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幸見
城と王様と騎士の邸宅
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馬から降りて。
イケメンな犬耳騎士にうやうやしく手を引かれて。着いた先は。
城だった。
本物の、お城だ! 日本の城じゃなくて、西洋の城。キングダムって感じ。
異世界に来て、早々に。
やたらでっかい、王様のいるお城に連れて来られてしまったのである。
ゲームやテレビ、写真とかでしか見たことないような、石造りの、大きくて立派な建造物で。
中に入れば、豪華絢爛、きらびやかな装飾。美術館とかにあるような調度品が並んでいて。足元は、ふかふかの絨毯。
武器を持って鎧を着た人が、廊下の両脇にいっぱい立って並んでる。
みんな微動だにしないので、人じゃなくて、人形だったりするのかな? 生きてるのかな? と思って覗き込んてみたら。
真っ赤になって、笑いをこらえてるような顔をしていた。
あ、ちゃんと生きてた。
『よせ、兵士の仕事の邪魔をするのは』
アレックスに首根っこを掴まれた。
「そんなとこ掴まないでよ。猫じゃないんだから」
文句を言ったら。
兵士は、耐え切れなくなったのか、ぶはっと吹き出した。
周りの兵士に睨まれてる。
悪いことをしてしまったようだ。
ごめんな?
*****
王様にお目通り、というのはかなり光栄なことだ。
それは俺にもわかってる。
でも、突然呼ばれても、困るし。
こっちは初対面で。何を言っていいかも、王様に対する礼儀だってわからないんだから。
ええと。
王様のゴハイエツを……何だって?
本物の王様なんて、はじめて見た。
金ピカの王冠被ってる。
王様が、なんか言ってる。
でも、何言ってるか意味不明なんですが。
この人も日本語上手いんだけど、意味がわからない。
何だ? キューセイのミコって。
旧姓? 急性? まさか急逝じゃないよな。縁起悪い。
ミコは何となく巫女らしい感じだ。でも俺は三男だから神社継がないし。
男だから、巫女にはならないんだけど。
指名が何だとか、わかんないってば。
もうここに座ってるの、しんどいんだけど。
……あれ?
俺ってこんな、落ち着きのない性格だったっけ?
こっちに来てから知能指数が30は減ってるような気がするのは、気のせいだろうか。
やっぱり猫の呪いじゃないのか?
アレックスに、助けを求める視線を向けたら。
この国のことは自分が教える、とか言って連れ出してくれた。
しばらく、不機嫌そうな顔をしていたけど。
それは別に、王様に対して不遜な態度を取ってしまった俺に怒っていた訳じゃなかったそうだ。
うっかり笑いそうになったから、我慢してたって?
ああ、不謹慎な場面で、つい笑ってしまうみたいな感じ?
いったんツボに入ると、止まらなくてつらいよな。
*****
アレックスは、色々説明しながら、国……城壁に囲まれた王国内を案内してくれた。
城下町には、色々な商店があった。
肉の串焼きとか、食べ物の屋台も並んでいた。
屋台で売ってたお菓子を美味しそうだな、って見てたら。アレックスが気前良く買ってくれた。スヴェンの分まで。
異世界のお菓子は、とても美味しかった。
どうやらこのアレックスって、そう悪いやつではないんじゃないか? と思った。
食べ物につられた訳じゃないけど。
『ここが、俺の家だ』
と、紹介されたのは。
広い。もう家なんていう規模じゃない、大邸宅だった。
従者もいるくらいだし、お金持ちなんだろうとは思ったけど。
実家ではなく、アレックスだけの家だという。
遊撃騎士って、そんなに給料いいのかな?
見たところ、30手前くらいだろうに。だいぶ稼いでるようだ。
『これからは、ユキミの家でもある。寛いで欲しい』
「……えっ、俺もここで、一緒に住むの?」
一緒に住むのは当然なことみたいに言われた。
自分がこの世界に連れて来たから、責任を感じているのだろうか?
まあ、その辺に放り出されても困るので、それは助かる。
使用人がいっぱい出てきて、挨拶された。
アレックスは自分で自分のことをほとんどしてしまうので、これでも少ないほうなんだそうだ。
食事や掃除、洗濯専門の使用人が、12人もいる。しかも住み込みで、全員分の部屋もあるとか。
これで少ないほうなら、普通は何人必要なんだろうか。
貴族って、とんでもないな……。
*****
身体の採寸をされた。
どうやら、俺の服を作ってくれるらしい。
王様に会う時やパーティー用の礼服とか。普段着とか、色々。
既製品じゃなく、手縫いのオーダーメイドなのか。高そう。
靴も、木で足型から作って、革を縫って作るそうだ。手間がかかってるなあ。
こういうものの代金って、王様から出てるのだろうか?
アレックスが俺をこの世界に連れて来たの、王様の命令らしいし。
多めにふんだくってやればいいと思う。
迷惑料として。
とりあえず、今、俺が借りて着ているのは、アレックスが昔着ていたお下がりだというけど。
それでもまだ少し大きくて、袖が余っている。
いくつの時のだろ?
部屋も、アレックスと同じ部屋になるようだ。
俺は大切な身なので、目を離すわけにはいかないんだとか。
まあ、部屋は教室三つ分くらい広いし。ベッドも二つあるから、俺はいいけど。
アレックスは嫌じゃないのかな。
嫌じゃないか。
なんか嬉しそうに俺の頭撫でてくるし。
何があっても自分が守るから安心して欲しい、って言ってるけど。
何から?
