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北の国の王
北の国、交渉完了
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城の外に出しておけば、何でもすぐに凍りつくそうだから、氷を作るのも簡単だ。
氷を彫刻したりして、暑い国では涼しげなオブジェにもなるんだよ、と言ったら驚かれた。
雪像を作って競う大会もあるとか。
「素晴らしい発想です」
「さすがは神使様……!」
べた褒めだけど。
考えたの、俺じゃないんだけどね。
俺はニュースとかで見ただけ。
「おや、なにやら楽しそうにしている思ったら。……それ、美味しそうだね?」
リュシエルが調理室に顔を出して。
カキ氷に目を留めた。
「カキ氷っていいます。夏の定番ですけど。冬に暖かい室内で食べるのもいいですよ」
ってこの世界、四季があるのか知らないけど。
「それ、どんな味?」
と、顔を寄せてきたので。
「はい、」
一口すくって食べさせた。
「ん、悪くないね。これからこの……”カキ氷”を晩餐のデザートに採用するとしようか」
にっこり笑顔で頭を撫でられた。
えへへ。
クインとアモンは、目を丸くしてこっちを見ている。
「……?」
何だろう。
†††
後で聞いたけど。
気位の高いリュシエルが誰かの食べかけを口にするのも初めてで、衝撃だったけど。
リュシエルがあんな上機嫌な顔をしているのは今まで見たことがなかったので、驚いていたそうだ。
俺は会議中以外では、ほぼ笑顔のリュシエルしか見てないんだけどな。
ここでも人気商品となった西の国の赤いウニの取引を楽しみに待ってる、と言われた。南の国のガラス製品も期待されてる。
四国間の取引はうまくいきそうでよかった。
北の国の特産品もほぼ決まったので、そろそろ報告のため、東の国へ戻ることにした。
東の国のサンプルも出さなくちゃいけないし。
リュシエルから、東と西と南の国への親書を預かって。
北の国、ミッションコンプリート。
やったあ!
あとは東の国に戻って、この親書を渡せば、ひとまずこのミッションは終わりだ。
まだ、他にも色々やることはありそうだけど。
「ふふ、”カキ氷”が全国的に流行ったら大もうけだ。宣伝してね?」
リュシエルはにこにこしてる。
「喜んでもらえてよかったです」
よしよし、と頭を撫でられる。
なんか、照れる。
†††
玄関までは、またしてもリュシエルに抱いて運んでもらってしまった。
きっと階段から転げ落ちて骨折した話をしたせいだろう。
「また、ここに来るよね? そのときは……」
ぎゅっと抱き締められて。
うわあ、美人のお姉さんみたいな綺麗な顔がアップに。
「……僕の以外の宝石、全部削り落としちゃおうかな……」
……へ?
今、何かこわいこと言ってなかった?
「言葉なら、僕が手取り足取り教えてあげる。お嫁においで。大切にするよ」
顎を上向かされて。
……ええっ!?
ちゅーされちゃう!?
「ひゃ、」
突然首の後ろを引っ張られて。
ぼすん、と柔らかな感触。
『……油断も隙もない』
渋い声。
「クロポメ!」
クロポメが阻止してくれたようだ。
正直助かった。
†††
まだ心臓がドキドキいってる。
だって、リュシエルって綺麗なお姉さんみたいだし。
花のようないい匂いがするんだもん。
見た目も天使っぽいし。
「……ちぇっ、ガーディアンがいたのか。じゃあ、またね。続きはまた今度しようね?」
リュシエルが天使のような笑顔で手を振る。
続きって。
さっきのって、もしかして。
プロポーズだったりしたの!?
手を振り返す暇もなく。
クロポメは、猛ダッシュで北の国の城から駆け出したのだった。
氷を彫刻したりして、暑い国では涼しげなオブジェにもなるんだよ、と言ったら驚かれた。
雪像を作って競う大会もあるとか。
「素晴らしい発想です」
「さすがは神使様……!」
べた褒めだけど。
考えたの、俺じゃないんだけどね。
俺はニュースとかで見ただけ。
「おや、なにやら楽しそうにしている思ったら。……それ、美味しそうだね?」
リュシエルが調理室に顔を出して。
カキ氷に目を留めた。
「カキ氷っていいます。夏の定番ですけど。冬に暖かい室内で食べるのもいいですよ」
ってこの世界、四季があるのか知らないけど。
「それ、どんな味?」
と、顔を寄せてきたので。
「はい、」
一口すくって食べさせた。
「ん、悪くないね。これからこの……”カキ氷”を晩餐のデザートに採用するとしようか」
にっこり笑顔で頭を撫でられた。
えへへ。
クインとアモンは、目を丸くしてこっちを見ている。
「……?」
何だろう。
†††
後で聞いたけど。
気位の高いリュシエルが誰かの食べかけを口にするのも初めてで、衝撃だったけど。
リュシエルがあんな上機嫌な顔をしているのは今まで見たことがなかったので、驚いていたそうだ。
俺は会議中以外では、ほぼ笑顔のリュシエルしか見てないんだけどな。
ここでも人気商品となった西の国の赤いウニの取引を楽しみに待ってる、と言われた。南の国のガラス製品も期待されてる。
四国間の取引はうまくいきそうでよかった。
北の国の特産品もほぼ決まったので、そろそろ報告のため、東の国へ戻ることにした。
東の国のサンプルも出さなくちゃいけないし。
リュシエルから、東と西と南の国への親書を預かって。
北の国、ミッションコンプリート。
やったあ!
あとは東の国に戻って、この親書を渡せば、ひとまずこのミッションは終わりだ。
まだ、他にも色々やることはありそうだけど。
「ふふ、”カキ氷”が全国的に流行ったら大もうけだ。宣伝してね?」
リュシエルはにこにこしてる。
「喜んでもらえてよかったです」
よしよし、と頭を撫でられる。
なんか、照れる。
†††
玄関までは、またしてもリュシエルに抱いて運んでもらってしまった。
きっと階段から転げ落ちて骨折した話をしたせいだろう。
「また、ここに来るよね? そのときは……」
ぎゅっと抱き締められて。
うわあ、美人のお姉さんみたいな綺麗な顔がアップに。
「……僕の以外の宝石、全部削り落としちゃおうかな……」
……へ?
今、何かこわいこと言ってなかった?
「言葉なら、僕が手取り足取り教えてあげる。お嫁においで。大切にするよ」
顎を上向かされて。
……ええっ!?
ちゅーされちゃう!?
「ひゃ、」
突然首の後ろを引っ張られて。
ぼすん、と柔らかな感触。
『……油断も隙もない』
渋い声。
「クロポメ!」
クロポメが阻止してくれたようだ。
正直助かった。
†††
まだ心臓がドキドキいってる。
だって、リュシエルって綺麗なお姉さんみたいだし。
花のようないい匂いがするんだもん。
見た目も天使っぽいし。
「……ちぇっ、ガーディアンがいたのか。じゃあ、またね。続きはまた今度しようね?」
リュシエルが天使のような笑顔で手を振る。
続きって。
さっきのって、もしかして。
プロポーズだったりしたの!?
手を振り返す暇もなく。
クロポメは、猛ダッシュで北の国の城から駆け出したのだった。
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