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亜樹:初めての朝

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「……挿れるぞ」

耳元で、そう囁かれて。
ぐい、とお尻の肉を掻き分けられて。

熱いものが入ってくる。

これは。
奈津の性器だ。


ああ。
実の兄弟なのに。

こんなこと、いけないのに。

幼かった奈津も、大人になって。
いい加減、こんな関係が普通・・じゃないことも、理解できているだろうに。


どうして。


◆◇◆


「……っ、」

ローションの滑りを借りてか、ずぶずぶと、奥へ侵入してくる。
まだ、入ってくるのだろうか。

おそろしく、長大に感じる。


実際、腹に当たるようにそそり立っていた奈津の性器は、赤黒く、大きかった。
陰茎は太く長く、血管が浮いていて。

亀頭は大きくエラが張り、自分とは違う形状をしていた。
いわゆるズル剥けというやつだ。

外国では、割礼が当たり前だというが。
奈津もまだ小さいときに手術されてしまったのだろうか? などというどうでもいいことを、気が遠くなりかけた頭で考えていた。

……僕のは、さっき風呂で剥かれてしまった。
まだ、ひりひりする。


「すっげ、さすが処女。……きっつ……、」
押し殺したような、色気のある声。

僕は女じゃないのに。
どうしてそんなことを言うんだろう。

さっきも、僕のお尻を女みたいにやわらかい、と言っていた。


経験は、あるのだろう。おそらく、男女共に。
慣れた手つきだった。

奈津なら、より取り見取りだろうし。


なのに、何故。
僕なんかを抱こうとするんだろう。

奈津のように美しくもなく、みっともない僕なんかを。


◆◇◆


ぬっちゅ、ぬっちゅ、と音をさせながら、奈津の大きいものがが出入りしている。


「っ、く、……ん、ぅあ、ふ、」
抱えあげられた足を、ゆさゆさと揺さぶられて。

ピストン運動のせいで、内臓を圧されて。
苦しさのあまり、声が出てしまう。


指が届かない場所は、慣らされてないので、奈津の大きいもので無理矢理に拡げられるのは苦痛だった。
奈津は、すごく気持ちよさそうだった。

僕は痛くて、苦しいだけで。
少しも気持ち良くなんてなかった。

そう。
こんなの、気持ち良くなんかない。

早く、終わって欲しい。


こんな身体、抱いても面白くないだろう。
奈津も、つまらないものを抱いたと思って。飽きればいい。

それだけを願って。
今は、耐えるしかないのか。


◆◇◆


「……っく、」

奈津は、ぶるぶると震えている。
僕の中に射精したようだ。


ああ、やっと終わったんだ。
そう思ったけど。

「あー、すっげ、亜樹んナカ、悦すぎ。一回じゃ足りねえわ。……サイコーだ、あんた」
入ったまま、腰を軽く揺すられて。

中の奈津が、再び硬くなっていくのがわかった。


まさか、もう?
いくら何でも回復が早過ぎる。

若いから?

「ジェル継ぎ足さなくても、でいいだろ?」
いっぱい出たからな、と囁かれて。

「や、……待っ、」

入れたまま、後ろ向きにされて。
四つん這いの状態で、腰を高く持ち上げられる。


「あぅ、」
後ろから、ズン、と腰を突き上げられた。

快楽が、そこから脳髄まで駆け抜けていくようで。

こんなの、知らない。

こんな。
脳が溶けてしまいそうなほどの快楽なんて。


「ひぁっ、」
奈津の大きいのを引き抜かれるとき。

前立腺だろうか? あの、触れられるとぞくぞくしてしまう場所。

そこを、奈津のエラが張ったところでごりごりと擦られると。
奈津のを、ぎゅっと、引き止めるように締め付けてしまうるのが自分でもわかって。

そんな自分の身体の反応に混乱した。


「……へえ。あんた、バックのがんだ? すげえ締まる。亜樹の性感帯、発見、……と、」

パン、と音がするくらい、腰を叩きつけられて。
また、全部抜ける寸前まで引き抜かれ。

一気に奥まで、突き上げられる。

それが。
たまらなく気持ちよかった。


嘘だ。
こんなの、嘘。

奈津に。
実の弟に抱かれて、犯されてるのに。

気持ち良くなってるなんて。
嘘に決まってる。


「……なあ、ココ? これがいいの?」

「ん、違、……ここ、」
自分でも、いいところに当たるよう、腰を振ってしまったのは覚えている。


「ここか? ほら、イけよ。何度でも、シてやるからさ。亜樹が望むなら……何回だって、」
「あっ、……っ、い、いい、奈津……っ、そこ……っ、」

あられもない声を上げて、奈津の性器を締め付けたのも。


「亜樹……、もう、俺のものだ」
そう言われて。

うなじに噛み付かれながら、何度も犯されたことも。


◆◇◆


どうやら、気を失うように、眠りについたようだ。

目を覚ますと。
外は明るくなっていた。カーテンは開かれている。


ベッドサイドに置かれていた眼鏡をかける。奈津が風呂場から持って来てくれたのだろう。

時計は、朝の7時を指していた。
普段はまだ、寝ている時間だけど。目が冴えてしまった。


まだ、信じられないが。

……実の弟に。
奈津に犯されてしまった。


あちこち痛む身体が、夢ではないことを教えている。

身体がべとついていない。奈津が綺麗にしてくれたようだ。
ナカも、寝ている内に洗われてしまったらしい。


僕は、どうすれば良かったのだろう。

こんな、赦されない関係、間違っている。
それだけはわかる。

必死で抵抗して。
死んでも、奈津を拒絶するべきだったのか?


「…………?」
気付けば、左の薬指に、指輪がはめられていた。

これは、結婚指輪……?


◆◇◆


「おお、おはよ。目ェ覚めたか」

奈津はトレイに朝食を載せて持ってきたようだ。
美味しそうな、バターの匂い。


「これは……?」
左手の指輪を指し示すと。

「サイズ、変わってなくてよかった。直しに出さなくて済んだな。……ホラ」

奈津は自分の左手を見せた。
芸能人の結婚会見をする時に見る、あれみたいに。

僕のしているのと、お揃いの指輪だった。


奈津は男らしく整った美貌を破顔させた。
「あんたは俺が幸せにするからな。愛してるぜ、亜樹。俺のバンビーノ」


バンビーノ、とは。
それは、笑うべきところなのだろうか。
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