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アレックス

異世界の神子は猫で三毛でツガイ

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「ここが、俺の家だ」
狭いながらも、最近手に入れたばかりの我が家にユキミを招いた。

「これからは、ユキミの家でもある。寛いで欲しい」

使用人が挨拶に出てきたので、紹介すると。
ユキミは、こんなに大勢いるの、と驚いていた。


この部屋数で客室係など必要ないし、世話係、使用人や給仕、執事、家令など実家には倍以上いるが、こちらには必要最低数しかいない。
別宅よりも少ないくらいなのだが。

家令や執事はスウェーンさえいれば問題ないし、服くらい自分で着る。

貴族としては、あまりよろしくない生活態度なのだろう。
しかし俺は実家の公爵家を継ぐつもりはないし。現在、俺の身分は騎士なので、自分のことは自分でするのが基本である。

そして遊撃騎士は基本、一人で行動し、時には騎士団の総てを率いて部下に指示をしなければならない。
兵糧や援護の期待できない場所で野営することもあるのだ。狩りも仕事のうちである。


*****


スウェーンが手配した仕立て屋が来て。
さっそくユキミの採寸をさせた。

すぐ着るようなものはミシンで縫うので、明日の朝までに届けられるが。手縫いの礼服や靴などが届くのは、またしばらく後になるそうだ。
遠征が終わった頃か。それでもかまわないだろう。

デザインも確認。
了承し、まとめて先払いしておく。

俺の昔の服を着ているユキミも可愛いが。
丈の合わない服を着させて、嘲笑されるのは困る。城を出入りする貴族らは他人の欠点を見つけてはあげつらう者も少なくない。


ユキミの暮らす部屋は、俺と同室にした。
防犯上の問題もあり、大事な神子を一人にしておくことはできない、という名目だが。

ユキミは俺が同室でも気にしないようだ。安心した。


「アレクセイさま。私は所用で一階におりますが。くれぐれも、子供に、おかしな気を起こさないでくださいね?」
スウェーンに、じとりと睨まれた。

そこまで念を押されてしまうほどあれか。俺は。


以前実家で保護していた猫が、あまりに可愛くて手触りが良かったので、つい撫でまわしていたらストレスでハゲでしまったのを、今でも責めるのだ。
あれは子供の頃の過ちで、今は相手の様子をみて自重できる理性もあるというのに。


*****


ユキミは、部屋をきょろきょろ見回している。

これから二人で住む部屋である。存分に確かめて、足りないものや欲しいものは遠慮なく言って欲しい。
どんな無理だろうが聞いてやりたい、


ソファーの手触りを確認した後、ちょこんと座って、クッションをぽふぽふ叩いてみている。

……可愛い。
何だこの愛らしい生き物。撫で回したい。

いやいや我慢、我慢だ。


ユキミの隣に腰を下ろし。
誘惑に負け、つい頭を撫でてしまった。

嫌がってはいないようだ。

やはり触り心地が良い。
髪も、猫耳も。

スウェーンが見たらまた睨まれそうだが。
いいだろう。撫でるくらいは。


「お腹は空いてないか?」

一刻後にブランチの予定だが。
軽いものなので、時間を早めてもいい。

「まだ、空いてない……」
さっきお菓子食べたばっかりだから、と。たったあれだけで?

ああ、可愛いなあ。
撫でていると、頬を染めて見上げてくる。


こうしていると、胸が詰まるような、たまらない気持ちになるのは何故だろう。

早く、大人になってくれないだろうか。
子供では口説けない。


*****


「アレックス、年はいくつ?」
「ん? 俺の年? 19だ」

ユキミは驚いている。
俺はそんなに老けて見えるのだろうか……。

ユキミは何か、考え込むような様子で。
「みっつ上か……」

ん? と、いうことは。
3つ年下……?

「って……16なのか!?」

子供かと思ったら。もう成人じゃないか。
成人なら、問題ないのでは?

などと考えていたら。


「!?」
ユキミに、尾を掴まれた。

途端、ぞくぞくしたものが、全身を駆け抜ける。


これは。
この感覚は。

……ツガイだ。俺のツガイを見つけた!


それと確信するために、ユキミの尾を掴んでみると。

「ひゃっ!?」
くたっと力が抜けていくようだ。

頬を染めて。……発情している。


間違いない。
ユキミは、俺のツガイだったのだ。

ユキミを見ていると胸が騒いだのも、その一挙手一投足がやたら気になったのも。ユキミが俺のツガイだったからか。
何という幸運だろう。

俺のツガイは世界一可愛い。


*****


「……ひとの尻尾を、いきなり掴むもんじゃない」

それは、相手をベッドに誘っているようなものだと教え諭してやる。

尾の付け根のあたりを、くすぐるように撫でる。
ツガイにとって、そこは性感帯だ。即、発情をしてしまう場所である。

話にはよく聞くが。本当だったのか。


「にゃ、ああ、」
可愛く鳴いて。たまらない。

思わず抱き締めて、唇を奪った。

口付けに酔ったユキミをベッドまで運び、服を脱がして。
滑らかな肌の触り心地を愉しむ。


猫の耳や尾の毛の触り心地もいいが。
吸い付くような、しっとりとした人の滑らかな肌も、最高に触り心地がいい。

「ふにゃ、」
感度もいい。鳴き声も可愛い。


愛しい、俺のツガイ。

まさか、俺の運命の相手が、異世界にいたとは。
道理で今まで、ぐっとくる相手を見つけられなかったわけだ。


尾の付け根を親指で撫でながら、中指と人差し指を小さな窄まりに差し入れて。
その中のあたたかさと締め付けから、ここに自身を挿入したときの快感を想像する。

ユキミはみゃあみゃあ可愛く鳴きながら、俺の愛撫を受けて、蕩けた表情をしている。
凄まじく色っぽく、愛らしい。

俺の、可愛いにゃんこ。
早くひとつになりたい。俺のものに。


「ユキミ。……ここに、俺のを挿れたいんだが。いいか?」

指を抜こうとしたら。
引き止めるように、尾が絡みついた。

これ、気持ちいいのか?


「ユキミ。嫌なら嫌だと言ってくれ。……いいのか?」
耳を甘噛みしてやると。

「ふにゃあ、」
続きをねだるように、甘えるように見上げてきている。


……いいんだな?

腰を掴み。
挿れようとしたら。


*****


部屋の扉が開いた。
「アレクセイさま、神子様。お食事の準備が……」


……げ。
スウェーン!?
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