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Ⅵ
美しき伯爵、ストーカーに怯える
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『わたしはゲイですが。それまで決まったパートナーはいませんでした。ああ、わたしの運命の人は日本にいたのだと、目を覚ますのを待っていたのに。……神は無慈悲にも、わたしの元から貴方の魂を強引に連れ去った』
今、さらっととんでもないこと言った!?
脳死状態で。いくら延命しても、この先、二度と目を覚ますことはないと判断した”神”が俺の魂を取り上げて、他の世界に連れて行ったのだという。
ヘンリーは、”神のみえざる手”が、俺の魂を連れ去ったことを感じたらしい。
ヒトの身では、神の意志には逆らえない。
ならば、自分が後を追いかければいいと思ったヘンリーは。
自国で所属していた魔術結社から魔術師を呼んで。自分の魂を、俺の魂が連れ去られたのと同じ場所へ飛ばすように依頼した、という。
*****
……あんまりにもトンデモ展開すぎて、ちょっと話についていけないんだが。
なんだよ、魔術結社って!? あっちに魔法とか魔術師なんて実在したのかよ!? ヘンリーさんてば、マジモンのオカルティストだったのか?
神様や魔術師が実在非実在してるかって問題はともかく。
信じられないような話だけど。
ヘンリーは。実際に、何らかの手段でこの世界へ自分の魂を飛ばして。俺のことを追いかけてきたんだ。
そうじゃなかったら、説明できない。今の状況を。
だって。
俺の名前や、あの事故のことを知ってるのは当事者しかいないし。
今も、この世界では存在しない言語で話をしているんだから。
信じるしかない。
……いやいやいや。やっぱ、色々な意味で信じられないんですけど!
『何で、そこまでして、俺のことなんて……。あんた、前の人生に未練はなかったのか……?』
俺は、不運な事故だったわけだし。
ある意味、自分から事故に遭いに行ったようなもんで。しょうがないって思って、諦めもついた。
でも、ヘンリーは。
前世で、会社経営をしてたって言ってた。秘書や高級外車の運転手もいるような。恵まれた人生だっただろうに。
まだ36歳。これからだっただろう人生を、何もかも擲って。
わざわざ異世界まで、俺のことを追いかけて来たっていうのか?
その理由が、昏睡状態で寝てる俺に恋をした、だなんて。
そんなの、信じられないってば!
だって。
今みたいに、非の打ち所がない綺麗な容姿だったなら、一目惚れされても納得できるけど。
前世での俺なんて、その辺にいるようなモサいオッサンだぞ!? その上、底辺オタクで。あんなニッチなエロ同人誌読んでるやつ。
俺なら100年の恋も醒めるっつーの。
*****
『言ったでしょう? わたしはわたしの運命に出逢ったと感じたのです。愛する人を目の前で奪われ、通常であれば絶望していたでしょう。ですが、わたしには追いかける手段があった。持てる力をすべて使って追いかけた。それだけです』
前世での記憶を取り戻したせいか。
今まで見てきたロロの笑顔とは少し違うように見える笑顔でそう言った。
『もう、魂を追う方法は覚えました。この世界では魔法が使えるので、自分の力で追うことが可能になりました。貴方より若くて良かった。貴方が今世で寿命を迎えたとしても、転生先で貴方を手に入れることができるのですから。それこそ、永遠に』
前世からだけじゃなく、来世も追いかける宣言? 永遠に?
ええ、こわ……っ。
やっぱストーカー?
っていうか。こいつもう、紛うことなきストーカーじゃん!?
『前世での記憶は、生まれた時からあったのですか?』
と訊かれて。
『いや、5歳の時に、暗殺未遂事件があって。ベランダから落ちて頭を割って、その痛みで思い出したみたいだ』
端から聞いてたらデンパゆんゆんな会話だよなあ、と思いつつそう言うと。
自分の方が痛そうに顔をしかめた。
そっちはヘンリーのせいじゃないんだから、気に病まなくていいのに。
今、さらっととんでもないこと言った!?
脳死状態で。いくら延命しても、この先、二度と目を覚ますことはないと判断した”神”が俺の魂を取り上げて、他の世界に連れて行ったのだという。
ヘンリーは、”神のみえざる手”が、俺の魂を連れ去ったことを感じたらしい。
ヒトの身では、神の意志には逆らえない。
ならば、自分が後を追いかければいいと思ったヘンリーは。
自国で所属していた魔術結社から魔術師を呼んで。自分の魂を、俺の魂が連れ去られたのと同じ場所へ飛ばすように依頼した、という。
*****
……あんまりにもトンデモ展開すぎて、ちょっと話についていけないんだが。
なんだよ、魔術結社って!? あっちに魔法とか魔術師なんて実在したのかよ!? ヘンリーさんてば、マジモンのオカルティストだったのか?
神様や魔術師が実在非実在してるかって問題はともかく。
信じられないような話だけど。
ヘンリーは。実際に、何らかの手段でこの世界へ自分の魂を飛ばして。俺のことを追いかけてきたんだ。
そうじゃなかったら、説明できない。今の状況を。
だって。
俺の名前や、あの事故のことを知ってるのは当事者しかいないし。
今も、この世界では存在しない言語で話をしているんだから。
信じるしかない。
……いやいやいや。やっぱ、色々な意味で信じられないんですけど!
『何で、そこまでして、俺のことなんて……。あんた、前の人生に未練はなかったのか……?』
俺は、不運な事故だったわけだし。
ある意味、自分から事故に遭いに行ったようなもんで。しょうがないって思って、諦めもついた。
でも、ヘンリーは。
前世で、会社経営をしてたって言ってた。秘書や高級外車の運転手もいるような。恵まれた人生だっただろうに。
まだ36歳。これからだっただろう人生を、何もかも擲って。
わざわざ異世界まで、俺のことを追いかけて来たっていうのか?
その理由が、昏睡状態で寝てる俺に恋をした、だなんて。
そんなの、信じられないってば!
だって。
今みたいに、非の打ち所がない綺麗な容姿だったなら、一目惚れされても納得できるけど。
前世での俺なんて、その辺にいるようなモサいオッサンだぞ!? その上、底辺オタクで。あんなニッチなエロ同人誌読んでるやつ。
俺なら100年の恋も醒めるっつーの。
*****
『言ったでしょう? わたしはわたしの運命に出逢ったと感じたのです。愛する人を目の前で奪われ、通常であれば絶望していたでしょう。ですが、わたしには追いかける手段があった。持てる力をすべて使って追いかけた。それだけです』
前世での記憶を取り戻したせいか。
今まで見てきたロロの笑顔とは少し違うように見える笑顔でそう言った。
『もう、魂を追う方法は覚えました。この世界では魔法が使えるので、自分の力で追うことが可能になりました。貴方より若くて良かった。貴方が今世で寿命を迎えたとしても、転生先で貴方を手に入れることができるのですから。それこそ、永遠に』
前世からだけじゃなく、来世も追いかける宣言? 永遠に?
ええ、こわ……っ。
やっぱストーカー?
っていうか。こいつもう、紛うことなきストーカーじゃん!?
『前世での記憶は、生まれた時からあったのですか?』
と訊かれて。
『いや、5歳の時に、暗殺未遂事件があって。ベランダから落ちて頭を割って、その痛みで思い出したみたいだ』
端から聞いてたらデンパゆんゆんな会話だよなあ、と思いつつそう言うと。
自分の方が痛そうに顔をしかめた。
そっちはヘンリーのせいじゃないんだから、気に病まなくていいのに。
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