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Ⅶ
美しき国王、希望する
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「陛下、王配殿下、ご結婚おめでとうございます」
「末永くお幸せに!」
伯爵領の城からついてきてくれたメイドたちが、廊下に並んで。
祝いの花を撒いてくれている。
掃除、大変だろうに……。
ありがとう、と手を振ったら。きゃあきゃあと嬉しそうに騒いでいる。
俺がフタナリでも、変わらず萌えてるのか。おぬしらもニッチな趣味持ちじゃのう。
まあ、腐女子も色々いるからな……。
コミケですれ違った美人がガチムチおっさん受けの同人誌持ってるの見た時は我が目を疑ったもんだ。思わず二度見しなかった自分を褒めたい。
しかしお姉さんだと思ったら男のお姉さんだという可能性もあるから、オタク界隈は魔境なんだよな。逆もあったりして。
再現度高いイケメンキャラのコスプレしてる人が女子更衣室へ入っていくのも何度か遭遇したもんだ。
最近は、別人レベルで修正入りまくった写真集とか出てたし。カオスだったな。
幼少時に強制されてやってたっていう嫌な思い出があったから、家を出てからは避けてたけど。
こっちの世界でなら、やってみてもいいかもな。コスプレ。
仮面舞踏会みたいな感じで。普段とは違う自分になって、はっちゃけてみたりして。
企画したら乗って、やってくれそうな人、何人か思い浮かぶし。
俺的には、今の姿もコスプレみたいなもんだが。
*****
「……メイドにまで、愛想をふりまかなくていい」
ロロが拗ねている。
彼女たちは、ベリエ領の城にいた頃から俺に仕えていた腐女子なメイドで。以前から俺とロロの関係に萌えていて、祝福してくれてるんだと教えてやる。
ロロが驚いて後ろを振り返りそうになったので。
頭を抱え込むようなかたちで、顔を押さえた。それを見た彼女たちから嬉しそうな悲鳴が聞こえたので、納得したようだ。
「そうだったのか……、」
笑顔になったけど。
ロロが現れるまでは、アンドレと俺の関係にも萌えてたって言ったら、また拗ねた。
男同士で仲良くしてるのを見るだけで嬉しいみたいだし、それは仕方ないじゃん。
俺も前世では可愛い女の子たちが百合百合しく仲良い姿に萌えてたし。主に同人誌で。
『……同人誌が出せるような平和な世の中になるにはどのくらいかかるかなあ』
つい、日本語で呟いてしまったが。
ちょうど寝室に入ったところだった。セーフ。
まあ衛士たちに聞かれても、魔法の呪文かと思われるくらいだろうけど。
「俺がついてる。すぐにでも、読めるようになるだろ」
安心しろ、とばかりに大きな手で背を撫でられる。
そうだな。
ロロは優秀な王佐でもある。
自分も国王になれる器だったのに、俺を王座に座らせて裏方に回って支えてくれるんだ。
ロロだけじゃなく、優秀な臣下たちからも協力してもらって。
この世界にジャパニーズオタクカルチャーを広めて、皆をハッピーにするんだ。
同じ志の者同士、頑張ろうな? 推しジャンルは違うかもしれないけど。
「ただでさえ国民から大人気な王様が”フタナリ”なんだから、あんたの大好きだった”フタナリ”も流行るだろ」
満面の笑みである。
『だからそれは俺の趣味じゃねえって何度言ったらわかるんだよ!?』
*****
あれからずっと、戴冠式や結婚式の準備に慌ただしくて。
結局、ロロが完全に前世の記憶を取り戻してから、ベッドを共にするのは今日が初めてになる。
それもこれも結婚式の後、ハネムーンでしばらく休みを作るために、仕事に追われてたんだけど。
初めて身体を重ねてからずっと、日を置かず、毎日のように抱かれてたせいか。
しばらくぶりだと何だか緊張してしまう。
ロロが性欲めちゃくちゃ溜め込んでそうで、怖かったりするのもあるけど。
ちょっとだけ、期待もしてたりして。
