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永遠
ストーカーと何故か一緒に朝ご飯
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付きまとわれるのが嫌な相手だったり、あまりに不愉快だったら、断ってただろう。
これまでの行動は充分警察案件だ。
なんだかんだ言って、曽根にエスコートとかされるのを、心地好く思ってるんだ。
だからこうやって、触れられるのも許してる。
……それにしても。
屈みこんでマッサージをされてると。ちらちらと、立派な胸板が見えるんだけど。
そういえば、バスローブの下って、ボクサーパンツ一枚なんだよな。
その下は、ご立派なアレが……。
「……あれ、痛かった?」
「いや、大丈夫」
筋肉の緊張が伝わってしまったようだ。
何をいまさら、意識しちゃってるんだか。
万が一、曽根がエロい目的で近づいてたなら。もうとっくにヤられてるだろう。
腕なんか、僕の太ももくらいあるんだ。
抑え込まれたら勝ち目はない。
……自意識過剰だっての。
*****
気が付いたら、朝だった。
精神的、肉体的にかなり疲れていたせいか。それとも曽根のマッサージが気持ち良すぎたせいか。
いつの間にか、寝てしまっていたようだ。
身体が軽いのは、マッサージのお陰かもしれない。
すごいな。
昨日の失敗を忘れず。
見られても大丈夫なように、ちゃんと服を着てから部屋を出た。
一階に降りて、キッチンへ向かう。
曽根はまだ、起きてないのかな?
朝ご飯、曽根の分も作っておいた方がいいかな。お坊ちゃまの口には合わないかもしれないと思うけど。自分の分だけ作るのも、感じ悪いし。
炊飯器のスイッチを入れて。
まずは味噌汁を作る。面倒くさいからパックのだしの素を使う。豆腐とわかめの味噌汁でいいか。ジャガイモやなめこも好きだけど。ここはスタンダードに行こう。
お、赤魚の干物発見。出張土産かな?
母さんがたまに食材を買い置きしてくれるので助かる。昨日は買い物に行く時間無かったもんな。
……今のところ、賞味期限やばいのは無いな。
干物をグリルに突っ込んで。
冷凍のミックスベジタブルを入れただし巻き卵を作る。
キャベツをちぎって。笹掛にしたキュウリとプチトマトを適当に皿に盛って塩だれをかける。
よし、こんなもんでいいか。
足りなきゃふりかけか納豆でも出せばいいだろ。
やっぱり和食より洋食の方が手間がかからないし楽だなあ。凝ったやつじゃなきゃ、だけど。ほとんど焼けば終わりだし。
今日、帰りに食パンとか買いに行きたいんだけど……。
なんか安売りスーパーに寄ってもらうの、運転手さんに悪い気がするんだよな。
運転手つき高級車を安売りスーパーの駐車場に待機させるのって、なんか申し訳ない。
*****
「本当に家事が出来るんだな。驚いた」
「ひぎゃあ!?」
突然背後から声が聞こえて、思わず飛び上がってしまった。
振り向いたら、曽根がキッチンの入り口に寄っかかってこっちを見ていた。
バスロープ姿じゃなく、ちゃんとした服に着替えてる。一見ダサく見えるような、高級品。
それにしても。いつから見てたんだ?
気配を消さないで欲しい。忍者とかじゃないんだからさ。
「お、おはよ。一応曽根の分も作ったけど、食う?」
「おはよう。君の愛情がたっぷり詰まった料理だ。ありがたくいただく」
と寝ぼけたような挨拶をした後。
「名字ではなく祈、と呼んで欲しいと言ったはずだが。起きたら記憶がリセットされるのかな?」
やれやれ、って感じで言われた。
そんな聞き分けのない子を見るような顔をされる筋合いはない。
「悪いけど、実は、そんなに親しくない相手を下の名前で呼ぶようなフレンドリーな性格じゃないんだ」
「ああ、何てことだ。つれないな。昨夜はあんなにPhysical contactした仲だというのに」
曽根は外国人のように、大袈裟に天を仰いだ。凄く良い発音だった。
スキンシップは和製英語で、英語圏だとフィジカルコンタクトって言うんだっけ。
時々言動がアレだし。
日本語がネイティブじゃないのかな?
