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幸見
ねこだいすき
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「んん、」
部屋に入った途端。
アレックスに抱き締められて、キスされてしまった。
『めちゃくちゃ我慢してた』
と言われて。
『俺のツガイなんだから構うな、と言って。取り上げたくなった。……俺は心が狭いな』
アレックス。
そんなこと思ってたんだ。全然わからなかった。
騎士って、感情を出さないように訓練するのかな? そのわりには、みんなはけっこう感情豊かに見えるけど。
『ずっと、こうして腕の中に閉じ込めておきたい』
独占欲を剝き出しにされる。
アレックス、意外と嫉妬深いんだ。
……意外でもないか。
「自分以外に懐く猫は嫌い?」
試すみたいなことを聞いてみたり。
『そんなことはない。俺の心が狭いだけだ』
離したくない、っていうように、ぎゅっと抱き締められて。
嬉しくなってしまう。
俺のツガイ。
狼は一途で。一生、俺だけを想ってくれるっていうから。
俺は安心だけど。猫は違うのかな。
だから、心配するのかな?
心配なんか、しなくていいのに。
「じゃあ、アレックスだけのものだって、教えて?」
手を回して。
しっぽを掴んでやる。
『ああもう、小悪魔にゃんこめ!』
抱き上げられて。
ベッドまで運ばれた。
*****
ちょっと前まで、普通の高校生だったのに。
猫耳や猫のしっぽなんて生やしちゃって。
異世界に連れて行かれちゃって。
王様に、救世の神子だとか言われて。
癒しの力があって。
精霊の力を借りることができて。
異世界では、貴重な猫で。
更に希少な三毛猫のオスで。みんなから可愛がられて。
俳優やモデル顔負けな男前の上、伯爵家の貴族で騎士なオオカミから溺愛されちゃって。
その上、運命の相手……ツガイだとか言われて。
ツガイならいいか、なんてその気になっちゃって。
出逢ったその日に、抱かれてしまった。
しかも、ぜんぜん嫌じゃなかった。
自分より大きな男に後ろから圧し掛かられて。
大きいので、中、いっぱいに拡げられて。擦られて。
中に出されるのが、気持ちいいなんて。
こんなの、今でも信じられない。
*****
「アレックス、それ、らめぇ、」
しっぽを甘噛みされながら、ぐいぐい奥を突き上げられるのが。
気持ちよすぎて。
「にゃあん、」
しっぽや猫耳、獣の部分を刺激されると、どんどん猫化していってるような気がする。
瞳も猫っぽいらしいし。
舌も、なんかざりざりしてきた気がする……。
アレックスは、俺が猫みたいに鳴く度に、すごい興奮してる。
このままだと。
俺、どうなっちゃうんだろ。
ほんとに、猫になっちゃったり?
「にゃ、みゃああ、」
ああ。
中に。いっぱい出されて。
気持ちよすぎて。死んじゃいそう。
え、嘘。
抜けちゃう。
やだ。
まだ、して欲しいのに。
『……ユキミ!?』
アレックスの驚いたような声。
……あれ? 何か。
感覚が。
「にゃっ!?」
何だこれ。
俺の手が、猫の手に見えるんだけど。
気のせいじゃないよな?
*****
『ユキミ、猫に完全変身できたのか。すごいな』
ひょい、と抱き上げられる。
というか。
手のひらに載せられるくらい小さい猫になったみたいだ。
「みゃー、」
しゃべれないし!
『小さい。まだ子猫ちゃんだな?』
指で、頭を撫でられる。
気持ちいい。
アレックスの手をぺろぺろ舐めると。
くすぐったい、って笑ってる。
今、俺の舌、ざりざりしてるのかな?
「ふにゃ、」
引っくり返されて。
指先が、足の付け根あたりを探ってる。
『男の子だな?』
どこ触ってんだよもう。
シャー、と威嚇音が出た。
『はは、怒るな怒るな』
お腹をさすられる。
気持ちいい。
アレックスの手、大好き。
心地好すぎて、眠くなってきちゃう。
『ユキミ。猫の姿も可愛いが。まだ愛し合いたいんだが?』
ちゅっ、とキスをされて。
「ひゃ、」
人の姿に戻った。
相変わらず、猫耳猫しっぽは生えてるけど。
王子様のキスじゃなくて。
狼の騎士様のキスで、戻っちゃった。
*****
朝になって。
昨夜、完全に猫になってしまったと言ったら。
『え、完全に獣化したの? 見たかったなあ』
みんなから、アレックスばっかり見てずるいコールが。
『俺はツガイだからいいが。素っ裸のユキミを見せるわけないだろ』
素っ裸言うな。
猫の姿なら、毛皮は着てるだろ!?
『しかし、こーんな小さかったからな。あの姿ではとても戦わせられないな』
手で大きさを示した。
アレックスは、狼の姿になって戦っても、強いらしい。
なんかずるい。
『いや、ある意味最強かもしれないよ』
イアソンは真顔で言った。
『だって、そんな可愛い子猫ちゃんに、ひどいことできる!?』
『無理ですね。全面降伏です』
『ありえねえわ。俺も無理』
アーノルドもティグリスも、真顔だった。
アレックスがうんうん頷いてるのはまあ置いといて。
スウェーンまで!?
……あんたら、実は馬鹿なのでは?
ここで、ないわーと思ってる俺がなんか心無い人みたいじゃないか。
実際、棄てられたり虐待されて死んだ子猫や小動物をいっぱい見てきた身としては、人の良心に期待はできない。
異世界の人はそうなのか?
小さな生き物には、みんな、弱いものなのか?
