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Ⅲ
美しき伯爵、二十歳になる
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とんでもない秘密を知ってしまったが。
アンドレもロロも、それから劇的に態度が変わることもなく。
何事も無かったかのように、アンドレは過保護なくらいの世話係に徹していたし。
ロロは相変わらず訓練の邪魔をしに来た。
俺も、国王になる為に、覚えなきゃいけないマナーや知識を学ぶことで精一杯で。
忙しい日々を過ごした。
そんなこんなで時は過ぎ去り。
俺は二十歳になった。
これまで、ふぐりの後ろにあるっていう女性器には、恐ろしくて一度も触れなかったが。
結局のところ、二十歳になっても俺に成長期は来なかったのだった。
容姿は、スレンダーな美少女、といった感じだ。
成長期には胸が膨らむかもって言ってたのに。まな板です。
胸もちんこもささやかなまま。ほぼ変化なし。
巨乳巨根、という俺のフタナリっ娘へのイメージは、儚くも崩れ去ったのだった。
まあ、しょせんフィクションの世界の話だもんな。
貧血起こすほどのデカチンは大変そうだし、いらないからいいけど!
イエス、負け犬の遠吠えですが何か!?
*****
季節が夏になる少し前のことだった。
国王が、そろそろ退位したい、と表明した。
辞めたいからといって、すぐに辞められないのって大変だ。
引継ぎとかあるからか? そんなに手続きがいっぱいあるなら、急死した場合とかどうするんだろうか。
国王候補は、この時点で3人にまで絞られていた。
俺、ベリエ伯アンリ・アントワーヌ・ガブリエル・ド・ジュスタンと。
ロロことトロー伯ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。
そして国王の甥であるヴェルソー侯爵アレクサンドル=ルイ=ウォルテールだ。
脱落した元候補や他の貴族は、それぞれの候補者の支持に回るそうだ。
支持者が多ければ多いほど有利だという。
ロロとも、本格的に対立することになるのかなあ、と思っていたら。
「俺は、国王候補から辞退しようと思ってる」
話がある、と言って。珍しくアポを取って。
正装で。いつものように庭からではなく、正門から入って来たロロが、応接間のソファーに腰掛け、優雅に紅茶を飲みながらそんなことを言いだした。
ロロはとっくに俺の背を追い越して。やんちゃな美少年から、怜悧とかいう言葉の似合う美青年に育っていた。
まだ17歳のくせして、生意気である。
こいつとの付き合いも、もう9年になるのか。
国王候補同士、正々堂々戦おう、などど言って切磋琢磨しあった仲だが。
嬉しげに筋肉を見せびらかしていた頃に比べると、かなり落ち着いて、大人っぽくなったというか。
すっかり大人になってしまった。
並んでいると、間違いなく俺のほうが年下に見られるほどだ。
やーい老け顔。
*****
「ロロも、国王になりたかったのではないのか?」
内心はポーカーフェイスで隠し、訊いてみる。
俺に勝てないと思って辞退する……ってわけでもないだろう。
代々貴族で、国王も多く輩出しているデュランベルジェ家は支持者も多いのだ。
「いや、俺は裏に回って色々工作するほうが性に合ってるようでな」
ロロは薄い唇の端を上げ、シニカルな笑みを浮かべた。
これまでも、他の候補者を秘密裏に蹴落とす工作などをして、暗躍していたらしい。
敵には回したくないタイプである。
思わせぶりにテーブルの上に組まれた手に顎を乗せて。
挑戦的な視線を向けられる。
「国王になりたいなら、俺があんたの王配になって支えてやるが。どうだ?」
ガシャン、と音がして。
見れば、アンドレが食器を取り落としていた。
完璧超人のアンドレが皿を割るなんて珍しいな。魔法で直してる。
マジで便利だよな、魔法。
「……ん?」
今、王配、と言ったか?
王配って。……ええと、確か、王の配偶者のことだったっけ。
配偶者っていうのは。
つまり。
ええっ!?
アンドレもロロも、それから劇的に態度が変わることもなく。
何事も無かったかのように、アンドレは過保護なくらいの世話係に徹していたし。
ロロは相変わらず訓練の邪魔をしに来た。
俺も、国王になる為に、覚えなきゃいけないマナーや知識を学ぶことで精一杯で。
忙しい日々を過ごした。
そんなこんなで時は過ぎ去り。
俺は二十歳になった。
これまで、ふぐりの後ろにあるっていう女性器には、恐ろしくて一度も触れなかったが。
結局のところ、二十歳になっても俺に成長期は来なかったのだった。
容姿は、スレンダーな美少女、といった感じだ。
成長期には胸が膨らむかもって言ってたのに。まな板です。
胸もちんこもささやかなまま。ほぼ変化なし。
巨乳巨根、という俺のフタナリっ娘へのイメージは、儚くも崩れ去ったのだった。
まあ、しょせんフィクションの世界の話だもんな。
貧血起こすほどのデカチンは大変そうだし、いらないからいいけど!
イエス、負け犬の遠吠えですが何か!?
*****
季節が夏になる少し前のことだった。
国王が、そろそろ退位したい、と表明した。
辞めたいからといって、すぐに辞められないのって大変だ。
引継ぎとかあるからか? そんなに手続きがいっぱいあるなら、急死した場合とかどうするんだろうか。
国王候補は、この時点で3人にまで絞られていた。
俺、ベリエ伯アンリ・アントワーヌ・ガブリエル・ド・ジュスタンと。
ロロことトロー伯ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェ。
そして国王の甥であるヴェルソー侯爵アレクサンドル=ルイ=ウォルテールだ。
脱落した元候補や他の貴族は、それぞれの候補者の支持に回るそうだ。
支持者が多ければ多いほど有利だという。
ロロとも、本格的に対立することになるのかなあ、と思っていたら。
「俺は、国王候補から辞退しようと思ってる」
話がある、と言って。珍しくアポを取って。
正装で。いつものように庭からではなく、正門から入って来たロロが、応接間のソファーに腰掛け、優雅に紅茶を飲みながらそんなことを言いだした。
ロロはとっくに俺の背を追い越して。やんちゃな美少年から、怜悧とかいう言葉の似合う美青年に育っていた。
まだ17歳のくせして、生意気である。
こいつとの付き合いも、もう9年になるのか。
国王候補同士、正々堂々戦おう、などど言って切磋琢磨しあった仲だが。
嬉しげに筋肉を見せびらかしていた頃に比べると、かなり落ち着いて、大人っぽくなったというか。
すっかり大人になってしまった。
並んでいると、間違いなく俺のほうが年下に見られるほどだ。
やーい老け顔。
*****
「ロロも、国王になりたかったのではないのか?」
内心はポーカーフェイスで隠し、訊いてみる。
俺に勝てないと思って辞退する……ってわけでもないだろう。
代々貴族で、国王も多く輩出しているデュランベルジェ家は支持者も多いのだ。
「いや、俺は裏に回って色々工作するほうが性に合ってるようでな」
ロロは薄い唇の端を上げ、シニカルな笑みを浮かべた。
これまでも、他の候補者を秘密裏に蹴落とす工作などをして、暗躍していたらしい。
敵には回したくないタイプである。
思わせぶりにテーブルの上に組まれた手に顎を乗せて。
挑戦的な視線を向けられる。
「国王になりたいなら、俺があんたの王配になって支えてやるが。どうだ?」
ガシャン、と音がして。
見れば、アンドレが食器を取り落としていた。
完璧超人のアンドレが皿を割るなんて珍しいな。魔法で直してる。
マジで便利だよな、魔法。
「……ん?」
今、王配、と言ったか?
王配って。……ええと、確か、王の配偶者のことだったっけ。
配偶者っていうのは。
つまり。
ええっ!?
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