上 下
22 / 45
永遠

人生を変えた出来事

しおりを挟む
東条はやれやれ、という風に肩を竦めた。

「全く。見つからないはずだ。あの時君は眼鏡を壊してしまい、素顔だったが。それ以降ずっとその愛らしい顔を隠して生活していたんだからな」

責められる筋合いはない。
別に隠れようと思って素顔を出してなかった訳じゃないし。

ただ単に、身だしなみに気を配らなかっただけだし。


「そして去年、偶然、大学祭の時の写真を目にした俺は、思い出の相手を見つけ、帰国を決意したわけだ」


*****


見たの!?
あの、調子こいてやらかした、アイドルごっこの黒歴史写真を!?

で僕だって確信したのか。
それも凄いけど。

できれば、忘れて欲しい。


東条は。ずっと探していた”TOWA”を見つけて。名前と顔を隠して同じ大学に入るまでして。
講義も追っかけて、一緒に受けたりして。

でも、どうやって声を掛けようか、ずっと悩んでいたらしい。

悩んだ末に、やっと思いついた方法がアレだったのか。
観察させてほしい、って?


東条としても。
美化された思い出なのかもしれない、という可能性を考えて。自分の正体は隠して近づこうとしたんだ。
速攻素顔見られちゃったけど。

自分の素顔を見ても、公園でのことを思い出してもらえなかったのは、やっぱりちょっと、ショックだったようだ。


「合コンに参加したあの晩、改めて恋に落ちた。アプローチしまくって、絶対に手に入れようと決心し、どうにかスケジュール調整をして一週間の休暇をもぎ取り、期間中に君を落とそうと思ったんだが……」

高級ホテルのディナーに招待しても、高価な贈り物をしても。
喜ぶどころか困らせただけに終わったのは、完全に予想外だったようだ。

今までこの作戦で喜ばれなかったことは無かったので、東条もどうアプローチしていいのかわからなくなったそうだ。
それは周囲の人間に問題があると思うよ……。


「だが、一緒に食事をしてるだけで嬉しそうな顔をしてくれた。遊んで軽そうに見えるのは全部演技で。俺の裸を見たくらいで真っ赤になるほど純真で。家事全般得意な上料理上手だし、毎回きちんと挨拶やお礼を言われるのも初めてだった。惚れさせるどころか、ますます好きになってしまった」

真顔で。
そんな恥ずかしいことを言うの、やめて欲しい。


*****


「触れたくて仕方なかった。マッサージという名目で君の肌に触れながら。何度、脳内で君を犯したことか」
意味深な視線を送られる。

マッサージする時、やたらエロい声で「気持ち良い?」って聞いてたの。
僕に「気持ち良い」って言わせたかったのか。

「そんなこと考えてたんだ。エッチ」

「男というものは全てエッチな生き物だ」
堂々と言い切った。

僕も男なんだけど。まあいいか。


「今日で触れるのも最後になるかもしれない、と思ったら。どこまでなら許されるか、ギリギリまで試してみようと思った」
それで、際どい場所まで触って。
僕が特に抵抗もせず、反応したから。つい、暴走しちゃったのか。


だって、気持ち良かったんだもん。
あの快楽に逆らえる男がいたら、見てみたいくらいだ。


「あの日、君に出逢わなかったら。俺は親の金だけで放蕩しまくるろくでなしになっていたに違いない。君は俺の運命の女神だ」

頬を撫でられて。
触れる寸前まで、唇を寄せられる。

「今すぐにでも籍を入れたいところだが。二十歳の誕生日……いや、卒業まで待とうか」
「え、」


「できれば早々に、君が俺のものになったことを全世界に知らしめたいが。マスコミなどから追いかけられ、在学中はいたたまれない思いをするだろう。……学生結婚は諦めよう」
苦渋の決断みたいに言ってるけど。

全世界に知らしめるのはやめて欲しい。


*****


「何か結婚するのが確定みたいになってるけど。い、一回くらいで結婚なんかしないし。責任とか、取らなくても……」

男だし。
貞操を奪われたとも思わない。


東条は、ニヤリと笑った。
「なら、俺でしかイけない身体にしようか。大丈夫。その責任は必ず取る」

「ちょ、え? ……あっ、」

抱き寄せられて。
あっという間に、挿入されてた。


「OKを貰うまではやめないからな。俺の溢れんばかりの愛を、全身で受け止めて欲しい」

「ひゃ、あ、ああっ、」
激しく揺さぶられて。


気持ち良すぎても、それは拷問みたいなものだと知った。
知りたくなかった、そんなこと。


*****


根負けして、結婚を承諾してからも。
まだまだ足らない、とか言われて抱かれてしまった。

OKを貰うまではやめないって、普通は、貰ったらやめるって意味じゃないの?

何でそんなに元気が有り余っているのか知りたい。いや、知りたくない。
絶対、ろくでもない理由に違いない。


「はぁ、永遠。可愛い。どうされたいか言って? 叶えよう」

もう恥ずかしいとか言ってられない。
すっかり性感帯にされてしまった胸の先を示して、ねだる。

「ここ、ぐにぐにしながら、いっぱい突いてぇ、」


「御意、君のお気に召すままに」
僕のおねだりを、東条はとても嬉しそうに聞いて。

その通りにしてくれた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

処理中です...