57 / 83
ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェの人生
Fais de beaux rêves(良い夢を)
しおりを挟む
アンリの感じる場所や快楽を引き出すのに夢中になっていたら。
いつの間にか明け方になっていた。
気を失うように寝てしまったアンリに、回復魔法を掛けてやる。
この白い肌に所有の証を刻み込みたかったが。それは結婚式の後にしておこう。
俺は挿入しただけで理性が吹っ飛びそうになるくらい気持ち良かったが。
アンリは、俺の身体で満足できたのだろうか。
目を覚まして。
やっぱり結婚をやめる、と言われたらどうしよう。
*****
寝顔を眺めていたら。
アンリがふ、と微笑んだ。貴重な笑顔だ。
記録に残したいが、ぐっと堪える。
どんな夢を見ているのだろう?
寝ぼけているのか、俺の胸板にすりすりと頬を寄せてくる。
そんな可愛いことをしたら、犯したくなるじゃないか。
「……んん、……ん?」
ぺちぺちと、胸板を叩かれる。起きたようだ。
「ロロ……?」
ぼんやりしていて可愛い。
いつも寝起きはこうなのか? 毎朝見たいものだ。
「おはよう、アンリ。まだ寝てていいぞ」
頭を撫でて、額に口づける。
「いや、起きる。城に帰らないと……」
辺りを見回している。
羽織るものはないか、探しているようだ。
今日中に片づけないといけない仕事があるのだという。
職務に真面目なところも好ましいが。
さすがに、初めて肌を重ねた朝にその反応は寂しい。
「つれないな、……俺はアンリの伴侶として、合格だったか?」
「?」
首を傾げている。
これは、猥談もしたことがないな。そこまで純粋だったか。
はっきり言わないとわからないようだ。
「夫婦になるには身体の相性も大事な訳だが。俺のこれはお気に召したかな?」
朝の生理現象を起こしているものを握らせた。
「!?」
真っ赤になった。反応が可愛いな。
*****
俺の移動魔法ではベリエに戻れないため、アンリの魔法で戻った。
出迎えたアンドレが心労のためか、幽鬼のような物凄い形相になっていて、アンリが驚いていた。
俺も同じ立場であれば、そうなるのも理解できるが。
もはやアンドレは恋敵でもなんでもなく、アンリの元世話係のようなものである。
これからは、アンリの世話は俺が全てするのだから。
ベリエの城に置き去りにされ、アンドレの愚痴を一晩中聞かされる羽目になったページは、俺の顔を見るなり文句を言ってきたが。
事情を話すと、涙を流さんばかりに喜び、祝ってくれた。
今日から結婚式までここに住むので、仕事はこっちへ持ってくるように言ったらさすがに嫌そうな顔をされた。
馬を飛ばせば往復6ウール、馬車では8ウール掛かるのだからそれも仕方ない。
アンリに、城の前までページの移動魔法の使用を一時的に許可してもらう。
ページと馬車を帰したら。
アンリは不思議そうに「一緒に帰らないのか?」と訊いてきた。
「言っただろう? 俺のアンリの肌を誰にも見せたくないと。だから王城に移り住むまで、ずっとここにいさせてもらう」
「……仕事は?」
何よりも伯爵としての職務を気にするとは、相変わらずアンリは真面目だ。
仕事をおろそかにすれば、アンリに嫌われる。
ちゃんと義務は果たすつもりだ。
「問題ない。ページが通うので、城門前までの移動魔法を許可して欲しい」
*****
アンリと国王の座を争っていたはずの俺がベリエに留まるのは不自然である。
表向きは国王候補であるアンリを支援するために会議をしていることにして、城に留まった。
俺は今すぐにでも結婚を発表したいところだが。
まだ早い。
それにはアンリが完全体であることを公表しなければいけなくなるからだ。
どの時期で発表するのが一番効果的か、皆でじっくりと話し合う必要がある。
アンドレが言うには、アンリについての話し合いには必ず国王も参加することになるらしい。後見人だからな。
いつの間にか明け方になっていた。
気を失うように寝てしまったアンリに、回復魔法を掛けてやる。
この白い肌に所有の証を刻み込みたかったが。それは結婚式の後にしておこう。
俺は挿入しただけで理性が吹っ飛びそうになるくらい気持ち良かったが。
アンリは、俺の身体で満足できたのだろうか。
目を覚まして。
やっぱり結婚をやめる、と言われたらどうしよう。
*****
寝顔を眺めていたら。
アンリがふ、と微笑んだ。貴重な笑顔だ。
記録に残したいが、ぐっと堪える。
どんな夢を見ているのだろう?
