眼鏡オタクが脱オタ目指してアイドルキャラを演じていたら忠実な下僕が出来ました?

篠崎笙

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責任を取るために

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「全く。見つからないはずだ。あの時君は眼鏡を壊してしまい、素顔だったが。それ以降ずっとその愛らしい顔を隠して生活していたんだからな」
やれやれ、と大袈裟に肩を竦めてみせる。

だが、そのお陰で今のような純粋な心でいられたのかもしれない。
顔を出していたら、さぞ誘惑が多かったことだろう。

今はファンクラブが目を光らせているので、無事だが。


「そして去年、偶然、大学祭の時の写真を目にした俺は、思い出の相手を見つけ、帰国を決意したわけだ」

「見たの!? あの、調子こいてやらかした、アイドルごっこの黒歴史写真を!?」
頼むから忘れて、と言われても。


流出した映像や画像は、コピーした上に、厳重にプロテクトを施した記録媒体に保存してある。
その後、ネットに上がっていた写真などは、肖像権の侵害だと申し立てて消させたが。


*****


私は、永遠と出逢ったことで救われた。

できれば私自身の手で永遠を幸せにしたいと思った。
それだけの力を手に入れた。

だから。あれほど煩わしいと思っていた日本へ戻って来た。

変装し、大学を受け直すまでしたのは。
望むものは何なのか。永遠のことを、もっとよく知りたかったからだ。


十年も前の記憶だ。
記憶が美化されていることも考えた。

それに、人は変わるものだ。
環境や、人間関係でも。


「何とか君の人となりを知りたくて、仲良くなりたいと考えたんだが。きっかけが思いつかなくてね」

いきなり話しかけても、この風体では、怪しまれるだろう。
かといって顔出しをして、下手に注目を集めるのも困る。

宮島が合コンに誘っているのを見て。
これだ、と思った。

「合コンに参加したあの晩、改めて恋に落ちた。アプローチしまくって、絶対に手に入れようと決心し、どうにかスケジュール調整をして一週間の休暇をもぎ取り、期間中に君を落とそうと思ったんだが……。洒落たホテルのディナーに招待しても欲しがっていた物を贈っても、喜ぶどころか困らせただけに終わったのは、完全に予想外だった。今までこの作戦で失敗したことがなかったので困ったよ」


女の子じゃあるまいし、豪華なディナーを奢られたり高価なプレゼントをされても素直に喜べない、とのことだが。
あちらでは女性でなくとも、喜んでくれたんだが。

日本男児は、考え方が違うのか。


*****


「だが、一緒に食事をしてるだけで嬉しそうな顔をしてくれた。遊んで軽そうに見えるのは全部演技で、俺の裸を見たくらいで真っ赤になるほど純真で。家事全般得意な上料理上手だし、毎回きちんと挨拶やお礼を言われるのも初めてだった。惚れさせるどころか、ますます好きになってしまった」

永遠は頬を染めた。
告白など、され慣れているだろうに。

こんな初心うぶなところも、たまらなく可愛い。


「触れたくて仕方なかった。マッサージという名目で君の肌に触れながら。何度、脳内で君を犯したことか」

「そんなこと考えてたんだ。エッチ」
唇を尖らせた。

「男というものは全てエッチな生き物だ」

抱きたいと思っているのは、今もだ。
だから、その尖らせた唇を奪いたいと思うのは、当然のことである。


「今日で触れるのも最後になるかもしれない、と思ったら。どこまでなら許されるか、ギリギリまで試してみようと思った」

嫌悪されれば、その時点で諦めようと思っていた。
友人としてではなく、生涯のパートナーとして永遠が欲しかったから。

そうしたら、何故か抵抗されないままで。
気持ち良さそうな反応をしてくれたので、最後までしてしまった。

そう言うと。
恥ずかしがって顔を隠そうとした。

可愛い永遠を、引き寄せる。

「あの日、君に出逢わなかったら俺は親の金だけで放蕩しまくる、ろくでなしになっていたに違いない。君は俺の運命の女神だ」

柔らかな頬を撫で。
唇を寄せる。

永遠はそれにも抗わない。

「今すぐにでも籍を入れたいところだが。二十歳の誕生日……いや、卒業まで待とうか。できれば早々に君が俺のものになったことを全世界に知らしめたいが。マスコミなどから追いかけられ、在学中はいたたまれない思いをするだろう。……学生結婚は諦めよう」
苦渋の決断だ。


*****


「何か結婚するのが確定みたいになってるけど。い、一回くらいで結婚なんかしないし。責任とか、取らなくても……」
ぷい、とそっぽ向いて。


駆け引きのつもりだろうか。
素っ気ない態度を取ろうとしているようだ。

そんな貞操観念の緩い遊び人みたいな言い方をして。
初めてだったくせに。

もしかしたら、一度、言ってみたかったセリフなのかもしれない。
噛んでるのが可愛い。


「なら、俺でしかイけない身体にしようか。大丈夫。その責任は必ず取る」
素直じゃない永遠の腰を抱き寄せ。

「ちょ、え? ……あっ、」
まだやわらかいそこを、昂ったペニスで貫いてやる。

私に抱かれて、そんな気持ち良さそうな顔をしておいて。
素直じゃない。


これからの人生のことだ。すぐに決断は出来ないだろうとはわかっている。
素直に頷けない性格だということも。

そこがまた、可愛いのだが。


「OKを貰うまではやめないからな。俺の溢れんばかりの愛を、全身で受け止めて欲しい」

素直になるまで。
たっぷりと、愉しませてもらおう。


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