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幸見
ありがとう、さようなら
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『ユキミ?』
アレックス。
変わらずに、俺を優しい目で見ている。
……戻ってきたんだ。
厳しいけど。
愛しい人のいる、この世界に。
『眠いのか? さすがに疲れたかな?』
頭を撫でられる。
……あれ?
まだ、猫耳に、しっぽがある。
と、いうことは。
ミケはまだ転生しないで、俺と一緒にいたいって思ってくれたんだ。
じゃあ。
しばらくは俺たち、一心同体だ。
これからもよろしくな、ミケ。
「俺、今、神様と話しちゃった!」
アレックスに抱きついた。
『……何だって!?』
*****
「と、いう訳で。佐野は元の世界に戻ったかも……」
スウェーンは、それは残念です、と言った。
佐野を預けていたお兄さんからの報告によると、けっこう従者の見込みがありそうだったとか。
『良かったのか? こんな危険な世界に、加護もなくて』
「戻ったほうがよかった?」
『そんなわけあるか……! もちろん嬉しいが。元の世界は、平和だっただろうに。別れた家族も……、』
ぎゅっと抱き締められた。
この世界では、簡単に人が死ぬ。
何度も見てきた。
それでも。
「だって。あっちには、アレックスがいないよ?」
俺も、広い背中に手を回す。
他の、何よりも。失いたくなかったんだ。
この温もりを。
『ああ。俺が、守るから。危険な目には決して遭わせない』
『僭越ながら、私もお守りします』
アレックス。
スウェーン。
「ありがとう。二人とも、大好き!」
『おやおや、私もですか?』
『む、スウェーンは俺の家族も同然だからな。特別に許そう』
アレックスは、にやりと笑った。
「じゃあ、俺にとっても家族だよね?」
『まったく……あなた方ときたら……』
スウェーンの目に、光るものを見た気がしたけど。
お邪魔虫は退散しますね、と言って。
すぐに引っ込んでしまった。
*****
『ユキミ……愛してる』
ちゅっ、と啄むようなキスをされて。
「俺も愛してるよ、アレックス」
俺も、キスを返した。
元の世界に、未練がないわけじゃないんだ。
父さんに母さん。
兄さんたち。お祖父ちゃん。
家族のほかにも。
俺を気にかけてくれた人たちは大勢居た。
ぬるま湯のような生活だと思っていた。
でも。
今考えれば、俺はとても恵まれていたんだな。
ろくな苦労も知らない。
飢えたこともない。
毎日学校へ行けるのだって、充分贅沢なんだ。
愛されて、育ってきた。
そして、愛していた。
でも。
何よりも、大切な人を見つけてしまった。
あたたかくて優しい、この腕を知ってしまった。
もう、離せない。
俺の、唯一のツガイ。
だから。
今まで、ありがとう。
……さよなら。元の世界のみんな。
*****
慣らされて。
ゆっくり入ってくる。
見れば見るほど、いい男だと思う。
一見冷たそうに見える、薄い水色の瞳も。高い鼻。厚みのある唇。
男らしく整った顔。俺の大好きな顔だ。
イアソンたちは、お互いの筋肉を褒めあってたっけ。
あの時。アレックスだって、脱いだらかなりいい身体してるんだからな、って言いたくなった。
……あんまり見せたくないけど。
狼は一度ツガイと決めた相手と、一生連れ添うって習性があって良かった。
だって、この先。一生、独り占めできるんだから。
俺だけの、最愛の人を。
「アレックス……、根元まで、入れて?」
広くて逞しい背中に、手を回す。
『!?』
身体を起こして。
アレックスの膝の上に乗り上げるかたちになる。きついけど。
「ん、……このまま、ぜんぶ、受け入れたいんだ」
