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迎える朝
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顕正さんの腕が、前に回されて。
後ろから、ぎゅっと抱き締められる。
「君がもうすぐ私の伴侶になってくれると思うと、喜びで胸が躍るようだ……」
背中に伝わる鼓動は速い。
ぼくの心臓も、たぶん顕正さんと同じか、それ以上にときめいているに違いない。
お風呂の中で、顕正さんが勃起してしまったので。
お尻はもう無理だからと、太股に挟んで、してもらった。
後ろから擦られて。
ぼくも気持ち良くなってしまって。
危うく、のぼせてしまうところだった。
*****
朝、目を覚まして。
目の前にあった肌色に頬を寄せる。……顕正さんの胸に。
「起きたのかな? おはよう」
頭を撫でられる。
「……おはようございます」
「まだ眠い? 起床時間には早いから、もう少し寝ていても構わないぞ?」
優しい声と手に、眠ってしまいたくなるけれど。
「いいえ、もう少し、こうしていてもいいですか?」
逞しい背に、手を回す。
さらっとした手触りだ。痕跡はお風呂で洗い流したせいか、さっぱりした身体。
昨夜の出来事など、まるで無かったかのように思える。
でも、ぼくの身体の奥には、まだ顕正さんが入っているような違和感が残っている。
疼痛というより、甘い痛みというのか。
不思議な感覚だ。
「……昨夜、君と結ばれたのだとは、まだ信じられない……」
抱き寄せられて、そう言われた。
どうやら、同じようなことを考えていたようだ。
「ぼくは信じられますよ? まだ、ここに貴方が入っているような感覚が残ってますから」
お腹に手を当てて、告げる。
「……っ!」
顕正さんの性器が反応したのがわかった。
昨夜、あんなにしたのに。
「傷にはなっていなかったが。少し腫れていたな。初めてだというのに、無理をさせてすまなかったね」
指先で、そこを撫でられた。
指が滑る感触からして、軟膏を塗られていたようだ。
いつの間に。
ぼくが寝ている間に、怪我をしていないか確認して、手当てをされたのだろうか?
恥ずかしい。
*****
「昨夜のことは、謝らないでください。言ったでしょう? それほど、ぼくのことを欲しいと思ってくれたの、嬉しかった……」
「……全く、君は……!」
抱き締められて。
噛みつかれるようなキスをされた。
「ん、……う、」
お腹に当たる、顕正さんの性器。
凄く熱い。
昨夜見た、あの、張り詰めていて血管の浮いた状態の性器を思い出す。
赤黒くて、キノコみたいに傘が張っていて。硬くて、大きかった。
あれが自分の中に入ったなんて、信じられないけど。
あの痛みと快感、内臓を内側から圧迫されるような感覚は。夢でも何でもない、現実のものだった。
「……っは、」
口を塞がれていた唇が離れて。額にキスをされる。
「まだ痛いようだし。……ここでして、いいか?」
顕正さんの手が、ぼくの太股の間を撫でた。
太股で擦って、射精することを素股というらしい。
「そんなに痛くはないですよ? まだ入っている気がするだけで」
「……君は、私をこれ以上メロメロにさせて、どうするつもりなんだ!?」
ぼくを抱き締める腕の力が強くなった。
メロメロ?
一度だけ、挿入して。
あとは太股で擦って、射精した。
食事の時間ギリギリになるまで、して。
慌ててシャワーを浴びた。
自分の部屋に着替えに行こうと思い、立ち上がろうとしたら。
何故だか足に力が入らなくて、よろけてしまったので。顕正さんに着替えを手伝ってもらうことになってしまった。
「大丈夫? 今日は学校を休むことにするか」
「大丈夫です。こういうことでいちいちお休みしてしまっては、悪いことをした気になってしまうでしょう?」
顕正さんは、苦笑したような顔をして微笑んで。
ぼくの頭を撫でてくれた。
幸せだ。
*****
大丈夫だと言ったのに。
顕正さんはぼくを抱き上げたまま食堂に運んで。
椅子の座席に、やわらかい円形のクッションを置かせた。
それを見て、岩倉の視線が厳しくなった。
お尻が痛くなった理由に気付いたようで。
未婚の身なのに、はしたない真似をするな、と怒られるかと思ったら。
「……若?」
「言い訳はしない。何とでも責めるがいい」
いい年した大人のくせに我慢できないなんて、それも翌朝影響が出るほどがっつくなんてどんでもない、と延々と説教をされることになったのは、顕正さんの方だった。
やっぱり岩倉はぼくに甘い気がする。
喬任には、痛み止めを渡された。
消炎鎮痛剤だそうだ。これは恥ずかしい。
「岩倉、顕正さんを怒らないで。……合意なので……」
「しかしですな、」
岩倉は言い足りないようで、渋い顔をしている。
「そろそろ出立の時間ですので、ここまでと致しましょう。検めの儀には御膳所で台所頭に鴨の血でも用意させます。それで良いですね?」
喬任がそう言って。
出勤と通学のために、車を出しに行った。
御膳所はキッチンのことで、台所頭と言うのは、お城の本丸で料理を作る人のトップ、つまりシェフのことだそうだ。
お屋敷は洋風なのに……。有名店で働いていたというシェフも、戸惑っていないだろうか。
給料明細の役職名も、そう書かれているのかな?
