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幸見
やきもちとおしおき
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アレックスの身体は、鍛えられてて。
引き締まった筋肉のラインとか、すごくかっこいいと思う。腹筋割れてるし。
こうしてあらためて見ると。
こんな強くてかっこいい騎士が、もてないわけないよな、と思う。
俺は何もかも、アレックスがはじめてだけど。
アレックスは、そうじゃないよな。慣れた感じしたし。
……あ、なんかムカついてきた。
「むー」
湯船の中を泳いで、アレックスから離れる。
『猫って泳げるのか……』
「俺、元々泳げるし。猫じゃないし」
『犬の方が泳ぎは上手だぞ?』
と、捕まってしまった。
「犬じゃなくて、狼だろ……」
つん、と明後日の方向を向いてしまう。
*****
『俺の可愛いツガイは、どうしてそんなに拗ねてるのかな?』
頬ずりされる。
だって。
……言ったら、嫉妬してるって思われるし。
そんなの、恥ずかしいし。
「教えない」
顔をそむけたら。
『ふうん?』
ぎゅっと抱き締められて。
教えてあげないつもりだったのに。
身体に訊かれてしまった。
アレックスの、以前の相手を想像して。
嫉妬してたって。
無理矢理、言わされてしまった。
無理矢理言わせてごめん、って謝ってくれたけど。
アレックスは、ものすごく嬉しそうだった。
自分も俺が他の人と仲良くしてるのを見たら、めちゃくちゃ妬くって言った。
昨日も、そう言ってたっけ? 他の男に触らせるなって。
こんなかっこいい人が、そこまで俺にベタ惚れだなんて。
ほんとに信じられないんだけど。
ちょっと可愛いものの前では崩れるちゃうけど、普段は凛々しくて、すごく強くてかっこいい騎士様で。
公爵家で育ちも相当良いし、お金持ちだし。
俺がツガイだってわかる前から、優しかった。
異世界から呼んだのは自分だから、その後の人生も責任取るつもりだったって。
友達にも優しいし、従者にも寛大だ。
強いから、心が広いのかな?
*****
やっぱり、アレックスってば、すごくモテていたようだ。
でも、女の人からの誘いに乗ったことはあるけど。付き合うまでに到った相手はいないって。
つまり。付き合ってはいなかったけど、エッチはしたんだよな?
何人としたかは聞いてない。
上手いし、かなり経験積んでると思う。
そりゃ、面白くはないけど。
狼にとってツガイは、人生に1人きりの相手だから。
この腕は、もう、俺だけのものなんだ。
そう思えば、嬉しいな。
って、俺もかなりベタ惚れじゃないか。
まあいいか
ツガイだし。しょうがないよな。
しかも、ツガイの体液には回復効果もあるらしくて。
俺にとってもアレックスにとっても、愛し合うのはいいことなんだって。
そうか。だから、初めての時も痛くなかったし。
朝になっても、疲れが残ってないし、身体も軽かったんだ。
気持ちいいし、リスクが全くないとか。
異世界、ちょっとどころか、かなり俺に都合よすぎない?
……なんて。
俺も、相当色ボケしてる感じだ。
*****
『朝方までイチャイチャしてたわりに、やたら元気だな……』
ティグリスがげんなりしてた。
何で知ってるんだろ?
まさか、他の部屋にまで聞こえたのかな? 恥ずかしい……。
『ああ、ツガイ同士だからな』
アレックスは平然と。どこか得意げに答えた。
やっぱり、こういうのも経験の差かな……。
みんなで朝風呂に入ってきたらしい、イアソンとジャスパーとアーノルドが来た。
面白い組み合わせだなあ。
『いやあ、すごい筋肉だったよな、イアソンのカラダ!』
『ええ、見事な肉体でした。騎士に欲しいくらいです』
『やめてよ恥ずかしい……それよりその年齢でその肉体維持してるジャスパーのがすごくない?』
『猟師とかして山暮らしだったからかねぇ。聖騎士サンもいいカラダしてるよな』
『恐れ入ります……ルウェリン殿も素晴らしい筋肉をお持ちで』
なんか、互いに筋肉を褒めあってる……。
仲良いな。
俺には褒められるような筋肉はないから仲間には入れないけど。ちょっと、見てみたかったかもしれない。
風呂での3人の会話とか、面白そう。
『面白かったですよ。三者三様で』
スウェーンもいたんだ、その中に。
ちょっと想像つかない。
「仲間に入れば良かったのに」
さぞカオスな光景が広がったことだろう。ちょっと見たい。
『私はただの従者ですし。決して自慢できる肉体ではありませんので、片隅にて気配を消しておりました』
スウェーンは細身に見えるけど。
弓を引く力も強そうだし、イアソンみたいな細マッチョなんじゃないの?
それに。
「……ただの従者は、気配を消さないと思う……」
『いえ、従者には気配を消すスキルが必須なのです』
きっぱり言い切った。
本来、使用人というのは見えない、いない者として扱われるらしい。
貴族の間ではそれが常識なんだとか。知らなかった。
『私の主人は変わり者ですので。居る者を見えない振りはできないと駄々をこねるものですから。困ったものです……』
スウェーンは微笑んだ。
昔のことを思い出してるのか、優しい笑みだった。
やっぱり、アレックスは優しいよね。
*****
次の場所には、幹部クラスの”ケモノ”がいるという。
そのクラスになると、もう潜伏とかしていないで、堂々と悪神の礼拝堂を建設しているらしい。
その集落すべて、”ケモノ”に占拠されたとか。
さすがにそれだけの規模となると。
「ジャスパーや、昨日の魔術師たちみたいに、脅されて仲間入りした人もいそうだね」
『そうだなあ。数が多いと、そういった見極めが難しくなってくるな』
ジャスパーが頷いた。
「じゃあ、上からゴーレムをドーン! と落として一網打尽作戦とか駄目か……」
『全員悪人で、まとめて殲滅できればいいんだけどね……』
イアソンは集落まるごと結界で包んで焼却作戦とか考えてた。
『お前のツガイ、わりと殺意が高すぎないか?』
『ゴーレムドーンとかいかにもにゃんこっぽくて無邪気じゃないか』
『猫というのは、無邪気にネズミをなぶる生き物ですよ?』
ティグリスは、アレックスとアーノルドから猫について講義されてた。
楽しそうだな。
引き締まった筋肉のラインとか、すごくかっこいいと思う。腹筋割れてるし。
こうしてあらためて見ると。
こんな強くてかっこいい騎士が、もてないわけないよな、と思う。
俺は何もかも、アレックスがはじめてだけど。
アレックスは、そうじゃないよな。慣れた感じしたし。
……あ、なんかムカついてきた。
「むー」
湯船の中を泳いで、アレックスから離れる。
『猫って泳げるのか……』
「俺、元々泳げるし。猫じゃないし」
『犬の方が泳ぎは上手だぞ?』
と、捕まってしまった。
「犬じゃなくて、狼だろ……」
つん、と明後日の方向を向いてしまう。
*****
『俺の可愛いツガイは、どうしてそんなに拗ねてるのかな?』
頬ずりされる。
だって。
……言ったら、嫉妬してるって思われるし。
そんなの、恥ずかしいし。
「教えない」
顔をそむけたら。
『ふうん?』
ぎゅっと抱き締められて。
教えてあげないつもりだったのに。
身体に訊かれてしまった。
アレックスの、以前の相手を想像して。
嫉妬してたって。
無理矢理、言わされてしまった。
無理矢理言わせてごめん、って謝ってくれたけど。
アレックスは、ものすごく嬉しそうだった。
自分も俺が他の人と仲良くしてるのを見たら、めちゃくちゃ妬くって言った。
昨日も、そう言ってたっけ? 他の男に触らせるなって。
こんなかっこいい人が、そこまで俺にベタ惚れだなんて。
ほんとに信じられないんだけど。
ちょっと可愛いものの前では崩れるちゃうけど、普段は凛々しくて、すごく強くてかっこいい騎士様で。
公爵家で育ちも相当良いし、お金持ちだし。
俺がツガイだってわかる前から、優しかった。
異世界から呼んだのは自分だから、その後の人生も責任取るつもりだったって。
友達にも優しいし、従者にも寛大だ。
強いから、心が広いのかな?
