砂漠の異世界で獣人の王に囚われる~王様はホワイトタイガー

篠崎笙

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砂漠の獅子は幼き寵姫を愛す

養い子を育てる

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新は、自分の名以外、総ての記憶を失っていたようだ。


その方が、良いのかもしれない。
虐待を受けていたという。

そんな記憶は、ここで生きてゆくのに必要のないものだ。

これからは。
わたしがここで、幸せな記憶のみを与えてやるのだから。


川に住まう神が、新の境遇を憐れに思い、ここへと連れて来て。
その忌まわしい記憶を流し去ってくれたのかもしれぬ。

わたしが新を傍に置き、生涯、幸せに暮らすために。


†††


新は記憶を失っていても言葉は普通に話せるし、計算能力も問題なかった。
どうやら高度な教育を受けていたと思われる。

虐待をしながら、教育を与えるとは。異世界の者の考えることは理解不能だ。


推定年齢は8~12という見立てだが。12歳ということにした。
そうしておけば、大人になるまであと3年である。

わたしの后にふさわしい教育を受けさせ、もう少し肉をつけさせるにはそのくらいの期間で充分であろう。

それ以上は、待ちきれなくなりそうだ。


夜になると、恐ろしい夢を見るようで。
新は悲鳴を上げて、飛び起きた。

怯えて泣きながら、わたしにすがりついてきた。


庇護欲を刺激され、その小さい身体を抱き締めた。
安心させたい。

新は、赤い夢を見た、という。

赤で、真っ先に思いつくものは。……血の色であろう。
あちらでは、どのような惨い目に遭わされてきたのだろう。

ここまで怯えるような事を。……憐れな。


新は、わたしが守る。
もう二度と、こわいことは起こらない。

そう言い聞かせ、獅子の姿で寄り添ったら、安心したように眠った。

とても愛しい。
わたしの可愛い新。

大切に育てよう。


†††


翌朝。
新は昨夜のことを夢だと思っているようで。

獅子の姿がかっこよかった、いい夢だと言った。

あの姿を全く恐れないとは。なかなか強い子であった。
将来が楽しみである。


賢者のラースを呼び、新の教育係になるよう任命した。
ラースは虎人であり、腕にも覚えがあるので、護衛としても適任である。

わたしが政務で新を見ていられない間、未来の王后としてふさわしい教育をするように命じる。


ラースは身寄りがなく、施設で育った者だ。
一人で異世界に来てしまった孤独な新のよき理解者になるかもしれない。
そう伝えると。

「身に余る光栄でございます」
美しい所作で礼をした。


最初の授業のあと、ラースが報告に来て。

とても素直で愛らしく、物事をちゃんと理解し、よく考えている賢い子だと褒めた。
本心からだと、その表情でわかった。

そうであろう。
新は、とても可愛く賢い子なのである。


わたしがずっと傍で見ていられなくとも、新のために心配こころくばるのは可能であろう。
新がここでの生活を、より住みよくなるようにしてやりたい。

新から希望を聞いたハリムが報告し、それを実現させてやる。


新が血を恐れているので、なるべく赤い服は着ないよう、見せないようにと周りの者に告げた。
過保護すぎるのではないか、今から尻に敷かれてどうする、と言われたが。

大切な者には心安らかに過ごしてもらいたいと思うのは、当然ではないだろうか。


そうして。
新がわたしにとって最も大切な養い子であることは、だいたい城中に周知された。


†††


新の食事量も増えてきたようで、順調に肉がついてきた。

髪も肌も、つやつやすべすべになって。
ふっくらとしてきた頬など、もう食べてしまいたいほどに愛らしい。


人種の違いか、肌はきめ細かく、しっとりとした肌触りで。
いつまでも触れていたくなる。

毎日薔薇ワルドの油で磨かれているため、常に身体から良いにおいが薫っている。


毎夜、腕に抱いて眠った。
そのせいか、新が恐ろしい夢を見る回数も、徐々に減っていっているようだ。

悪夢を食べるという獏になり、跡形なく食べてやれれば良いのに、と思った。
新の憂いは総て、わたしが祓ってやりたいものだ。


ある日。
いつものように、抱き締めて眠ると。

新が、もぞもぞと身体を動かしている。
「どうした、新。眠れないのか?」

茶でも飲み過ぎて、目が冴えてしまったのだろうか。


「うん……、なんか、変なんだ。おちんちんがむずむずする……」

何だと。

「……おちんちんが……!?」

むずむずする、と言ったか!?
それは。


思わず起き上がり。
新の顔を凝視してしまった。

どのような表情で、言ったのだ?
今の言葉を、もう一度聞かせてもらいたい。……ではなく。


落ち着け。
鼻息を荒くしては、恐がられてしまう。


わたしは新の肩に手を置いて。
動揺する内心を押し隠し、安心させるよう微笑んでみせた。

「新。それは変なことではない。新が大人になったあかしだ」


まさか、精通もまだだったとは。いやはや。
本当に子供なのだな。いやはや。

何も知らぬとは。
これから、わたしが色々教えてやらねばな。手取り足取り。


†††


「大人に? ぼく、大人になったの?」


新は、わたしを嬉しそうに見上げてきた。
いや、まだだ。

まだ、出してはいないのだから。


「おいで、」
新をわたしの膝の上に乗せ。

寝間着の裾を胸までたくし上げ、そのまま持ってるよう告げた。


ああ、恥じらう姿も愛らしい。
淡い色の乳首が、吸い付きたいほど可愛らしい。

半ば勃起している、新の愛らしい性器。
異世界では割礼をしないのか、皮を被っている。

処置するべきか。
いや、このままの方が、愛らしいな。

このままにしておこう。
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