突然見知らぬイタリアの伊達男に拉致監禁され、脅されてHされた上に何故か結婚を迫られてしまいました。

篠崎笙

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エゴイスティックなプロポーズをされました。

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天使みたいに可愛い顔のジュリアーノに迫られても、全くときめかなかった。

嫌悪感は、そんなに無かったけど。
手を握られるくらいなら大丈夫だったし。

それは、背が同じくらいだし、本能的な危険を感じなかっただけかもしれない。


じゃあ、僕よりも身体が大きいのに。
ヴィットーリオが相手だと、何で大丈夫なんだろうか。

それだけじゃなく、ドキドキするし。
それでいて、側にいると何故か安心する感じで。

初めて会った……再会した日もそうだった。
気付けば、ヴィットーリオの腕の中で、すやすや寝ちゃってた。

ヴィットーリオが、幼馴染みの鷹ちゃんだって判明する前からだった。


*****


ああ、自分で自分がわからない……。
首を傾げていたら。

ヴィットーリオに抱き寄せられた。
「私の腕の中で眠ってしまった君を抱き締めて。私は夏子さんの遺体を前に、誓った。宗司を貰っていく、必ず幸せにする、と」


仮通夜の時?
そんなこと言ってたんだ。

あの時は、ヴィットーリオに、こんな風に抱き締められて。
どうしてか、安心したような気分になって。

ヴィットーリオの腕の中で寝ちゃって。
いつの間にか、膝枕された状態で眠ってしまってたんだっけ。


「君は私の想像以上に愛らしく育っていた。無防備に寝ている姿を目の前にして。私は、君を犯すことしか頭になかった。君は、母親を喪ったばかりで放心していたというのに」

それを、何とか鋼の自制心で耐えながら、一晩明けて。
目が覚めた僕は、ヴィットーリオに言った訳だ。

”誰!?”って。


ヴィットーリオはそれで、僕が気がつくまで、自分の正体は黙っていようと思ったんだよな……。
今思えば、悲しそうな顔をしていたような気がする。途方に暮れた子供みたいな。


「幸せにすると誓った、その気持ちに嘘はなかった。しかし私は君を前にすると、理性を失い、獣になる」

一日中繋がって、いっそ癒着したいとか。
同じ血液を循環させたいとか、異常なまでの執着を隠せず。

頭では、こんな事をしてはいけない、とわかっているはずなのに。

鎖をつけて、閉じ込めて。
欲望のまま、何度も犯してしまった、と。


「気が狂いそうなほど愛している。我儘だとはわかっているが。一生側に居て欲しい。……それが、君の幸せにならなくても」
ヴィットーリオは、真剣な顔で言った。


あまりにエゴイスティックなそれは。
嘘偽り無い、心からのプロポーズだとわかった。


*****


「それに”はい”って言ったら、僕が物凄いドMみたいなんで、非常に答えにくいんだけど……」


でも、嘘偽りを言って求婚するのは駄目だというので。
とりあえず、ヴィットーリオと結婚することによって得られる利点をアピールしてみてはどうかと提案してみた。


「成程、自らをプレゼンテーションするのか。それは名案だ。……ではまず、我が社の資本金から、」
「いや、会社はいいから。そういうのは調べればわかるし。ヴィットーリオ本人の売りは?」
慌てて阻止した。


会社の話を詳しく聞いたら、夜が明けそう。
それに、格差を思い知らされて、余計尻込みしてしまうだろう。

ただでさえただの大学生な僕が、みんなから尊敬される偉大な総帥に駄目出ししてるなんて。
おこがましいにも程があるって状態なのに。


ヴィットーリオは首を傾げて、少し悩んだ後。

「私の売り……、身体は健康で、丈夫だな。持病もない。体力もある」
ああ、ありすぎて困るくらいだよね。

「うん、そうそう。そういうのだよ! 後は?」
「取引のある20ヶ国の言語は読み書き可能。TOEICは満点だったな。最終学歴はハーバード」

何その経歴。
耀かしすぎる!

天才の上に商才もあるとか。
どれだけ神様からギフト貰ってるの!? って感じだ。


「最大の売りは……、君を世界で一番愛していることだ」

「……合格」
文句なし、満点だよ。


*****


ヴィットーリオは、僕に手を差し出した。
「では、Vuoi私と結婚して sposarmiくれませんか?」

Volentieri喜んでNessun貴方以外 donna mi僕を幸せ rendeにでき feliceる人は come teいない
返事をしたら。


しばらく、驚いたように目を瞬かせた後。

くしゃっと泣き笑いみたいな表情をして。
ヴィットーリオに抱き締められた。


こんな、全身で愛してるって言ってくれるような人。
この先の人生、ヴィットーリオ以外、絶対に現れないだろう。

きっと、生まれた時からこうなるって決まってたんだと思う。
だから、受け入れることが出来た。


しかし。
抱きしめられて。そこで終わりではなかった。


「ちょ、肩、怪我してるんだから。治るまで我慢しなさい!」

ヴィットーリオが僕をベッドに押し倒そうとするのを、何とか止めようと頑張るけど。
体格の差と力の差が大きすぎる。

あっという間に全裸に剥かれてしまった。
ヴィットーリオは、スラックス一枚まで僕が脱がしちゃったんだけど。


「治るまで、君と愛し合う行為を我慢しろと言うのか。……私に死ねと?」
「何でそんな、生きるべきか死ぬべきかみたいに悲壮な顔してるんだよ。大袈裟だよ!」

「私の身体を気遣う、その気持ちは嬉しい。だが、私は今、とても君を愛したくてたまらない」
真顔だし。


まあ、プロポーズを受け入れてしまった訳だし。

このまま、流れっていうか。
気持ち的に、エッチしたいって思うのはわからなくはない。

けど。
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