長身美形なイタリアマフィアになってた、美少女みたいに小さくて可愛かった幼馴染から売り専と間違われて監禁Ｈされた上に求婚されてしまいました。

篠崎笙

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誓いの儀式

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マリオおじ……、お義父さんの腕に掴まって。
会場へ向かう。

引き摺るように長いベールの裾は、ミケーレとジュリアが持ってる。

ベールを持ったり指輪を運んだりするのはリングガール、またはベールガールっていう役で。
男ならリング、もしくはベールボーイになる。

でも、イタリアだとそういった個別の名前はなくて。
まとめてDamigellaダミジェッラ、介添人になるそうだ。

本来、この役目は子供がやるんだけど。
ここに来るような肝の据わった子供はジュリアくらいだったそうだ。

強面こわもてのマフィアばっかりだもんな……。
普通の子なら、泣いちゃうよ。

さすが、マフィア・ヴァレンティーノの次代ボスを産むと言われてる子だ。

＊*＊*＊

扉が開いて。

祭壇の前に立っている崇が見える。
横顔でもわかる。まぶしいほどの美形だ。

通常から世界で一番綺麗な顔だと思うけど。今日はより、パワーアップして見えるよ。

扉が開いたことに気付いて振り返って。
僕を見て、ふっと微笑んだ崇に、会場内がざわついてる。

ほとんどが感嘆の声だ。
ああ、”氷の帝王”のあんな表情を見たの、初めてなんだろうね。

一瞬で心を奪われてしまうような微笑だ。

あ、日本支社の支社長が来てる。
こっちを見て、あれ？　って顔してるけど。

微笑んで、頭を下げてみせる。

僕……結婚相手が本当は男だって知ってる日本支社とハワイ支社と、イタリア全域の人たちは、みんなびっくりしてる。
口には出さないけど。

え、替え玉？　女の子だった？　みたいに戸惑ってるのがわかる。
ミケーレの腕も大したものだ。

まるで別人だもん。
胸もあるし。

マリオお義父さんから代わり、崇が僕の手を取って。

顔を寄せ、囁いてくる。
『似合ってるよ。私の花嫁。……素顔の方が魅力的だけどね？』

そんな最高に幸せそうな顔、他人に見せるんじゃありません！　って言いたくなる。

崇が僕のためだけにデザインしてくれたウエディングドレスは、スタイルを女性らしく、すごく綺麗に見せる。
どこから見ても、文句のない美少女に見えるのがすごい。

これなら崇の隣りに立っていても、違和感無いだろうから。
安心して、胸を張っていられる。

記録係の人にめちゃくちゃ写真撮られてるけど。
いっぱい撮ればいいよ。

どうせ僕だってわかんないしね！

＊*＊*＊

婚約指輪見せてくださいって言われて、芸能人の婚約会見みたいに指輪見せたりして。
えへへ。

むしろこれ全部、崇のデザインしたものなんだよ、すごいでしょ、って。
世界中にアピールしたいくらいだ。

名を伏せてデザインしてるとか、勿体無いけど。

あんまり多才過ぎて。凄すぎるから。
それで更に世界から注目されるのも避けたいような。複雑な気分だ。

もう充分有名だしね。

ソーニャ・ヴァレンティーノって誰だ？　って一瞬なったりしたけど。
自分の偽名だった。

うっかり崇に見惚れちゃってた。

二回目になる立会人のサインや、誓いの言葉、指輪の交換と誓いのキスを交わして。
ボディガードが眼光を光らせる中でのライスシャワー。

これで二回目の結婚式は終わりか。

後は儀式と披露宴だ。
頑張るぞ！

花嫁のブーケは、わくわく顔をして待っていたジュリアに渡した。

『素敵な花嫁になってね』
『ありがとう！』

ジュリアは大喜びだ。

『見て！　花嫁のブーケ、私が貰ったのよ！　素敵！』

嬉しそうに、ミケーレに見せびらかしている。
そのブーケ、ミケーレがさっきちゃちゃっと作ってたものだけど。

好きな人の作った作品なら、余計嬉しいかな？

＊*＊*＊

ジュリアとヴァレンティーノ企業関係の人たちは、披露宴に参加するため、車でヴァレンティーノのお屋敷へ直行する。

僕達含め、マフィアの方々は、教会の下にある誓いの洞窟へ向かう。
ボディガードは洞窟の前で待機だ。

洞窟の中は薄暗く、ひんやりしてて涼しい。
滑らないように気をつけないと。

ベールはつけてないけど、ドレスが長いので、崇が僕の手と裾を持ってくれてる。

ありがと、って見上げて。
崇は当たり前のことだよって微笑んで。

それを見たマフィアの人が仰天してたり。

松明の灯る、広い場所に、みんなが並んで。
崇がこ・の・者・を我等ヴァレンティーノの血族に加えることに異議はないか、と確認する。

ここで偽名で呼ばないのは、崇の作戦だ。

一人一人、認める、と応えていって。
全員の了承を得る。

その後、僕の隣りに立っているマリオおじさんが血の掟を読み上げて。
それを追従した。

崇が親指に針を刺して、僕も同じようにして。
その血を重ねる。これで。

『誓いを交わし、血族となった。……ようこそ、ヴァレンティーノ一家へ』
差し出された手を取る。

これから、逃げたりしたら、掟破りで死の制裁を受ける身となった。

結婚と、掟という鎖でも繋がれてしまったけど。
僕は幸せだよ。

繋いでいれば、崇が安心するなら。
本物の鎖で繋がれたってかまわないとすら思う。

『それじゃ、お屋敷に移動しますか！　マンマルチアの特別なご馳走、楽しみだなあ！』

『ミケーレ、お前が締めるな』
真顔で崇が突っ込んで、笑いが起こる。

これ、毎度よくある流れなのかな？

＊*＊*＊

ここから屋敷まで、車だと時間が掛かるので。
マフィア関係者は小型機でヴァレンティーノの飛行場まで行って、車で送迎だ。

少なくない人数だから、ピストン輸送になる。
パイロットも運転手さんも頑張って……。

こっちは予定してた時間より、少々早く到着できたみたい。

予想外のアクシデントも無く、順調にいったってことだよね。
良かった。

ミケーレにメイクを直してもらって。
ウエディングドレスのまま会場へ向かう。ベールはつけてないけど。

早く脱ぎたいんだけどな。
途中でお色直しがあるからそれまで頑張れって。お色直しの話それは聞いてなかったけど。
コルセットはまだ脱げないよね？

会場は、今まで足を運んだことのないエリアにあった。
これまた豪華な大広間ホールで。

お屋敷内にこんな、大人数を収容できるホールとかもあったんだ……。

そういえば、見取り図見せてもらった時に、これは居住可能エリアの地図だって言ってた気がする。
他にも部屋があるのかな？

各国からマフィアの幹部が集まってる訳だし。
下手にどこかの会場を借りるよりは、最初からセキュリティの整ったここの方が安全だもんね。

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