「いいからとっとと食べよう。ご飯が冷める」
「運ぶのを手伝おう」
運びながら、まるで新婚家庭のようだ、とか言ってる。
追い出してもいいかな……?
*****
「いただきます」
曽根は、僕が手を合わせたのを見て。
それに倣って、手を合わせた。
そういえば、レストランでは乾杯がいただきますの挨拶みたいなもんだったな。
食前のお祈りとかしないんだ。
そこまでは外国人っぽくなかったか。
「誰かと朝ご飯食べるの、かなり久しぶりかも……」
まだ兄や姉が家に住んでた頃も、朝はみんな慌ただしいし。
朝、一緒に食べてたのって、子供の時くらいだった。夜はわりとそろってたけど。中学生くらいまでは母さんか、手が空いた誰かが出勤前に朝ご飯作っておいてくれてた。
高校生になって自分で弁当とか作るようになってからは、家族の手料理なんてめったに食べられなくなったっけ。
昨日は、久々の好物だったのになあ。
自分で作るのと、なんか微妙に味が違うんだよな。何でだろう?
「明日の朝は僕が作ろうか。洋食になるが」
「え、料理できるの!?」
どう見ても、お坊ちゃまみたいなのに。
上げ膳据え膳で暮らしてそうなのに。
これだけ色々恵まれてて、料理のスキルまであるとか。
何なんだよもう。
腹立つ。
曽根は得意げに頷いた。
「朝食なら得意だ」
ああ、朝限定なんだ……。
まあ、朝っぱらから凝った料理は作らないだろうしな……。パン焼いて終わり、でも良いわけだし。
それでも、何か楽しみに思えてしまうのは。
家で一人でする食事が、思ったより寂しかったせいなのかも。
大学では毎日大勢に囲まれて。食事を奢ってもらったり、みんなとご飯を一緒に食べていても。演技して、違う自分でいるせいで気が休まらない。
自業自得といえばそれまでだけど。
「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
「任せなさい」
曽根は胸板を叩いてみせた。
これまでの行動は充分警察案件だ。
なんだかんだ言って、曽根にエスコートとかされるのを、心地好く思ってるんだ。
だからこうやって、触れられるのも許してる。
……それにしても。
屈みこんでマッサージをされてると。ちらちらと、立派な胸板が見えるんだけど。
そういえば、バスローブの下って、ボクサーパンツ一枚なんだよな。
その下は、ご立派なアレが……。
「……あれ、痛かった?」
「いや、大丈夫」
筋肉の緊張が伝わってしまったようだ。
何をいまさら、意識しちゃってるんだか。
万が一、曽根がエロい目的で近づいてたなら。もうとっくにヤられてるだろう。
腕なんか、僕の太ももくらいあるんだ。
抑え込まれたら勝ち目はない。
……自意識過剰だっての。
*****
気が付いたら、朝だった。
精神的、肉体的にかなり疲れていたせいか。それとも曽根のマッサージが気持ち良すぎたせいか。
いつの間にか、寝てしまっていたようだ。
身体が軽いのは、マッサージのお陰かもしれない。
すごいな。
昨日の失敗を忘れず。
見られても大丈夫なように、ちゃんと服を着てから部屋を出た。
一階に降りて、キッチンへ向かう。
曽根はまだ、起きてないのかな?
朝ご飯、曽根の分も作っておいた方がいいかな。お坊ちゃまの口には合わないかもしれないと思うけど。自分の分だけ作るのも、感じ悪いし。
炊飯器のスイッチを入れて。
まずは味噌汁を作る。面倒くさいからパックのだしの素を使う。豆腐とわかめの味噌汁でいいか。ジャガイモやなめこも好きだけど。ここはスタンダードに行こう。
お、赤魚の干物発見。出張土産かな?
