長身美形なイタリアマフィアになってた、美少女みたいに小さくて可愛かった幼馴染から売り専と間違われて監禁Ｈされた上に求婚されてしまいました。

逃走劇の終わり

『よ、カーロは見つかった？』

軽い口調で、声を掛けてくる男が現れた。
……ああ、ミケーレも来てたんだ。

幹部だから？　敵対組織との戦いには、幹部も参加するものなのかな。


ミケーレはこっちを見て。
『おお？　誰よその子？　めっちゃ可愛いんだけど。ちょっと化粧きつくない？　どこから攫ってきたの？　攫われてた子を保護したの？』

ひょい、と僕の顔を覗き込んできたけど。
僕だとはわからないようだ。

でも僕の時と態度、変わらないけど。
女の子扱いだったのかな？


『この程度の変装も見抜けないのか、お前は』
崇は平坦な声で言った。

『え、まさか。これが、あれ、あの子！？　Ma daiマジで！？　いや、だって、顔とか。どう見てもあの坊やとは別人でしょ！？　ほら。胸もあるしさあ！』
ミケーレは周りの人に聞いてる。


みんな、僕の名前は出さないように徹底してるのかな。
カポのカーロとか。
例の子供、とかの言い方をしてる。


＊*＊*＊


……やっぱり、別人レベルで変装できてたみたいなのに。

崇には、ひと目でわかっちゃったのか。
何でだろう。

無理してカラーコンタクトまでつけたっていうのに。
ああ、目が痛い。


『おいおい、泣いてるじゃないか。どうしたの？　どっか痛くされた？』

『目、痛い……』
『ああ、Contattoカラー a coloriコンタクトなのかこれ。……駄目だよ擦っちゃ。ほら、目、開けて？』

ミケーレがハンカチを出して、コンタクトを外してくれた。

……助かった。
外し方、わかんなかったんだ。


『グラッツェ ペル助けてくれて アイウートありがとう。ミケーレたち、どうしてこの場所がわかったの？』

『どういたしましてプレーゴ。……あ、本当だ。坊やじゃん。今の声でやっとわかったわ。すごい化けっぷりだね。前に声を聴いてなければしゃべってもわかんなかったかもー。可愛いよね、声。……っていうか、何で俺に聞くの？　いいけど。坊やのパスポートにＧＰＳチップ仕込んでたんだって。引くよねー？』
ミケーレは崇に睨まれつつも、正直に教えてくれた。

ＧＰＳチップか……。
それで助けられたとはいえ、複雑だ。


何で崇じゃなくてミケーレに訊いたかって？

いや、何かさ。
まだ、何というか、崇の顔をまともに見れないっていうか。

絶交だとか、顔も見たくないとか、大嫌いとか色々言っちゃった後で。


それなのに。
こんな風に、格好良く助けられちゃって。

ものすごく、気まずいんだよね。


どれどれ、と。ポーチからパスポートを出して見てみるけど。
一見、どこにチップとやらがついてるのかわからない。

ああ、パスポートケースの内側に貼り付けてあったの？
……そりゃわかんないよ。


パスポートに、ＧＰＳチップ……。

まあ、これは日本に帰るためには必須なアイテムだもんな。
紛失したら大使館で再発行手続きとか大変そうだし。

じゃあ、ジーナの店にいたことも、バレてたのか。


そうか。
……すべて、手のひらの上、ってやつだったんだ。


＊*＊*＊


ヴァレンティーノのお屋敷に着いたのは、夕方過ぎだった。

日帰りだよ……。
あまりに短い逃走劇だった。

けど、半日の間に色々ありすぎて。
未だに現実感が追いつかない。

シチリアに来てからというもの、とんでもない体験ばっかりしているような気がする……。


屋敷に戻って、出迎えてくれたみんなも僕を見て、誰？　って顔をした。
マンマも困惑顔だった。

『何とこのかわいこちゃん、坊やだよ～』
ミケーレが紹介するように言って。

「Sono a ただcasaいま……」
と僕が言うと。

どよめいていた。
カラコンは外してもらったけど。メイクとかはまだ、そのままだ。


みんな僕のふくらんでいる胸の谷間を覗き込んで、不思議そうな顔をしてる。

特殊メイク？　実は女の子だったの？　という疑問に、崇は黙って首を振って。
僕を抱き上げたまま、風呂場に直行した。


崇の膝に乗せられた状態で、メイク落としで丁寧に化粧を落とされて。
半日ぶりの素顔とご対面だ。

コットンで、一本一本丁寧にマニキュアも落とされる。
除光液とか、マンマのを借りたのかな。


＊*＊*＊


まだ気まずいので、崇とは視線を合わせられない。


髪のエクステも、器用に外されていく。
背中のジッパーを下げて。

コルセットの紐を解ほどかれる。
苦しかったので、楽になってほっとする。

肩紐のないブラジャーを外されると、半月状のパッドがいくつか床に落ちて。
即席バストが平らな胸に戻った。

崇は微妙な表情でパッドを拾って、コルセットと一緒に洗濯籠へ放り込んだ。


ミニスカートの中に手を入れられて。ガーターストッキングの留め金を外された。
片方ずつ丁寧に、丸めるようにしてストッキングを脱がされる。

女物の下着なのに、随分慣れた手つきで脱がしていくなあ、と。
少々不機嫌な気持ちになってきた。


『娼館の女主人は、下着にcarabina小銃を隠していたようだが』

「ひっ、」
下着ごと、性器を握りこまれた。

そんなとこに銃なんて、隠し持ってないよ！？

「やらしい下着」
と。崇は日本語で言った。


ジーナに着せられた下着は、いわゆるTバッグというやつだった。
前にしか布がないやつ。

初めて穿いたけど。
男物も存在するんだって聞いて、びっくりした。


女装用の、お尻にパッドが付いている下着もあるそうだけど。
無理に豊満に見せるより、あえてスレンダーな方が逆に女装だって疑われにくいし人目を誤魔化せるって言われて、こっちを出されたんだ。

確かに、崇以外の人の目は、普通に騙せてた。
僕を探していたはずの、対抗組織の連中だって気付かなかったし。


＊*＊*＊


「や、……ん、」
指が、紐をずらして、お尻の中に、指が入ってくる。


……また、抱くつもり？
ちゃんと、話し合いをしたいのに。

腕を掴んでやめさせようとしても、びくともしない。


『固い。ここは、使われなかったのか……』

使うって、
何に？


「ひ、……やぁ、」
熱いのを、あてがわれた。

え、そんな、いきなり？


『閉じるな。足を開け。……prostitutaなら、自分から乗って腰を振るくらい、できるだろう？』
平坦な声で。

プロスティトゥータって、何だっけ？