31 / 38
砂漠の獅子は幼き寵姫を愛す
養い子を育てる
しおりを挟む
新は、自分の名以外、総ての記憶を失っていたようだ。
その方が、良いのかもしれない。
虐待を受けていたという。
そんな記憶は、ここで生きてゆくのに必要のないものだ。
これからは。
わたしがここで、幸せな記憶のみを与えてやるのだから。
川に住まう神が、新の境遇を憐れに思い、ここへと連れて来て。
その忌まわしい記憶を流し去ってくれたのかもしれぬ。
わたしが新を傍に置き、生涯、幸せに暮らすために。
†††
新は記憶を失っていても言葉は普通に話せるし、計算能力も問題なかった。
どうやら高度な教育を受けていたと思われる。
虐待をしながら、教育を与えるとは。異世界の者の考えることは理解不能だ。
推定年齢は8~12という見立てだが。12歳ということにした。
そうしておけば、大人になるまであと3年である。
わたしの后にふさわしい教育を受けさせ、もう少し肉をつけさせるにはそのくらいの期間で充分であろう。
それ以上は、待ちきれなくなりそうだ。
夜になると、恐ろしい夢を見るようで。
新は悲鳴を上げて、飛び起きた。
怯えて泣きながら、わたしにすがりついてきた。
庇護欲を刺激され、その小さい身体を抱き締めた。
安心させたい。
新は、赤い夢を見た、という。
赤で、真っ先に思いつくものは。……血の色であろう。
あちらでは、どのような惨い目に遭わされてきたのだろう。
ここまで怯えるような事を。……憐れな。
新は、わたしが守る。
もう二度と、こわいことは起こらない。
そう言い聞かせ、獅子の姿で寄り添ったら、安心したように眠った。
とても愛しい。
わたしの可愛い新。
大切に育てよう。
†††
翌朝。
新は昨夜のことを夢だと思っているようで。
獅子の姿がかっこよかった、いい夢だと言った。
あの姿を全く恐れないとは。なかなか強い子であった。
将来が楽しみである。
賢者のラースを呼び、新の教育係になるよう任命した。
ラースは虎人であり、腕にも覚えがあるので、護衛としても適任である。
わたしが政務で新を見ていられない間、未来の王后としてふさわしい教育をするように命じる。
ラースは身寄りがなく、施設で育った者だ。
一人で異世界に来てしまった孤独な新のよき理解者になるかもしれない。
そう伝えると。
「身に余る光栄でございます」
美しい所作で礼をした。
最初の授業のあと、ラースが報告に来て。
とても素直で愛らしく、物事をちゃんと理解し、よく考えている賢い子だと褒めた。
本心からだと、その表情でわかった。
そうであろう。
新は、とても可愛く賢い子なのである。
わたしがずっと傍で見ていられなくとも、新のために心配るのは可能であろう。
新がここでの生活を、より住みよくなるようにしてやりたい。
新から希望を聞いたハリムが報告し、それを実現させてやる。
新が血を恐れているので、なるべく赤い服は着ないよう、見せないようにと周りの者に告げた。
過保護すぎるのではないか、今から尻に敷かれてどうする、と言われたが。
大切な者には心安らかに過ごしてもらいたいと思うのは、当然ではないだろうか。
そうして。
新がわたしにとって最も大切な養い子であることは、だいたい城中に周知された。
†††
新の食事量も増えてきたようで、順調に肉がついてきた。
髪も肌も、つやつやすべすべになって。
ふっくらとしてきた頬など、もう食べてしまいたいほどに愛らしい。
人種の違いか、肌はきめ細かく、しっとりとした肌触りで。
いつまでも触れていたくなる。
毎日薔薇の油で磨かれているため、常に身体から良いにおいが薫っている。
毎夜、腕に抱いて眠った。
そのせいか、新が恐ろしい夢を見る回数も、徐々に減っていっているようだ。
悪夢を食べるという獏になり、跡形なく食べてやれれば良いのに、と思った。
新の憂いは総て、わたしが祓ってやりたいものだ。
ある日。
いつものように、抱き締めて眠ると。
新が、もぞもぞと身体を動かしている。
「どうした、新。眠れないのか?」
茶でも飲み過ぎて、目が冴えてしまったのだろうか。
「うん……、なんか、変なんだ。おちんちんがむずむずする……」
何だと。
「……おちんちんが……!?」
むずむずする、と言ったか!?
それは。
思わず起き上がり。
新の顔を凝視してしまった。
どのような表情で、言ったのだ?
今の言葉を、もう一度聞かせてもらいたい。……ではなく。
落ち着け。
鼻息を荒くしては、恐がられてしまう。
わたしは新の肩に手を置いて。
動揺する内心を押し隠し、安心させるよう微笑んでみせた。
「新。それは変なことではない。新が大人になったあかしだ」
まさか、精通もまだだったとは。いやはや。
本当に子供なのだな。いやはや。
何も知らぬとは。
これから、わたしが色々教えてやらねばな。手取り足取り。
†††
「大人に? ぼく、大人になったの?」
新は、わたしを嬉しそうに見上げてきた。
いや、まだだ。
まだ、出してはいないのだから。
「おいで、」
新をわたしの膝の上に乗せ。
寝間着の裾を胸までたくし上げ、そのまま持ってるよう告げた。
ああ、恥じらう姿も愛らしい。
淡い色の乳首が、吸い付きたいほど可愛らしい。
半ば勃起している、新の愛らしい性器。
異世界では割礼をしないのか、皮を被っている。
処置するべきか。
いや、このままの方が、愛らしいな。
このままにしておこう。
その方が、良いのかもしれない。
虐待を受けていたという。
そんな記憶は、ここで生きてゆくのに必要のないものだ。
これからは。
わたしがここで、幸せな記憶のみを与えてやるのだから。
川に住まう神が、新の境遇を憐れに思い、ここへと連れて来て。
その忌まわしい記憶を流し去ってくれたのかもしれぬ。
わたしが新を傍に置き、生涯、幸せに暮らすために。
†††
新は記憶を失っていても言葉は普通に話せるし、計算能力も問題なかった。
どうやら高度な教育を受けていたと思われる。
虐待をしながら、教育を与えるとは。異世界の者の考えることは理解不能だ。
推定年齢は8~12という見立てだが。12歳ということにした。
そうしておけば、大人になるまであと3年である。
わたしの后にふさわしい教育を受けさせ、もう少し肉をつけさせるにはそのくらいの期間で充分であろう。
それ以上は、待ちきれなくなりそうだ。
夜になると、恐ろしい夢を見るようで。
新は悲鳴を上げて、飛び起きた。
怯えて泣きながら、わたしにすがりついてきた。
庇護欲を刺激され、その小さい身体を抱き締めた。
安心させたい。
新は、赤い夢を見た、という。
赤で、真っ先に思いつくものは。……血の色であろう。
あちらでは、どのような惨い目に遭わされてきたのだろう。
ここまで怯えるような事を。……憐れな。
新は、わたしが守る。
もう二度と、こわいことは起こらない。
そう言い聞かせ、獅子の姿で寄り添ったら、安心したように眠った。
とても愛しい。
わたしの可愛い新。
大切に育てよう。
†††
翌朝。
新は昨夜のことを夢だと思っているようで。
獅子の姿がかっこよかった、いい夢だと言った。
あの姿を全く恐れないとは。なかなか強い子であった。
将来が楽しみである。
賢者のラースを呼び、新の教育係になるよう任命した。
ラースは虎人であり、腕にも覚えがあるので、護衛としても適任である。
わたしが政務で新を見ていられない間、未来の王后としてふさわしい教育をするように命じる。
ラースは身寄りがなく、施設で育った者だ。
一人で異世界に来てしまった孤独な新のよき理解者になるかもしれない。
そう伝えると。
「身に余る光栄でございます」
美しい所作で礼をした。
最初の授業のあと、ラースが報告に来て。
とても素直で愛らしく、物事をちゃんと理解し、よく考えている賢い子だと褒めた。
本心からだと、その表情でわかった。
そうであろう。
新は、とても可愛く賢い子なのである。
わたしがずっと傍で見ていられなくとも、新のために心配るのは可能であろう。
新がここでの生活を、より住みよくなるようにしてやりたい。
新から希望を聞いたハリムが報告し、それを実現させてやる。
新が血を恐れているので、なるべく赤い服は着ないよう、見せないようにと周りの者に告げた。
過保護すぎるのではないか、今から尻に敷かれてどうする、と言われたが。
大切な者には心安らかに過ごしてもらいたいと思うのは、当然ではないだろうか。
そうして。
新がわたしにとって最も大切な養い子であることは、だいたい城中に周知された。
†††
新の食事量も増えてきたようで、順調に肉がついてきた。
髪も肌も、つやつやすべすべになって。
ふっくらとしてきた頬など、もう食べてしまいたいほどに愛らしい。
人種の違いか、肌はきめ細かく、しっとりとした肌触りで。
いつまでも触れていたくなる。
毎日薔薇の油で磨かれているため、常に身体から良いにおいが薫っている。
毎夜、腕に抱いて眠った。
そのせいか、新が恐ろしい夢を見る回数も、徐々に減っていっているようだ。
悪夢を食べるという獏になり、跡形なく食べてやれれば良いのに、と思った。
新の憂いは総て、わたしが祓ってやりたいものだ。
ある日。
いつものように、抱き締めて眠ると。
新が、もぞもぞと身体を動かしている。
「どうした、新。眠れないのか?」
茶でも飲み過ぎて、目が冴えてしまったのだろうか。
「うん……、なんか、変なんだ。おちんちんがむずむずする……」
何だと。
「……おちんちんが……!?」
むずむずする、と言ったか!?
それは。
思わず起き上がり。
新の顔を凝視してしまった。
どのような表情で、言ったのだ?
今の言葉を、もう一度聞かせてもらいたい。……ではなく。
落ち着け。
鼻息を荒くしては、恐がられてしまう。
わたしは新の肩に手を置いて。
動揺する内心を押し隠し、安心させるよう微笑んでみせた。
「新。それは変なことではない。新が大人になったあかしだ」
まさか、精通もまだだったとは。いやはや。
本当に子供なのだな。いやはや。
何も知らぬとは。
これから、わたしが色々教えてやらねばな。手取り足取り。
†††
「大人に? ぼく、大人になったの?」
新は、わたしを嬉しそうに見上げてきた。
いや、まだだ。
まだ、出してはいないのだから。
「おいで、」
新をわたしの膝の上に乗せ。
寝間着の裾を胸までたくし上げ、そのまま持ってるよう告げた。
ああ、恥じらう姿も愛らしい。
淡い色の乳首が、吸い付きたいほど可愛らしい。
半ば勃起している、新の愛らしい性器。
異世界では割礼をしないのか、皮を被っている。
処置するべきか。
いや、このままの方が、愛らしいな。
このままにしておこう。
0
お気に入りに追加
588
あなたにおすすめの小説

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる