底辺オタクがチート性能ガチ盛りなフタナリ美形に転生~魔法王国の王様に俺はなる!

篠崎笙

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美しき伯爵、戸惑う

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切れ長の、青灰色の目が。まっすぐに俺を見据えている。
射抜かれそうなほど、強い視線。


「俺は王座よりも。アンリ、あんたが欲しい」


それは。
間違いようもなく、プロポーズでござった。


*****


いかん。
あまりのことに言語能力がバグった。


今の、プロポーズだよな? 聞き間違いじゃなく?
アンドレも、直した皿をまた真っ二つにしちゃって、呆然とこっちを見てる。


「……嫌か?」

いや、嫌か、と訊かれましても。
この身体はフタナリだったと判明したところで、俺自身は、自分を男だと思ってるし。

前世では童貞のまま死んだが。男よりは女の方が好きだ。
ただし二次元に限る。


でもこの世界、わりと男同士や女同士の婚姻が多いんだよな……。

貴族の第一子や魔力の強い者以外、子供を作ることを推奨されていないというか。
魔素が薄い場合、独身のまま生涯を終える場合もある。

でも俺って、自力でも子供を産めるんだっけ?

ちんこちっさいのに、どうやって生殖するの?
まさか、スポイトでも使うの? で、吸い込んだのを注射器とかで?

ひええ。想像するのも恐ろしや。
怖いから試したくもない。


それ以前に、自分が子供産むとか、怖いし。無理です!


*****


俺が国王になったら。
血筋を残せ、子供を作れって。今以上にうるさく言われるだろうな。

当然のように、縁談もいっぱい来るだろう。
今だって名だたる貴族から、自分の娘とひと目でも良いから見合いしてくれ、といくら断ってもしつこく押しかけて来るのを追い払うのに苦労してるほどだ。


パーティーでも、ぐいぐい迫って来るのを、ロロを盾にして逃げまくってた。
こっちの方が全体的に魔素が多そうでイケメンですよ! こんな貧弱な坊やに群がらないでくだち!

あ、そういえば、俺もかなり美形だったわ。
あんまり自覚ないけど。

何しろ中身が残念なオタクだからな! デュフフ。


あんまりしつこく付きまとってくるヤカラは、国王の名において出禁にされてたくらいだった。
国王のお気に入りでよかった。


う~ん。
諦めて、誰か適当に選んで結婚するか?

……駄目だな。
こんな複雑な身体、女の人には絶対に見せられない。

えっちしても、「入ってるの?」とか言われそう。もう想像しただけでも泣いちゃう。
相手が処女だと、挿入すら不可能かもな。

ちっさい上にふにゃちんだからね!


くっそ、ちんこでかくなる魔法ねえかな……。
変身系の魔法を応用すればワンチャンいけるか? でも興奮したり射精した時にうっかり解けちゃったら、ギャグにもならないよな……。

その場に吹き荒れるブリザード、もう阿鼻叫喚の地獄絵図ですよ。想像するだに恐ろしや。


*****


「即答しないってことは、希望はあるってことか……」

「?」
ロロはいつの間にか、俺の隣に移動していた。


「よく考えるんだな。俺は敵に回すより、傍に置いといたほうが得だと思うぜ?」

ソファーの背もたれに腕をかけて。
顔を寄せて来た。


おおぅ、睫毛長いな……。
白目が、青く見えるくらい真っ白で。肌の色が濃いせいか、目力が凄い。

綺麗に整ってるのに、俺と違って、女みたいには全然見えない。
意思の強そうなしっかりした眉、笑うと少し目尻の下がる、シュッとした切れ長の目。高く通った鼻筋。薄い唇。

非の打ち所がない美形だからか? これだけ近寄られても嫌悪感が無いってすごい。
その上、いい匂いがするとかイケメンずるい。モテモテフェロモン出てそう。

みんな縁談は俺じゃなくて、こういうイケメンに持っていきなされ。
っていうか、今、こいつ自身が俺に縁談を持ってきたわけだが。


「俺を選べ。後悔はさせない」

ひいぃ。近い近い!
耳元で、イケメンボイスで囁くのやめてくだち! くすぐったいだろ!


あ、アンドレが殺気を放ちながら腰の剣に手をかけている。ステイ! 相手は伯爵ですぞ第七王子!
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