俺だって、気持ち良いのは好きだし。早く、触れあいたいと思ってた。
「末永くお幸せに!」
伯爵領の城からついてきてくれたメイドたちが、廊下に並んで。
祝いの花を撒いてくれている。
掃除、大変だろうに……。
ありがとう、と手を振ったら。きゃあきゃあと嬉しそうに騒いでいる。
俺がフタナリでも、変わらず萌えてるのか。おぬしらもニッチな趣味持ちじゃのう。
まあ、腐女子も色々いるからな……。
コミケですれ違った美人がガチムチおっさん受けの同人誌持ってるの見た時は我が目を疑ったもんだ。思わず二度見しなかった自分を褒めたい。
しかしお姉さんだと思ったら男のお姉さんだという可能性もあるから、オタク界隈は魔境なんだよな。逆もあったりして。
再現度高いイケメンキャラのコスプレしてる人が女子更衣室へ入っていくのも何度か遭遇したもんだ。
最近は、別人レベルで修正入りまくった写真集とか出てたし。カオスだったな。
幼少時に強制されてやってたっていう嫌な思い出があったから、家を出てからは避けてたけど。
こっちの世界でなら、やってみてもいいかもな。コスプレ。
仮面舞踏会みたいな感じで。普段とは違う自分になって、はっちゃけてみたりして。
企画したら乗って、やってくれそうな人、何人か思い浮かぶし。
俺的には、今の姿もコスプレみたいなもんだが。
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「……メイドにまで、愛想をふりまかなくていい」
ロロが拗ねている。
彼女たちは、ベリエ領の城にいた頃から俺に仕えていた腐女子なメイドで。以前から俺とロロの関係に萌えていて、祝福してくれてるんだと教えてやる。
ロロが驚いて後ろを振り返りそうになったので。
頭を抱え込むようなかたちで、顔を押さえた。それを見た彼女たちから嬉しそうな悲鳴が聞こえたので、納得したようだ。
「そうだったのか……、」
笑顔になったけど。
ロロが現れるまでは、アンドレと俺の関係にも萌えてたって言ったら、また拗ねた。
男同士で仲良くしてるのを見るだけで嬉しいみたいだし、それは仕方ないじゃん。
俺も前世では可愛い女の子たちが百合百合しく仲良い姿に萌えてたし。主に同人誌で。
『……同人誌が出せるような平和な世の中になるにはどのくらいかかるかなあ』
つい、日本語で呟いてしまったが。
ちょうど寝室に入ったところだった。セーフ。
まあ衛士たちに聞かれても、魔法の呪文かと思われるくらいだろうけど。
「俺がついてる。すぐにでも、読めるようになるだろ」
安心しろ、とばかりに大きな手で背を撫でられる。
そうだな。
ロロは優秀な王佐でもある。
自分も国王になれる器だったのに、俺を王座に座らせて裏方に回って支えてくれるんだ。
ロロだけじゃなく、優秀な臣下たちからも協力してもらって。
この世界にジャパニーズオタクカルチャーを広めて、皆をハッピーにするんだ。
同じ志の者同士、頑張ろうな? 推しジャンルは違うかもしれないけど。
「ただでさえ国民から大人気な王様が”フタナリ”なんだから、あんたの大好きだった”フタナリ”も流行るだろ」
満面の笑みである。
『だからそれは俺の趣味じゃねえって何度言ったらわかるんだよ!?』
*****
あれからずっと、戴冠式や結婚式の準備に慌ただしくて。
結局、ロロが完全に前世の記憶を取り戻してから、ベッドを共にするのは今日が初めてになる。
それもこれも結婚式の後、ハネムーンでしばらく休みを作るために、仕事に追われてたんだけど。
初めて身体を重ねてからずっと、日を置かず、毎日のように抱かれてたせいか。
しばらくぶりだと何だか緊張してしまう。
ロロが性欲めちゃくちゃ溜め込んでそうで、怖かったりするのもあるけど。
ちょっとだけ、期待もしてたりして。
俺だって、気持ち良いのは好きだし。早く、触れあいたいと思ってた。
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