*****
やっぱり、アレックスってば、すごくモテていたようだ。
でも、女の人からの誘いに乗ったことはあるけど。付き合うまでに到った相手はいないって。
つまり。付き合ってはいなかったけど、エッチはしたんだよな?
何人としたかは聞いてない。
上手いし、かなり経験積んでると思う。
そりゃ、面白くはないけど。
狼にとってツガイは、人生に1人きりの相手だから。
この腕は、もう、俺だけのものなんだ。
そう思えば、嬉しいな。
って、俺もかなりベタ惚れじゃないか。
まあいいか
ツガイだし。しょうがないよな。
しかも、ツガイの体液には回復効果もあるらしくて。
俺にとってもアレックスにとっても、愛し合うのはいいことなんだって。
そうか。だから、初めての時も痛くなかったし。
朝になっても、疲れが残ってないし、身体も軽かったんだ。
気持ちいいし、リスクが全くないとか。
異世界、ちょっとどころか、かなり俺に都合よすぎない?
……なんて。
俺も、相当色ボケしてる感じだ。
*****
『朝方までイチャイチャしてたわりに、やたら元気だな……』
ティグリスがげんなりしてた。
何で知ってるんだろ?
まさか、他の部屋にまで聞こえたのかな? 恥ずかしい……。
『ああ、ツガイ同士だからな』
アレックスは平然と。どこか得意げに答えた。
やっぱり、こういうのも経験の差かな……。
みんなで朝風呂に入ってきたらしい、イアソンとジャスパーとアーノルドが来た。
面白い組み合わせだなあ。
『いやあ、すごい筋肉だったよな、イアソンのカラダ!』
『ええ、見事な肉体でした。騎士に欲しいくらいです』
『やめてよ恥ずかしい……それよりその年齢でその肉体維持してるジャスパーのがすごくない?』
『猟師とかして山暮らしだったからかねぇ。聖騎士サンもいいカラダしてるよな』
『恐れ入ります……ルウェリン殿も素晴らしい筋肉をお持ちで』
なんか、互いに筋肉を褒めあってる……。
仲良いな。
俺には褒められるような筋肉はないから仲間には入れないけど。ちょっと、見てみたかったかもしれない。
風呂での3人の会話とか、面白そう。
『面白かったですよ。三者三様で』
スウェーンもいたんだ、その中に。
ちょっと想像つかない。
「仲間に入れば良かったのに」
さぞカオスな光景が広がったことだろう。ちょっと見たい。
『私はただの従者ですし。決して自慢できる肉体ではありませんので、片隅にて気配を消しておりました』
スウェーンは細身に見えるけど。
弓を引く力も強そうだし、イアソンみたいな細マッチョなんじゃないの?
それに。
「……ただの従者は、気配を消さないと思う……」
『いえ、従者には気配を消すスキルが必須なのです』
きっぱり言い切った。
本来、使用人というのは見えない、いない者として扱われるらしい。
貴族の間ではそれが常識なんだとか。知らなかった。
『私の主人は変わり者ですので。居る者を見えない振りはできないと駄々をこねるものですから。困ったものです……』
スウェーンは微笑んだ。
昔のことを思い出してるのか、優しい笑みだった。
やっぱり、アレックスは優しいよね。
*****
次の場所には、幹部クラスの”ケモノ”がいるという。
そのクラスになると、もう潜伏とかしていないで、堂々と悪神の礼拝堂を建設しているらしい。
その集落すべて、”ケモノ”に占拠されたとか。
さすがにそれだけの規模となると。
「ジャスパーや、昨日の魔術師たちみたいに、脅されて仲間入りした人もいそうだね」
『そうだなあ。数が多いと、そういった見極めが難しくなってくるな』
ジャスパーが頷いた。
「じゃあ、上からゴーレムをドーン! と落として一網打尽作戦とか駄目か……」
『全員悪人で、まとめて殲滅できればいいんだけどね……』
イアソンは集落まるごと結界で包んで焼却作戦とか考えてた。
『お前のツガイ、わりと殺意が高すぎないか?』
『ゴーレムドーンとかいかにもにゃんこっぽくて無邪気じゃないか』
『猫というのは、無邪気にネズミをなぶる生き物ですよ?』
ティグリスは、アレックスとアーノルドから猫について講義されてた。
楽しそうだな。
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