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幸福な朝

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「んんっ、いきなり、入れんなぁ、」
胸板を叩いて抗議される。

「ローションは使ったよ? それに、まだ柔らかいし。……痛かった?」

永遠とわは首を横に振った。
そこで素直に痛くない、と認めてしまうから。私のような悪い男がつけあがるんだ。


足を抱え上げ、本格的に腰を使い出す。

ギシギシと、ベッドが軋む音が聞こえる。
シングルだからな。

壊れなければいいが。
キングサイズのを買うべきか。しかし、この部屋には入らないし合わないな。

それとも、永遠をうちのマンションに連れ去るべきか。
幸い、部屋数に余裕はある。


ここの暮らしも快適だったが。
ご両親が、いつ帰るかわからないし。

残念ながら、一週間という期間で出て行く約束だ。

新たに新居を買ってもいい。
犬を飼おうか、いや猫か。


ああ、夢が広がるな……。


*****


「ひゃ、あ、ああっ、」

可愛い鳴き声。
もっと聴きたい。

「ひっ!?」
身体が浮くほど強く突き上げると。

薄くなった精液がぴゅっ、と出た。

初めてなのに、こんなに感じてくれて嬉しい。
後ろで感じるようになるまでは時間が掛かると聞いたが。

よほど身体の相性が良いのか。


「祈、いのりぃ、」
甘えるようにしがみついてくるのも可愛い。

もっと手加減しろ、と仰せだが。
プロポーズに、「はい」と答えてくれるまではやめない、と言っただろう?


本当は寂しがり屋で甘えん坊で。
人肌が好きな永遠に。

ちゃんと私の体温を覚えてもらわないと。
二度と手放せないように。


「ん、……も、わかった。わかったから、」

うつ伏せにさせて、バックから責め立ててやると。
永遠はすぐに降参した。

「何がわかったって?」
わざと耳元で訊いてみる。

「ひゃっ、耳ヤダって、」
感じて、きゅうきゅう締め付けられる。


「……いのりの、ものに、なるから。結婚、するからぁ、」
もう意地悪しないで、と言われて。


ご要望通り。
正面から抱え直した。


*****


チューして、とねだられて。
キスをする。

永遠はキスをされるのが好きなようだ。
私も永遠とのキスは大好きだ。


永遠は今まで、性的な経験は全く無いようで。
キスも何もかも、受け入れるだけで精一杯、という感じがまたたまらなく可愛い。

溺れてしまいそうだ。


「はぁ、永遠。可愛い。どうされたいか言って? 叶えよう」

永遠は、潤んだ目で見上げてきて。
「ここ、ぐにぐにしながら、いっぱい突いてぇ、」

すっかり性感帯になったらしい、ぶっくり勃った乳首を指で示した。
あまりに煽情的な光景に、眩暈がする。

こんなエロ可愛い男子大学生がこの世に存在していいのか。ここにいた。

奇跡の存在である。尊い。
絶対幸せにしよう、と改めて心に誓う。


「御意、君のお気に召すままに」

腰を掴んで。
親指の腹で乳首を捏ねながら、永遠の身体が浮き上がるほど、何度も突き上げる。

永遠は、それに感じて。

射精することなく、イったようだ。
初めてで、ドライでイけるとは。そこまで感じてくれて、嬉しい限りだ。


ふと永遠を見下ろすと。
さすがに疲れ果てたのか。すやすやと眠ってしまっている。

またシーツを取り換えるのも面倒だな、と。
シーツにくるんだまま永遠を抱き上げて、階下に降り。

シーツを洗濯機に放り込み。シャワーを浴びる。
濡れた身体を拭い、永遠の兄の部屋に運んで一緒に寝る。

こちらのベッドはサイズが大きいので、二人寝ていてもそんなに狭くはない。
キングサイズのベッドを買い替えなくて良さそうだ。


「おやすみ、永遠」
私の最愛。運命の人。

可愛い永遠の額にキスを落とし、目を閉じた。


*****


朝になって、朝食の用意をする。
寝る前にかなり運動をしたので、ややカロリー高めのメニューにしておこう。

支度が済み、永遠を起こしに行ったら、まだ眠っていた。
相当、体力を消耗させてしまったようだ。

あまりにすやすやと眠っているので、起こすのが可哀想になってくる。
もう少しだけ、寝かせておいてやろう。


クロークから、テーラーより届いた服一式を取り出して、着替えさせてやる。
手首には、腕時計。

何だかんだ言いながら、気に入っているようだ。


さすがに今日は会社に顔を出さないとまずいので。今日は大学を休まねばならない。
私はスーツに着替えた。


「永遠、」
そっと揺すり、起こしてやる。

「んー、」
まだ眠そうにむずがる永遠の頬にキスをして。

「おはよう、永遠。朝だよ。朝食もできてる」
耳元で囁いたら、目を覚ました。

寝起きの顔も可愛い。


「ん、おはよ……、」
胸に、頬ずりするように懐かれて。

あまりの可愛さに、着せたばかりの服をまた脱がしてしまいたくなるが、我慢する。
愛は耐えることである。


*****


食事を済ませ。
迎えの車が来る時間になったので、玄関を出たら。

何故か助手席には板垣が乗っていた。


「おはようございます、社長」
「ああ、おはよう」

何でいるのかと思えば。
後部座席に、見慣れた弁当の包みがあった。

どうやら永遠の分の昼食を、早めに作ってもらっていたようだ。
後で指示しようと思っていたのに。相変わらず、よくできた秘書である。

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