突然見知らぬイタリアの伊達男に拉致監禁され、脅されてHされた上に何故か結婚を迫られてしまいました。

篠崎笙

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地下室に監禁されてしまいました。

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「わ、」
ひょい、と肩に担ぎ上げられて。

ヴィットーリオは強面の男達を振り切り、城の中に入った。


Sul serio本当ですか?」
Aspetti待っ un attimo下さい!」

目の前で城門を閉められた男達が叫んでるけど、完全無視してる。
いいのかな……。


「……あれ?」

窓からこっちを見ている、金髪の少年に気付いた。

美少女みたいな容姿で。金髪で。
綺麗な青い目。

大好きだった幼馴染みと、そっくりに見える。


あの子は、まさか。
「……ようちゃん……?」


ヴィットーリオは、僕の視線の先にいた少年に気付いて。
Ritornaリットルナ  nellaネッラ  stanzaスタンツァ!」

部屋に戻れ、と命令した。
するとはびくっとして、すぐに身を翻してしまった。


「あの、今の人は……?」

は、君には関係のない人間だ」
帰ってきたのは、氷のように冷たい声だった。


*****


Quantoクアント tempoテンポ È da unエ ダ ウン secoloセーコロ che non ciケ ノン チ sentiamoセンティアーモ!」

玄関を通り過ぎたところで。
茶髪の美形が笑顔で声を掛けてきた。

久しぶり、今世紀中連絡を取り合ってなかった、って言ってた……?
そんなに長い間!?

1999年だとしても、もう20年は前では?
イタリアンジョークかな? と首を傾げていたら。


「あ、君、日本人かな? こんちにはー」
流暢な日本語で話しかけられた。

イントネーションも自然だ。

「こんにちは」
挨拶をされると、つい返してしまう日本人気質。

「俺はね、マルチェッロ・クリスティアーノ。ヴィックの従兄弟だよ」
ヴィックは、ヴィットーリオの愛称か。


しかし、この人も日本語上手いな。
見た目は典型的ラテン系なのに。従兄弟だと言う割に、全然似てない。

わりとイケメンだけど、ヴィットーリオとは比べ物にならないな……などと失礼なことを考えてしまった。


「この子が、例の子?」
「ああそうだ。……レッロ、あと一週間ほど、代行を頼む」

Cosaマジで!? そんなに!? Daiおい Dai Daiおいおい、殺す気かよ! まだ子供じゃないか!」

マルチェッロは、美形が台無しなほど目を剥いている。
何の話だろうか。


「こう見えて成人済みだ。死なせない。身体に覚えさせるだけだ」

caspitaおお、これが東洋の神秘……。って、それなら三日で充分じゃ……俺も殺す気かー!?」
不安そうなマルチェッロの声を後に。


ヴィットーリオは僕を肩に担いだまま、城の中をどんどん進んで行った。


*****


階段を降りて。
地下室に入ったようだ。

中は、明るくて広い部屋だった。
今まで背後にぴったりくっついて来ていた怖い顔の人は、ここまでは入ってこないようだ。


部屋の真ん中には、どん、と大きな天蓋ベッドが設置されてあった。

あんなの、映画とかでしか見たことがないけど。
実際に使う人いたんだ……。


「うわ、」
その天蓋ベッドに放り投げられて。

足首を掴まれて、カチリと何かを取りつけられた。
冷やりとした感触。

何だこれ。
……3センチくらいの平たい輪っかに、鎖?


驚いている間に、両手と両足首に謎のリングを嵌められた。

鎖は、右足首のリングについていて。
鎖の先は、ベッドの下に隠れているようだ。


「これは、特殊な磁石で作られた枷だ。……こうして、」

スイッチのようなものを操作すると、両手首が引き寄せられた。
リング同士がくっついて、びくともしない。

「信号を与えることで、手首同士、足首同士だけでなく、手首と足首を繋げることも可能だ」


枷? 拘束具か。
「……何で、こんなものを……?」

ヴィットーリオは僕を見下ろして。
ネクタイを外した。


「言っただろう。君をここに閉じ込め、飼うためだと」


*****


この島は、テスタ島といって。
難攻不落、天然の要塞のようなものだという。

城も同じ名前で呼ばれているとか。ヴィットーリオの名字と同じだ。


やっぱり、というか予想通りというか。
クリスティアーニはイタリアの由緒正しき……と言っていいのかわからないけど、マフィアだった。

禁酒法よりも前から存在してるらしい。
何でそんな古式ゆかしきイタリアンマフィアの後取りと、うちの母さんが知り合いなんだよ!?

しかも、どういった理由で、その息子である僕を攫って、飼うって話になる訳!?

昔の鷹ちゃんみたいな愛らしい美少年とかならともかく。
僕なんて、そこら辺にいる普通の大学生だってのに。


……ベッドサイドに置かれたそれは。
ローション?

あと、何かいかがわしい物体が。
あれは、ディルドってやつだよね。動くのがバイブだっけ?

何でそんなモノがここに。


……まさか。
こんな、相手に困ってるとは思えないような超美形な男が。

「まさか、僕に、いかがわしい事をするつもりじゃ……ない、ですよね?」


ヴィットーリオは、優雅に腕のカフスボタンを外している。宝石がついてて高そうだな……などと考えてる場合じゃない。

「いかがわしい? no、これから、sesso……性行為をするつもりだが?」
はっきりと断言されてしまった。

「犯罪! 合意を得ないわいせつ行為は犯罪だから!」


強引にイタリアまで誘拐されちゃったし。
犯罪行為とか、今更だけど。


*****


「……さっき、君が気にしていた男がいたな?」

さっきの。
鷹ちゃんっぽい子のことかな?

でも、二十歳になったばかりにしては、若すぎるようなのが気に掛かるんだよな。
外国人ってすぐ老けるイメージがあるけど。

日本人の血が入ってるから、あんまり老けてないのかな?

それに、あれが鷹ちゃんだとしたら、僕のことを覚えてるはずだと思うんだ。
僕は情けないことに、あんまり変わってない……と思うし。

ヴィットーリオ総帥に部屋に戻れって命令されたから、声を掛けられなかっただけかな?


は、うちで身柄を預かっている者だ。……その待遇は、私の一存でどうとでもなる」
意味深な言い方をして。

「待遇って。まさか、よ……あの人に、ひどい事をするつもりじゃ……」

あんな美少女みたいな容姿だ。
色々と、不穏な想像をしてしまう。


ヴィットーリオはそれには答えず、にやりと笑った。

「……これから行うのは、合意の上の性行為、だ。いいな?」
確認されて。

頷くしかなかった。


具体的な脅し言葉を使わないなんて。
マフィアって、卑怯だ。
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