示されなかったんだそうだ。

表示されたのは名前とレベル、年齢のみ。


「神の加護により、詳しい情報は秘匿されているようだね」
そういうことは、稀にあるそうだ。


*****


スキルは、さっき言ったのしかない、とウィリアムに言うと。

急遽、冒険者としてのテストを受けることになった。
武器を使用しての実戦試験は、さすがに危ないからと止められた。高校の時に授業で剣道を習ったくらいなので、それは助かる。

どの魔法の属性が一番強いか、調べるそうだ。


この世界の人は、15歳になると教会でスキルの他に、魔法能力を授けられる。
火、水、風、土、雷、闇、光などの属性魔法がある中で。大体の人は一つか二つほどらしい。
プレストンが持ってる浄化や回復魔法は光魔法になるという。神職は光魔法が得意なのか。


「水の適正がある人は、ここではかなり貴重なんだ。まあ、君には関係ない話だろうけどね」
苦笑してる。

なにせ”創造”だからな。ある意味、何でもアリだ。
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