『ユキミ……』
アレックスの、根元に向かって、太くなってる。
もう、限界に近いくらい、拡がってる気がするけど。
もっと、受け入れたい。
「今まで、ぜんぶ入れた人、いた?」
『いや、……しかし、』
いないんだ。
じゃあ。
「俺、アレックスのはじめて、欲しい」
アレックスの唇を、ぺろりと舐める。
アレックスは、ごくりと生唾を呑み込んだ。
『ああもう……小悪魔にゃんこめ、』
「ん、」
たまらない、という風に、荒々しくキスされて。
きつく抱き締められる。
痛いくらいに抱き締められるのが好きだ。
愛情を、強く感じるから。
*****
「んぅ、……ん~!」
腰を掴まれて、下からぐいぐい突き上げられた。
揺すられながら。
少しずつ、入ってくる。
裂けちゃいそうなくらい太いし、大きいから。
お腹の中、圧迫されて。息苦しくなる。
でも。
痛くても、苦しくても、いいから。
アレックスのぜんぶが、欲しいんだ。
唇が、離れた。
『……根元まで、入ったぞ』
「ほんとに?」
『ああ』
本当だ。
お尻に、ぴったりと、アレックスの肌がくっついてる感触がする。
ほんとに、全部入っちゃった。信じられない。
「アレックス、俺の中、気持ちいい?」
アレックスは嬉しそうに、目を細めた。
『ああ。最高だ』
愛おしそうに、頬ずりされて。
アレックスのしっぽが、ぱたぱた動いてる。
嬉しい。
もう、根元が膨らんじゃってるから、抜き差しはできないらしくて。
腰を軽く揺すられてると。
お腹の中、微妙に擦られてる感じがするのも。
「ん、きもちい、」
もう。
耳、かぷかぷするのやめてってば。
アレックスの胸板に、頬を寄せる。
あったかくて。
抱き締められてると、安心するし。
同時に、ドキドキしてしまう。
こんな気持ちになるのは、運命の相手だからか。
初めて、好きになった人だからか。
どっちでもいいか。
アレックスと出逢えた奇跡に。神様に、感謝したい。
俺、すごく幸せだよ。
アレックス。
変わらずに、俺を優しい目で見ている。
……戻ってきたんだ。
厳しいけど。
愛しい人のいる、この世界に。
『眠いのか? さすがに疲れたかな?』
頭を撫でられる。
……あれ?
まだ、猫耳に、しっぽがある。
と、いうことは。
ミケはまだ転生しないで、俺と一緒にいたいって思ってくれたんだ。
じゃあ。
しばらくは俺たち、一心同体だ。
これからもよろしくな、ミケ。
「俺、今、神様と話しちゃった!」
アレックスに抱きついた。
『……何だって!?』
*****
「と、いう訳で。佐野は元の世界に戻ったかも……」
スウェーンは、それは残念です、と言った。
佐野を預けていたお兄さんからの報告によると、けっこう従者の見込みがありそうだったとか。
『良かったのか? こんな危険な世界に、加護もなくて』
「戻ったほうがよかった?」
『そんなわけあるか……! もちろん嬉しいが。元の世界は、平和だっただろうに。別れた家族も……、』
ぎゅっと抱き締められた。
この世界では、簡単に人が死ぬ。
何度も見てきた。
それでも。
「だって。あっちには、アレックスがいないよ?」
俺も、広い背中に手を回す。
他の、何よりも。失いたくなかったんだ。
この温もりを。
『ああ。俺が、守るから。危険な目には決して遭わせない』
『僭越ながら、私もお守りします』
アレックス。
スウェーン。
「ありがとう。二人とも、大好き!」
『おやおや、私もですか?』
『む、スウェーンは俺の家族も同然だからな。特別に許そう』
アレックスは、にやりと笑った。
「じゃあ、俺にとっても家族だよね?」
『まったく……あなた方ときたら……』
スウェーンの目に、光るものを見た気がしたけど。
お邪魔虫は退散しますね、と言って。
すぐに引っ込んでしまった。