ここの使用人たちの名称が、それぞれどうなっているのか気になって来た。
お医者さんを御典医とか呼んでたりして。
今度詳しく訊いてみよう。フットマンは何になるのかな……。
後ろから、ぎゅっと抱き締められる。
「君がもうすぐ私の伴侶になってくれると思うと、喜びで胸が躍るようだ……」
背中に伝わる鼓動は速い。
ぼくの心臓も、たぶん顕正さんと同じか、それ以上にときめいているに違いない。
お風呂の中で、顕正さんが勃起してしまったので。
お尻はもう無理だからと、太股に挟んで、してもらった。
後ろから擦られて。
ぼくも気持ち良くなってしまって。
危うく、のぼせてしまうところだった。
*****
朝、目を覚まして。
目の前にあった肌色に頬を寄せる。……顕正さんの胸に。
「起きたのかな? おはよう」
頭を撫でられる。
「……おはようございます」
「まだ眠い? 起床時間には早いから、もう少し寝ていても構わないぞ?」
優しい声と手に、眠ってしまいたくなるけれど。
「いいえ、もう少し、こうしていてもいいですか?」
逞しい背に、手を回す。
さらっとした手触りだ。痕跡はお風呂で洗い流したせいか、さっぱりした身体。
昨夜の出来事など、まるで無かったかのように思える。
でも、ぼくの身体の奥には、まだ顕正さんが入っているような違和感が残っている。
疼痛というより、甘い痛みというのか。
不思議な感覚だ。
「……昨夜、君と結ばれたのだとは、まだ信じられない……」
抱き寄せられて、そう言われた。
どうやら、同じようなことを考えていたようだ。
「ぼくは信じられますよ? まだ、ここに貴方が入っているような感覚が残ってますから」
お腹に手を当てて、告げる。
「……っ!」
顕正さんの性器が反応したのがわかった。
昨夜、あんなにしたのに。
「傷にはなっていなかったが。少し腫れていたな。初めてだというのに、無理をさせてすまなかったね」
指先で、そこを撫でられた。
指が滑る感触からして、軟膏を塗られていたようだ。
いつの間に。
ぼくが寝ている間に、怪我をしていないか確認して、手当てをされたのだろうか?
恥ずかしい。
*****
「昨夜のことは、謝らないでください。言ったでしょう? それほど、ぼくのことを欲しいと思ってくれたの、嬉しかった……」
「……全く、君は……!」
抱き締められて。
噛みつかれるようなキスをされた。
「ん、……う、」
お腹に当たる、顕正さんの性器。
凄く熱い。
昨夜見た、あの、張り詰めていて血管の浮いた状態の性器を思い出す。
赤黒くて、キノコみたいに傘が張っていて。硬くて、大きかった。
あれが自分の中に入ったなんて、信じられないけど。
あの痛みと快感、内臓を内側から圧迫されるような感覚は。夢でも何でもない、現実のものだった。
「……っは、」
口を塞がれていた唇が離れて。額にキスをされる。
「まだ痛いようだし。……ここでして、いいか?」
顕正さんの手が、ぼくの太股の間を撫でた。
太股で擦って、射精することを素股というらしい。
「そんなに痛くはないですよ? まだ入っている気がするだけで」
「……君は、私をこれ以上メロメロにさせて、どうするつもりなんだ!?」
ぼくを抱き締める腕の力が強くなった。
メロメロ?
一度だけ、挿入して。
あとは太股で擦って、射精した。
食事の時間ギリギリになるまで、して。
慌ててシャワーを浴びた。
自分の部屋に着替えに行こうと思い、立ち上がろうとしたら。
何故だか足に力が入らなくて、よろけてしまったので。顕正さんに着替えを手伝ってもらうことになってしまった。
「大丈夫? 今日は学校を休むことにするか」
「大丈夫です。こういうことでいちいちお休みしてしまっては、悪いことをした気になってしまうでしょう?」
顕正さんは、苦笑したような顔をして微笑んで。
ぼくの頭を撫でてくれた。
幸せだ。
*****
大丈夫だと言ったのに。
顕正さんはぼくを抱き上げたまま食堂に運んで。
椅子の座席に、やわらかい円形のクッションを置かせた。
それを見て、岩倉の視線が厳しくなった。
お尻が痛くなった理由に気付いたようで。
未婚の身なのに、はしたない真似をするな、と怒られるかと思ったら。
「……若?」
「言い訳はしない。何とでも責めるがいい」
いい年した大人のくせに我慢できないなんて、それも翌朝影響が出るほどがっつくなんてどんでもない、と延々と説教をされることになったのは、顕正さんの方だった。
やっぱり岩倉はぼくに甘い気がする。
喬任には、痛み止めを渡された。
消炎鎮痛剤だそうだ。これは恥ずかしい。
「岩倉、顕正さんを怒らないで。……合意なので……」
「しかしですな、」
岩倉は言い足りないようで、渋い顔をしている。
「そろそろ出立の時間ですので、ここまでと致しましょう。検めの儀には御膳所で台所頭に鴨の血でも用意させます。それで良いですね?」
喬任がそう言って。
出勤と通学のために、車を出しに行った。
御膳所はキッチンのことで、台所頭と言うのは、お城の本丸で料理を作る人のトップ、つまりシェフのことだそうだ。
お屋敷は洋風なのに……。有名店で働いていたというシェフも、戸惑っていないだろうか。
給料明細の役職名も、そう書かれているのかな?
ここの使用人たちの名称が、それぞれどうなっているのか気になって来た。
お医者さんを御典医とか呼んでたりして。
今度詳しく訊いてみよう。フットマンは何になるのかな……。
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