……何か出るのか? ここ。
イケメンな犬耳騎士にうやうやしく手を引かれて。着いた先は。
城だった。
本物の、お城だ! 日本の城じゃなくて、西洋の城。キングダムって感じ。
異世界に来て、早々に。
やたらでっかい、王様のいるお城に連れて来られてしまったのである。
ゲームやテレビ、写真とかでしか見たことないような、石造りの、大きくて立派な建造物で。
中に入れば、豪華絢爛、きらびやかな装飾。美術館とかにあるような調度品が並んでいて。足元は、ふかふかの絨毯。
武器を持って鎧を着た人が、廊下の両脇にいっぱい立って並んでる。
みんな微動だにしないので、人じゃなくて、人形だったりするのかな? 生きてるのかな? と思って覗き込んてみたら。
真っ赤になって、笑いをこらえてるような顔をしていた。
あ、ちゃんと生きてた。
『よせ、兵士の仕事の邪魔をするのは』
アレックスに首根っこを掴まれた。
「そんなとこ掴まないでよ。猫じゃないんだから」
文句を言ったら。
兵士は、耐え切れなくなったのか、ぶはっと吹き出した。
周りの兵士に睨まれてる。
悪いことをしてしまったようだ。
ごめんな?
*****
王様にお目通り、というのはかなり光栄なことだ。
それは俺にもわかってる。
でも、突然呼ばれても、困るし。
こっちは初対面で。何を言っていいかも、王様に対する礼儀だってわからないんだから。
ええと。
王様のゴハイエツを……何だって?
本物の王様なんて、はじめて見た。
金ピカの王冠被ってる。
王様が、なんか言ってる。
でも、何言ってるか意味不明なんですが。
この人も日本語上手いんだけど、意味がわからない。
何だ? キューセイのミコって。
旧姓? 急性? まさか急逝じゃないよな。縁起悪い。
ミコは何となく巫女らしい感じだ。でも俺は三男だから神社継がないし。
男だから、巫女にはならないんだけど。
指名が何だとか、わかんないってば。
もうここに座ってるの、しんどいんだけど。
……あれ?
俺ってこんな、落ち着きのない性格だったっけ?
こっちに来てから知能指数が30は減ってるような気がするのは、気のせいだろうか。
やっぱり猫の呪いじゃないのか?
アレックスに、助けを求める視線を向けたら。
この国のことは自分が教える、とか言って連れ出してくれた。
しばらく、不機嫌そうな顔をしていたけど。
それは別に、王様に対して不遜な態度を取ってしまった俺に怒っていた訳じゃなかったそうだ。
うっかり笑いそうになったから、我慢してたって?
ああ、不謹慎な場面で、つい笑ってしまうみたいな感じ?
いったんツボに入ると、止まらなくてつらいよな。
*****
アレックスは、色々説明しながら、国……城壁に囲まれた王国内を案内してくれた。
城下町には、色々な商店があった。
肉の串焼きとか、食べ物の屋台も並んでいた。
屋台で売ってたお菓子を美味しそうだな、って見てたら。アレックスが気前良く買ってくれた。スヴェンの分まで。
異世界のお菓子は、とても美味しかった。
どうやらこのアレックスって、そう悪いやつではないんじゃないか? と思った。
食べ物につられた訳じゃないけど。
『ここが、俺の家だ』
と、紹介されたのは。
広い。もう家なんていう規模じゃない、大邸宅だった。
従者もいるくらいだし、お金持ちなんだろうとは思ったけど。
実家ではなく、アレックスだけの家だという。
遊撃騎士って、そんなに給料いいのかな?
見たところ、30手前くらいだろうに。だいぶ稼いでるようだ。
『これからは、ユキミの家でもある。寛いで欲しい』
「……えっ、俺もここで、一緒に住むの?」
一緒に住むのは当然なことみたいに言われた。
自分がこの世界に連れて来たから、責任を感じているのだろうか?
まあ、その辺に放り出されても困るので、それは助かる。
使用人がいっぱい出てきて、挨拶された。
アレックスは自分で自分のことをほとんどしてしまうので、これでも少ないほうなんだそうだ。
食事や掃除、洗濯専門の使用人が、12人もいる。しかも住み込みで、全員分の部屋もあるとか。
これで少ないほうなら、普通は何人必要なんだろうか。
貴族って、とんでもないな……。
*****
身体の採寸をされた。
どうやら、俺の服を作ってくれるらしい。
王様に会う時やパーティー用の礼服とか。普段着とか、色々。
既製品じゃなく、手縫いのオーダーメイドなのか。高そう。
靴も、木で足型から作って、革を縫って作るそうだ。手間がかかってるなあ。
こういうものの代金って、王様から出てるのだろうか?
アレックスが俺をこの世界に連れて来たの、王様の命令らしいし。
多めにふんだくってやればいいと思う。
迷惑料として。
とりあえず、今、俺が借りて着ているのは、アレックスが昔着ていたお下がりだというけど。
それでもまだ少し大きくて、袖が余っている。
いくつの時のだろ?
部屋も、アレックスと同じ部屋になるようだ。
俺は大切な身なので、目を離すわけにはいかないんだとか。
まあ、部屋は教室三つ分くらい広いし。ベッドも二つあるから、俺はいいけど。
アレックスは嫌じゃないのかな。
嫌じゃないか。
なんか嬉しそうに俺の頭撫でてくるし。
何があっても自分が守るから安心して欲しい、って言ってるけど。
何から?
……何か出るのか? ここ。
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