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わんこと一緒
東の国、再び
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で。
何で俺がここにいるかというと。
「私を選んでくれたのだね……ありがとう。私の黒き小さな神の子」
むぎゅっと抱き締められる。
そう。
東の国の国王、アレクに。
他の三王は、東のなら仕方ないか、と諦めたようだ。
他の王様から見ても、この美貌の王は魅力的なのかな? ……って。
「ち、違うから! まだ書類渡したばっかりだし。三つの国を巡ってみて、知ったこともあるから。色々相談したいこともあったし! ……それに、話の途中で神の塔に跳ばされたから……中途半端な状態で他の国とか行けないじゃん……」
と、いうのもあるけど。
リュシエルのところで読んだ本に。
この国では、名前が長ければ長いほど高貴、という風習があるって書いてあった。
ウスルたんも、人間により後付けで、やたら長い名前を足されたそうだ。
自分じゃ名乗らないけど。聖書みたいな本には記載されてるって。
一般国民に姓は存在しない。
名前だけだ。
”一番初めに造られた”国の、国王であるアレクの姓? というか名前が一番長いのは、そういうことらしい。
その誇り高き名前を、更に省略するのを許すなんて、とリュシエルは驚いていた。
東の、とか西の、とかで。滅多に他の国王の名を口にしないのは、強い魔力を持つ国王が名を呼ぶと、心を操るといわれてるから。
面と向かって名を呼ばないのが礼儀なんだそうだ。
そんなの、教えてくれなくちゃわからないよ。
†††
俺にだけ、特別に許された呼び方で。
名前を呼んでみる。
「アレク、」
「ん?」
嬉しそうに微笑む美貌はもう、犯罪的に美しい。何かずるい。
俺がここにいるのが、そんなに嬉しいのかよ。
ほんとにもう。
国の最重要機密である地図や、宝物庫を見せるのも。
自分の名前を呼ばせるのも。
普通は神使にだってしない、特別扱いだなんて。知らなかった。
何で言わないんだよ。そういうの。
「何で、”言解の魔法”を俺にかけたの?」
ネフェルたんはうっかりの可能性があるし。
ジュセルは自分から頼んでしまった。
リュシエルは、みんながやってるなら僕もやっちゃえ~なノリだったし。
言葉だけの問題なら、東の王は、この世界で一番の魔法の使い手だから、他にも方法はあったはず、とも聞いた。
「ひと目で恋に落ちてしまったから。自分のしるしをつけたくなってしまったんだ」
俺の額に、指先でそっと触れて。
「ここに、もう一度。私のしるしをつけてもかまわないだろうか?」
そんなセリフを。
とろけるような微笑みを浮かべて、甘い声で囁くなんて。
ほんと、ずるいよ。
†††
さっそく青い石をつけられてしまった。
額にチューで。
ほんと、手が早いよな。
王族が性欲薄いとか、絶対嘘だ。
あれはネフェルたんが純情というか、淡白なだけだと思う。
ジュセルはエロオヤジだし。リュシエルも別れ際にチューしようとしてきたし。
普通にあるよな、あれは。
「こら、何か余所事を考えてるな?」
「ひゃ、」
耳たぶに噛みつかれた。軽くだけど。
だって。
いわゆるお姫様抱っこで寝室まで運ばれてしまってるなんて。
これから自分がナニをされるのか、とか考えたら。もう、恥ずかしさが限界突破して。
もはや現実逃避するしかないだろ!
今すぐにでも頭抱えてゴロゴロそこらじゅうを転げまわりたいくらい恥ずかしいんだよ!
一応、知識だけはある。
男同士の場合、アレをあそこに入れるんだろ?
いわゆる、ええと、その。
薔薇の蕾とか称される場所に。
姉ちゃんの持ってた本とかに書いてあったから知ってる。
あんまり興味なかったから、詳しく読んでないんでよく知らないけど。
もうちょっと、調べておけば良かったかな……。
女とするより気持ちいい、って話もあれば、ただ痛いだけだって話もあったなーって程度で。
正直いって、めっちゃこわい。
†††
ぽふ、とやわらかい感触。
するりとした黒いシーツの肌触りは絹っぽい。
真っ黒なベッド。
余計に自分の肌の色の生っ白さが際立つ気がして、恥ずかしい。
うちの学校にプールはないし、入院してて日焼けしてないせいもあるけど。
アレクは黒い上衣を脱ぎ捨てた。
男らしくて逞しい、褐色の肌があらわになる。
うわ。
自分の平坦な胸板が悲しくなるほど、いい身体だ。
……あれ?
「しっぽ……?」
金茶っぽい色の、尻尾っらしきモノが、めっちゃ左右に振られているんだけど。
「ん? ああ、知らなかったのか。私は最初に創られた人類の子孫だから、神の御姿に一番近いといわれているのだよ」
神の……。
ああ、ウスルたんはケモ耳属性だったな……。
アレクが耳横のあたりの髪をかきあげると、ふさふさの耳が見えた。ボルソイっぽい、垂れた犬耳だ。
アレクもケモ耳属性だったんだ。
普通? の人間だと思ってた!
ここの国の人はみんな、シルエットのゆったりした足元まである上衣を着てるから、気がつかなかった。
だいたい頭に布巻いてるし。
そっか。そうだったんだ。
†††
「こんな私ではいや?」
しっぽが、悲しそうにしょぼんと垂れ下がった。
嫌なわけがない。
むしろ。
「大好きです!!」
思わずがしっと抱きつく。
わんこ大好き。
みんながあっさり引くわけだ。
いや、俺は知らなかったんだけど。
何で俺がここにいるかというと。
「私を選んでくれたのだね……ありがとう。私の黒き小さな神の子」
むぎゅっと抱き締められる。
そう。
東の国の国王、アレクに。
他の三王は、東のなら仕方ないか、と諦めたようだ。
他の王様から見ても、この美貌の王は魅力的なのかな? ……って。
「ち、違うから! まだ書類渡したばっかりだし。三つの国を巡ってみて、知ったこともあるから。色々相談したいこともあったし! ……それに、話の途中で神の塔に跳ばされたから……中途半端な状態で他の国とか行けないじゃん……」
と、いうのもあるけど。
リュシエルのところで読んだ本に。
この国では、名前が長ければ長いほど高貴、という風習があるって書いてあった。
ウスルたんも、人間により後付けで、やたら長い名前を足されたそうだ。
自分じゃ名乗らないけど。聖書みたいな本には記載されてるって。
一般国民に姓は存在しない。
名前だけだ。
”一番初めに造られた”国の、国王であるアレクの姓? というか名前が一番長いのは、そういうことらしい。
その誇り高き名前を、更に省略するのを許すなんて、とリュシエルは驚いていた。
東の、とか西の、とかで。滅多に他の国王の名を口にしないのは、強い魔力を持つ国王が名を呼ぶと、心を操るといわれてるから。
面と向かって名を呼ばないのが礼儀なんだそうだ。
そんなの、教えてくれなくちゃわからないよ。
†††
俺にだけ、特別に許された呼び方で。
名前を呼んでみる。
「アレク、」
「ん?」
嬉しそうに微笑む美貌はもう、犯罪的に美しい。何かずるい。
俺がここにいるのが、そんなに嬉しいのかよ。
ほんとにもう。
国の最重要機密である地図や、宝物庫を見せるのも。
自分の名前を呼ばせるのも。
普通は神使にだってしない、特別扱いだなんて。知らなかった。
何で言わないんだよ。そういうの。
「何で、”言解の魔法”を俺にかけたの?」
ネフェルたんはうっかりの可能性があるし。
ジュセルは自分から頼んでしまった。
リュシエルは、みんながやってるなら僕もやっちゃえ~なノリだったし。
言葉だけの問題なら、東の王は、この世界で一番の魔法の使い手だから、他にも方法はあったはず、とも聞いた。
「ひと目で恋に落ちてしまったから。自分のしるしをつけたくなってしまったんだ」
俺の額に、指先でそっと触れて。
「ここに、もう一度。私のしるしをつけてもかまわないだろうか?」
そんなセリフを。
とろけるような微笑みを浮かべて、甘い声で囁くなんて。
ほんと、ずるいよ。
†††
さっそく青い石をつけられてしまった。
額にチューで。
ほんと、手が早いよな。
王族が性欲薄いとか、絶対嘘だ。
あれはネフェルたんが純情というか、淡白なだけだと思う。
ジュセルはエロオヤジだし。リュシエルも別れ際にチューしようとしてきたし。
普通にあるよな、あれは。
「こら、何か余所事を考えてるな?」
「ひゃ、」
耳たぶに噛みつかれた。軽くだけど。
だって。
いわゆるお姫様抱っこで寝室まで運ばれてしまってるなんて。
これから自分がナニをされるのか、とか考えたら。もう、恥ずかしさが限界突破して。
もはや現実逃避するしかないだろ!
今すぐにでも頭抱えてゴロゴロそこらじゅうを転げまわりたいくらい恥ずかしいんだよ!
一応、知識だけはある。
男同士の場合、アレをあそこに入れるんだろ?
いわゆる、ええと、その。
薔薇の蕾とか称される場所に。
姉ちゃんの持ってた本とかに書いてあったから知ってる。
あんまり興味なかったから、詳しく読んでないんでよく知らないけど。
もうちょっと、調べておけば良かったかな……。
女とするより気持ちいい、って話もあれば、ただ痛いだけだって話もあったなーって程度で。
正直いって、めっちゃこわい。
†††
ぽふ、とやわらかい感触。
するりとした黒いシーツの肌触りは絹っぽい。
真っ黒なベッド。
余計に自分の肌の色の生っ白さが際立つ気がして、恥ずかしい。
うちの学校にプールはないし、入院してて日焼けしてないせいもあるけど。
アレクは黒い上衣を脱ぎ捨てた。
男らしくて逞しい、褐色の肌があらわになる。
うわ。
自分の平坦な胸板が悲しくなるほど、いい身体だ。
……あれ?
「しっぽ……?」
金茶っぽい色の、尻尾っらしきモノが、めっちゃ左右に振られているんだけど。
「ん? ああ、知らなかったのか。私は最初に創られた人類の子孫だから、神の御姿に一番近いといわれているのだよ」
神の……。
ああ、ウスルたんはケモ耳属性だったな……。
アレクが耳横のあたりの髪をかきあげると、ふさふさの耳が見えた。ボルソイっぽい、垂れた犬耳だ。
アレクもケモ耳属性だったんだ。
普通? の人間だと思ってた!
ここの国の人はみんな、シルエットのゆったりした足元まである上衣を着てるから、気がつかなかった。
だいたい頭に布巻いてるし。
そっか。そうだったんだ。
†††
「こんな私ではいや?」
しっぽが、悲しそうにしょぼんと垂れ下がった。
嫌なわけがない。
むしろ。
「大好きです!!」
思わずがしっと抱きつく。
わんこ大好き。
みんながあっさり引くわけだ。
いや、俺は知らなかったんだけど。
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