母さんがたまに食材を買い置きしてくれるので助かる。昨日は買い物に行く時間無かったもんな。
……今のところ、賞味期限やばいのは無いな。
干物をグリルに突っ込んで。
冷凍のミックスベジタブルを入れただし巻き卵を作る。
キャベツをちぎって。笹掛にしたキュウリとプチトマトを適当に皿に盛って塩だれをかける。
よし、こんなもんでいいか。
足りなきゃふりかけか納豆でも出せばいいだろ。
やっぱり和食より洋食の方が手間がかからないし楽だなあ。凝ったやつじゃなきゃ、だけど。ほとんど焼けば終わりだし。
今日、帰りに食パンとか買いに行きたいんだけど……。
なんか安売りスーパーに寄ってもらうの、運転手さんに悪い気がするんだよな。
運転手つき高級車を安売りスーパーの駐車場に待機させるのって、なんか申し訳ない。
*****
「本当に家事が出来るんだな。驚いた」
「ひぎゃあ!?」
突然背後から声が聞こえて、思わず飛び上がってしまった。
振り向いたら、曽根がキッチンの入り口に寄っかかってこっちを見ていた。
バスロープ姿じゃなく、ちゃんとした服に着替えてる。一見ダサく見えるような、高級品。
それにしても。いつから見てたんだ?
気配を消さないで欲しい。忍者とかじゃないんだからさ。
「お、おはよ。一応曽根の分も作ったけど、食う?」
「おはよう。君の愛情がたっぷり詰まった料理だ。ありがたくいただく」
と寝ぼけたような挨拶をした後。
「名字ではなく祈、と呼んで欲しいと言ったはずだが。起きたら記憶がリセットされるのかな?」
やれやれ、って感じで言われた。
そんな聞き分けのない子を見るような顔をされる筋合いはない。
「悪いけど、実は、そんなに親しくない相手を下の名前で呼ぶようなフレンドリーな性格じゃないんだ」
「ああ、何てことだ。つれないな。昨夜はあんなにPhysical contactした仲だというのに」
曽根は外国人のように、大袈裟に天を仰いだ。凄く良い発音だった。
スキンシップは和製英語で、英語圏だとフィジカルコンタクトって言うんだっけ。
時々言動がアレだし。
日本語がネイティブじゃないのかな?
「いいからとっとと食べよう。ご飯が冷める」
「運ぶのを手伝おう」
運びながら、まるで新婚家庭のようだ、とか言ってる。
追い出してもいいかな……?
*****
「いただきます」
曽根は、僕が手を合わせたのを見て。
それに倣って、手を合わせた。
そういえば、レストランでは乾杯がいただきますの挨拶みたいなもんだったな。
食前のお祈りとかしないんだ。
そこまでは外国人っぽくなかったか。
「誰かと朝ご飯食べるの、かなり久しぶりかも……」
まだ兄や姉が家に住んでた頃も、朝はみんな慌ただしいし。
朝、一緒に食べてたのって、子供の時くらいだった。夜はわりとそろってたけど。中学生くらいまでは母さんか、手が空いた誰かが出勤前に朝ご飯作っておいてくれてた。
高校生になって自分で弁当とか作るようになってからは、家族の手料理なんてめったに食べられなくなったっけ。
昨日は、久々の好物だったのになあ。
自分で作るのと、なんか微妙に味が違うんだよな。何でだろう?
「明日の朝は僕が作ろうか。洋食になるが」
「え、料理できるの!?」
どう見ても、お坊ちゃまみたいなのに。
上げ膳据え膳で暮らしてそうなのに。
これだけ色々恵まれてて、料理のスキルまであるとか。
何なんだよもう。
腹立つ。
曽根は得意げに頷いた。
「朝食なら得意だ」
ああ、朝限定なんだ……。
まあ、朝っぱらから凝った料理は作らないだろうしな……。パン焼いて終わり、でも良いわけだし。
それでも、何か楽しみに思えてしまうのは。
家で一人でする食事が、思ったより寂しかったせいなのかも。
大学では毎日大勢に囲まれて。食事を奢ってもらったり、みんなとご飯を一緒に食べていても。演技して、違う自分でいるせいで気が休まらない。
自業自得といえばそれまでだけど。
「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
「任せなさい」
曽根は胸板を叩いてみせた。
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