寝ぼけているのか、俺の胸板にすりすりと頬を寄せてくる。
そんな可愛いことをしたら、犯したくなるじゃないか。
「……んん、……ん?」
ぺちぺちと、胸板を叩かれる。起きたようだ。
「ロロ……?」
ぼんやりしていて可愛い。
いつも寝起きはこうなのか? 毎朝見たいものだ。
「おはよう、アンリ。まだ寝てていいぞ」
頭を撫でて、額に口づける。
「いや、起きる。城に帰らないと……」
辺りを見回している。
羽織るものはないか、探しているようだ。
今日中に片づけないといけない仕事があるのだという。
職務に真面目なところも好ましいが。
さすがに、初めて肌を重ねた朝にその反応は寂しい。
「つれないな、……俺はアンリの伴侶として、合格だったか?」
「?」
首を傾げている。
これは、猥談もしたことがないな。そこまで純粋だったか。
はっきり言わないとわからないようだ。
「夫婦になるには身体の相性も大事な訳だが。俺のこれはお気に召したかな?」
朝の生理現象を起こしているものを握らせた。
「!?」
真っ赤になった。反応が可愛いな。
*****
俺の移動魔法ではベリエに戻れないため、アンリの魔法で戻った。
出迎えたアンドレが心労のためか、幽鬼のような物凄い形相になっていて、アンリが驚いていた。
俺も同じ立場であれば、そうなるのも理解できるが。
もはやアンドレは恋敵でもなんでもなく、アンリの元世話係のようなものである。
これからは、アンリの世話は俺が全てするのだから。
ベリエの城に置き去りにされ、アンドレの愚痴を一晩中聞かされる羽目になったページは、俺の顔を見るなり文句を言ってきたが。
事情を話すと、涙を流さんばかりに喜び、祝ってくれた。
今日から結婚式までここに住むので、仕事はこっちへ持ってくるように言ったらさすがに嫌そうな顔をされた。
馬を飛ばせば往復6ウール、馬車では8ウール掛かるのだからそれも仕方ない。
アンリに、城の前までページの移動魔法の使用を一時的に許可してもらう。
ページと馬車を帰したら。
アンリは不思議そうに「一緒に帰らないのか?」と訊いてきた。
「言っただろう? 俺のアンリの肌を誰にも見せたくないと。だから王城に移り住むまで、ずっとここにいさせてもらう」
「……仕事は?」
何よりも伯爵としての職務を気にするとは、相変わらずアンリは真面目だ。
仕事をおろそかにすれば、アンリに嫌われる。
ちゃんと義務は果たすつもりだ。
「問題ない。ページが通うので、城門前までの移動魔法を許可して欲しい」
*****
アンリと国王の座を争っていたはずの俺がベリエに留まるのは不自然である。
表向きは国王候補であるアンリを支援するために会議をしていることにして、城に留まった。
俺は今すぐにでも結婚を発表したいところだが。
まだ早い。
それにはアンリが完全体であることを公表しなければいけなくなるからだ。
どの時期で発表するのが一番効果的か、皆でじっくりと話し合う必要がある。
アンドレが言うには、アンリについての話し合いには必ず国王も参加することになるらしい。後見人だからな。
0
お気に入りに追加
374
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。


拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる