長身美形なイタリアマフィアになってた、美少女みたいに小さくて可愛かった幼馴染から売り専と間違われて監禁Hされた上に求婚されてしまいました。

篠崎笙

文字の大きさ
上 下
59 / 67

お色直し

しおりを挟む
『このおっぱいは、いったいどういった技術なのかしら……?』
僕の胸を間近で見て悩ましい顔をしている愛理さんの問いに、ジーナが仕組みを耳打ちしてる。


仲良いなあ。こっちも姉妹みたい。

でも、どっちが姉なんだろう。
そういえば、ジーナの年齢知らないや。

愛理さんは、崇と同い年だけど。女性に年齢を訊くのはちょっと はばかられるし……。


『なるほど、美人三姉妹か……。誰が長女になるんだ?』
崇は真顔で納得したように頷いて。

遠慮なく、愛理さんとジーナに年齢を訊いた。


女性の心理を一切 おもんばからないのはさすがだ。……っってちょっと待って。
三姉妹って何!?


*****


『私、私。26歳』
ジーナが正直に手を挙げる。

26歳かあ。
もっと若く見えるのに。やっぱり外国の人の年齢はわかんないや。

『えーと。私が今日で18歳になるから、8つ上?』
『え、あんた昨日まで17歳だったの!?』
驚いてる。

『あれ、言ってなかったっけ?』


ジーナは拳を固めて。
『あのStronzoろくでなし。観光客、しかも未成年を攫ったわけか。……ちょっと兄貴の鳩尾蹴ってくる』

あ、トーニオもまだいるんだ。
どこだろ?

っていうか剥がされた爪もまだ生え変わってないみたいだし、敵対組織から折られた方の肋骨は完治はしてないっていうし。
蹴るのはやめてあげて。


『それで崇と再会できたみたいなものだし、もう気にしてないよ。それに、制裁はもう充分受けたと思うよ?』 

あんた甘すぎだよ、ってジーナに頭を撫でられた。
愛理さんからも。

晃司義兄さんとミケーレがいいな、ってあからさまに羨ましそうな顔をしてこっちを見てる。

優しいお姉さんたちにも囲まれて、幸せ者だよね。
えへへ。


近くで話を聞いていたカメラ係が、この女性達はどういう人間関係なのかと困惑してるけど。
まあいいか。


写真は崇の検閲を通したものじゃないと掲載を許可しないというので、愛理さんとジーナも普通に撮られてて。
後で記念にデータ頂戴、と絡んでた。


*****


ミケーレにお色直しだよ、って呼ばれて。


え、今更? と思いながら着いて行ったら。
更衣室に用意されていたのは、可愛い系だけど、男物の服だった。
ってことは。

奏太・ヴァレンティーノとして紹介するってこと?


「……いいの?」
「サリーの希望だよ。むしろ披露宴は今からが本番だしね」
ミケーレがウインクをして。


ドレス一式はまだクリーニングしないで置いといて、と頼むと。
意味深な笑みを浮かべられた。

そうだよ。
もう一回着て、新婚といえばお約束のをやるんだよ。

お姫様抱っこで寝室へ! ってやつ。


「じゃあ装飾は外して、シンプルなドレスにしておくか。すぐ済むけど、先に会場行ってて」
あ、取り外し式になってるんだ。

そうだね、宝石ごと洗えないもんね……。


「ありがとう。余計な手間をかけさせちゃってごめんね」
「お祝いついでだし、いいってことよ」

今、司会は晃司義兄さんにバトンタッチしてるんだって。

仲良く話してると思ったら、そういう打ち合わせもしてたのか。
なるほど。


僕についてくれてる東郷さんが、会場のドアを開けてくれて。
薄暗い会場に入った途端。

スポットライトが当たった。


『花嫁のお色直しが終わったようです。女装コンディメントも可愛いかったけど、いつもの奏太が一番だよ! 可愛い俺の義理の弟!』
晃司義兄さんが投げキッスしてきた。

ああ、イタリアの空気に毒されてきている……。


まだ残っていた招待客が、女装発言にざわめいてる。

晃司義兄さんは、僕の素性を説明している。
崇の幼馴染みだとか。

イタリア語、上手だ。でも、ミケーレにそっくりで笑ってしまう。


あ、崇も着替えてたんだ。
お揃いっぽいデザインのスーツだ。ミケーレにはいっぱい感謝しないとね。

手を拡げて待ってる崇の腕に飛び込んで。

お帰り、って。
頬やこめかみに、キスされた。


*****


『それでは皆様、左手上方にご注目下さい。新しい門出を迎える二人の、思い出のアルバムです』
ホールが再び薄暗くなって。


会場の白い壁をスクリーンに、二人の赤ん坊からの姿がスライドで映されていった。

崇の写真は、飛び飛びで。
生まれた時と、3歳の祝い着を着た無表情の崇が映った。話には聞いていたけど、ここまで表情が違うんだ。


4歳からは、赤ん坊の僕を抱っこして、嬉しそうに笑ってる小さな崇の姿に変わる。
崇から聞いた話、そのまんまだ。

この写真は、百合おばさんからの提供かな?

『誰にも渡さないぞ、って顔して。この頃から生意気にも所有権バッチリ主張してますね』
アハハ、って笑ってるのはジーナたちだ。


幸せいっぱい、って顔をしてる崇と僕の姿。

そして。
崇が8歳になって。

『二人は悲しい別れをすることになりました。サルヴァトーレ氏は、実はダーリオ・ヴァレンティーノ氏の実子だと判明し、ダーリオ氏亡き後、ヴァレンティーノの跡継ぎとなるために連れて行かれてしまったのです。幼い二人は、大人になって再会し、この約束を覚えていたら結婚しよう、と約束をしたそうです』

少々事情は違うけど。
そういうことになってるのかな? ヴァレンティーノ企業のカメラマンもまだ残ってるし。


イタリアに来てから撮ったらしい、崇の写真が映った。
……あからさまに死んだ目をしている……。

幼い子が、こんな表情をするなんて。


『こちら、最愛の幼馴染みから引き裂かれた当時のサルヴァトーレ氏です。やさぐれてます。まるでナイフ、いやハリネズミのようだった、とは彼の従兄弟であるミケーレ氏の言葉です』
晃司義兄さんは、カンペを見ながら言ってる。

確かにそうだった、と笑ったのは、ヴァレンティーノ一家の人たちだった。
崇を連れて行った当人、マリオお義父さんも苦笑してる。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...