*****
『ユキミ……愛してる』
ちゅっ、と啄むようなキスをされて。
「俺も愛してるよ、アレックス」
俺も、キスを返した。
元の世界に、未練がないわけじゃないんだ。
父さんに母さん。
兄さんたち。お祖父ちゃん。
家族のほかにも。
俺を気にかけてくれた人たちは大勢居た。
ぬるま湯のような生活だと思っていた。
でも。
今考えれば、俺はとても恵まれていたんだな。
ろくな苦労も知らない。
飢えたこともない。
毎日学校へ行けるのだって、充分贅沢なんだ。
愛されて、育ってきた。
そして、愛していた。
でも。
何よりも、大切な人を見つけてしまった。
あたたかくて優しい、この腕を知ってしまった。
もう、離せない。
俺の、唯一のツガイ。
だから。
今まで、ありがとう。
……さよなら。元の世界のみんな。
*****
慣らされて。
ゆっくり入ってくる。
見れば見るほど、いい男だと思う。
一見冷たそうに見える、薄い水色の瞳も。高い鼻。厚みのある唇。
男らしく整った顔。俺の大好きな顔だ。
イアソンたちは、お互いの筋肉を褒めあってたっけ。
あの時。アレックスだって、脱いだらかなりいい身体してるんだからな、って言いたくなった。
……あんまり見せたくないけど。
狼は一度ツガイと決めた相手と、一生連れ添うって習性があって良かった。
だって、この先。一生、独り占めできるんだから。
俺だけの、最愛の人を。
「アレックス……、根元まで、入れて?」
広くて逞しい背中に、手を回す。
『!?』
身体を起こして。
アレックスの膝の上に乗り上げるかたちになる。きついけど。
「ん、……このまま、ぜんぶ、受け入れたいんだ」
『ユキミ……』
アレックスの、根元に向かって、太くなってる。
もう、限界に近いくらい、拡がってる気がするけど。
もっと、受け入れたい。
「今まで、ぜんぶ入れた人、いた?」
『いや、……しかし、』
いないんだ。
じゃあ。
「俺、アレックスのはじめて、欲しい」
アレックスの唇を、ぺろりと舐める。
アレックスは、ごくりと生唾を呑み込んだ。
『ああもう……小悪魔にゃんこめ、』
「ん、」
たまらない、という風に、荒々しくキスされて。
きつく抱き締められる。
痛いくらいに抱き締められるのが好きだ。
愛情を、強く感じるから。
*****
「んぅ、……ん~!」
腰を掴まれて、下からぐいぐい突き上げられた。
揺すられながら。
少しずつ、入ってくる。
裂けちゃいそうなくらい太いし、大きいから。
お腹の中、圧迫されて。息苦しくなる。
でも。
痛くても、苦しくても、いいから。
アレックスのぜんぶが、欲しいんだ。
唇が、離れた。
『……根元まで、入ったぞ』
「ほんとに?」
『ああ』
本当だ。
お尻に、ぴったりと、アレックスの肌がくっついてる感触がする。
ほんとに、全部入っちゃった。信じられない。
「アレックス、俺の中、気持ちいい?」
アレックスは嬉しそうに、目を細めた。
『ああ。最高だ』
愛おしそうに、頬ずりされて。
アレックスのしっぽが、ぱたぱた動いてる。
嬉しい。
もう、根元が膨らんじゃってるから、抜き差しはできないらしくて。
腰を軽く揺すられてると。
お腹の中、微妙に擦られてる感じがするのも。
「ん、きもちい、」
もう。
耳、かぷかぷするのやめてってば。
アレックスの胸板に、頬を寄せる。
あったかくて。
抱き締められてると、安心するし。
同時に、ドキドキしてしまう。
こんな気持ちになるのは、運命の相手だからか。
初めて、好きになった人だからか。
どっちでもいいか。
アレックスと出逢えた奇跡に。神様に、感謝したい。
俺、すごく幸せだよ。
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