精霊もそうだったし。
だとしたら、優しい人ばかりのいい世界だと思うけど。
現実は、それほど甘くはないよな。
部屋に入った途端。
アレックスに抱き締められて、キスされてしまった。
『めちゃくちゃ我慢してた』
と言われて。
『俺のツガイなんだから構うな、と言って。取り上げたくなった。……俺は心が狭いな』
アレックス。
そんなこと思ってたんだ。全然わからなかった。
騎士って、感情を出さないように訓練するのかな? そのわりには、みんなはけっこう感情豊かに見えるけど。
『ずっと、こうして腕の中に閉じ込めておきたい』
独占欲を剝き出しにされる。
アレックス、意外と嫉妬深いんだ。
……意外でもないか。
「自分以外に懐く猫は嫌い?」
試すみたいなことを聞いてみたり。
『そんなことはない。俺の心が狭いだけだ』
離したくない、っていうように、ぎゅっと抱き締められて。
嬉しくなってしまう。
俺のツガイ。
狼は一途で。一生、俺だけを想ってくれるっていうから。
俺は安心だけど。猫は違うのかな。
だから、心配するのかな?
心配なんか、しなくていいのに。
「じゃあ、アレックスだけのものだって、教えて?」
手を回して。
しっぽを掴んでやる。
『ああもう、小悪魔にゃんこめ!』
抱き上げられて。
ベッドまで運ばれた。
*****
ちょっと前まで、普通の高校生だったのに。
猫耳や猫のしっぽなんて生やしちゃって。
異世界に連れて行かれちゃって。
王様に、救世の神子だとか言われて。
癒しの力があって。
精霊の力を借りることができて。
異世界では、貴重な猫で。
更に希少な三毛猫のオスで。みんなから可愛がられて。
俳優やモデル顔負けな男前の上、伯爵家の貴族で騎士なオオカミから溺愛されちゃって。
その上、運命の相手……ツガイだとか言われて。
ツガイならいいか、なんてその気になっちゃって。
出逢ったその日に、抱かれてしまった。
しかも、ぜんぜん嫌じゃなかった。
自分より大きな男に後ろから圧し掛かられて。
大きいので、中、いっぱいに拡げられて。擦られて。
中に出されるのが、気持ちいいなんて。
こんなの、今でも信じられない。
*****
「アレックス、それ、らめぇ、」
しっぽを甘噛みされながら、ぐいぐい奥を突き上げられるのが。
気持ちよすぎて。
「にゃあん、」
しっぽや猫耳、獣の部分を刺激されると、どんどん猫化していってるような気がする。
瞳も猫っぽいらしいし。
舌も、なんかざりざりしてきた気がする……。
アレックスは、俺が猫みたいに鳴く度に、すごい興奮してる。
このままだと。
俺、どうなっちゃうんだろ。
ほんとに、猫になっちゃったり?
「にゃ、みゃああ、」
ああ。
中に。いっぱい出されて。
気持ちよすぎて。死んじゃいそう。
え、嘘。
抜けちゃう。
やだ。
まだ、して欲しいのに。
『……ユキミ!?』
アレックスの驚いたような声。
……あれ? 何か。
感覚が。
「にゃっ!?」
何だこれ。
俺の手が、猫の手に見えるんだけど。
気のせいじゃないよな?
*****
『ユキミ、猫に完全変身できたのか。すごいな』
ひょい、と抱き上げられる。
というか。
手のひらに載せられるくらい小さい猫になったみたいだ。
「みゃー、」
しゃべれないし!
『小さい。まだ子猫ちゃんだな?』
指で、頭を撫でられる。
気持ちいい。
アレックスの手をぺろぺろ舐めると。
くすぐったい、って笑ってる。
今、俺の舌、ざりざりしてるのかな?
「ふにゃ、」
引っくり返されて。
指先が、足の付け根あたりを探ってる。
『男の子だな?』
どこ触ってんだよもう。
シャー、と威嚇音が出た。
『はは、怒るな怒るな』
お腹をさすられる。
気持ちいい。
アレックスの手、大好き。
心地好すぎて、眠くなってきちゃう。
『ユキミ。猫の姿も可愛いが。まだ愛し合いたいんだが?』
ちゅっ、とキスをされて。
「ひゃ、」
人の姿に戻った。
相変わらず、猫耳猫しっぽは生えてるけど。
王子様のキスじゃなくて。
狼の騎士様のキスで、戻っちゃった。
*****
朝になって。
昨夜、完全に猫になってしまったと言ったら。
『え、完全に獣化したの? 見たかったなあ』
みんなから、アレックスばっかり見てずるいコールが。
『俺はツガイだからいいが。素っ裸のユキミを見せるわけないだろ』
素っ裸言うな。
猫の姿なら、毛皮は着てるだろ!?
『しかし、こーんな小さかったからな。あの姿ではとても戦わせられないな』
手で大きさを示した。
アレックスは、狼の姿になって戦っても、強いらしい。
なんかずるい。
『いや、ある意味最強かもしれないよ』
イアソンは真顔で言った。
『だって、そんな可愛い子猫ちゃんに、ひどいことできる!?』
『無理ですね。全面降伏です』
『ありえねえわ。俺も無理』
アーノルドもティグリスも、真顔だった。
アレックスがうんうん頷いてるのはまあ置いといて。
スウェーンまで!?
……あんたら、実は馬鹿なのでは?
ここで、ないわーと思ってる俺がなんか心無い人みたいじゃないか。
実際、棄てられたり虐待されて死んだ子猫や小動物をいっぱい見てきた身としては、人の良心に期待はできない。
異世界の人はそうなのか?
小さな生き物には、みんな、弱いものなのか?
精霊もそうだったし。
だとしたら、優しい人ばかりのいい世界だと思うけど。
現実は、それほど甘くはないよな。
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