上 下
25 / 38
獅子の王の寵愛

早く大人になりたい

しおりを挟む
「みんな、幸せに暮らせればいいのにな」

ラース先生は頷いて。
『それには、シン様がよく学ばれて、民のことをお考えになって、現王のお仕事を支える素晴らしい片翼になられることですね。では、本日はここまで』

また明日、と言われて。
手を合わせて頭を下げる礼をされた。


「あ、はい。明日もよろしくお願いします」
ぼくも頭を下げそうになったけど。何とか頷いた。

『頷くだけでよろしいのですよ』
ラース先生は、笑いをこらえていた。


やっぱり”あるじ”みたいな態度を取るのって、ぼくにはまだ難しいよ!


†††


ぼくは普通の人より、かなり胃が小さかったらしい。
はじめは少しだけしか食べられなかったけど、ここに引き取られてからはちょっとずつ食べられる量が増えてきて、体重も増えてきたみたい。

さすがにアサドほどはたくさん食べられないけど。
だって、身体の大きさが違うもん。入る量も違って当たり前だと思う。


お風呂では、毎回ハリムや他の使用人たちからよってたかって身体を洗われてしまって。
薔薇のオイルで、髪や肌のお手入れをされてしまう。
そのせいか、髪や肌もつやつやしてきたみたいだ。爪もみがかれて、ぴかぴかしてる。

人の前で裸になるのには、まだ慣れないけど。
痩せていた身体に肉がついてきて良かったってハリムがほっとしていたので、そういう健康管理みたいな意味もあったのかもしれない。

お手入れで手触りが良くなったせいか、アサドは嬉しそうに、ぼくの頭をしょっちゅう撫でている。
アサドが嬉しそうだと、ぼくも嬉しくなっちゃう。


赤くてこわい夢は、たまに見るけど。

毎回、その後にはライオンに変身したアサドに慰められる夢も見るから。
おかげでぐっすり眠れるようになった。


お父さんには、若すぎるけど。
アサドのことを、お兄さんみたいに思ってもいいかな?

優しくてあったかいアサドが大好きだ。


仕事がすごく忙しいみたいで、朝と夜くらいにしかちゃんと顔が見れなくて寂しいけど。

いっぱい勉強して。
大きくなったら、アサドの仕事のお手伝いができるようになれたらいいと思う。


そしたら、もっと長い時間、一緒にいられるよね?


†††


いつものように、アサドの腕の中、眠ろうとしたけど。
……なんか、変だ。


『どうした、新。眠れないのか?』
アサドと目が合った。
起こしちゃった。

「うん……、なんか、変なんだ。おちんちんが、むずむずする……」


アサドはがばっと起き上がって。
ぼくの顔を覗き込んだ。

灯りが落ちて薄暗い部屋の中、アサドの金色の目が光ってる。猫の目みたいだな、と思った。

『何だと……、おちんちんが……!?』

復唱しないで欲しい。
恥ずかしいから。


アサドは、ぼくの肩に手を置いて。
優しく微笑んだ。

『新。それは、変なことではない。新が大人になったあかしだよ』
「大人に? ぼく、大人になったの?」

アサドのお手伝いができるようになったなら、嬉しい。


おいで、と言われて。
アサドの膝の上に乗せられた。

寝間着の裾を、胸までたくし上げられて。
そのまま持ってるように言われた。

なんかこれ、すごく恥ずかしいんだけど。


「ひゃ、」

おちんちんを掴まれた。
アサドの手が大きいから、つままれてる、って感じだけど。

「だめ、汚いよ」

『毎日、綺麗に洗っているだろう?』
そうだけど。

ふにふにと、揉むようにいじられて。
くすぐったい。


そのうち、何だか、おかしな感じがしてきた。
お漏らししてしまいそうな感覚。


†††


「だ、だめ、出ちゃう」
『いいから。出しなさい』

え、ベッドの上で!?
だめだよ、そんなの! 赤ちゃんじゃあるまいし。せめて、オムツかおまるがあれば……って、それも恥ずかしいよ!


「や、やだ、手、はなして、」

はなしてって言ってるのに。
アサドは、くにくにとぼくのおちんちんを弄って。

耳を、はむはむと唇で挟まれてる。

アサド、何をしてるの? くすぐったいよ。
……なんか、ぞくぞくする。


「はう、……やあああっ、」

出しちゃった。
けど。それは、おしっこじゃなかった。

なにこれ?


『これは、新が大人になったあかしだ』
頬に、ちゅーされた。

大人に?
これが、大人になったあかしなの?


『悪いが、わたしのも、出させて欲しい』

お尻に、熱いものが当たってる。
これ。

アサドのおちんちん? すごくおっきいけど。


太股を閉じているように言われて。
そうしたら。その間に、アサドのおちんちんがもぐりこんできた。

「ひゃ、熱い……、アサド? なに、これ」

ぼくの太股で。
アサドのおちんちんを擦ってる?


『く、……う、』

アサドの押し殺したような声が、妙に色っぽくて。ドキドキしてしまう。

これ、気持ちいいの?
ぼくも。アサドのおちんちんに擦られて。気持ち良くなってきちゃった。


ぎゅっと抱き締められて。
アサドは、大人のあかしを出した。


大人だからかな? 太ももがびしょびしょになるくらい、いっぱい出た。


†††


『……ええと……それは……』

ラース先生は、頭痛を堪えるみたいな顔をして。
頭を抱え込んだ。

大人になったみたいだって言ったら。
どういうことかって聞かれたから、ゆうべのことを話したんだけど。


『そういった話は、他人にはしないほうが良いかと存じますが……』
「そうなの?」

頷いて。
『大人になる準備が整った、というだけで、大人になったわけではありません。シン様は、まだまだ子供です』


何だ……。
まだ、大人になったわけじゃないんだ。残念だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

記憶喪失のふりをしたら後輩が恋人を名乗り出た

キトー
BL
【BLです】 「俺と秋さんは恋人同士です!」「そうなの!?」  無気力でめんどくさがり屋な大学生、露田秋は交通事故に遭い一時的に記憶喪失になったがすぐに記憶を取り戻す。  そんな最中、大学の後輩である天杉夏から見舞いに来ると連絡があり、秋はほんの悪戯心で夏に記憶喪失のふりを続けたら、突然夏が手を握り「俺と秋さんは恋人同士です」と言ってきた。  もちろんそんな事実は無く、何の冗談だと啞然としている間にあれよあれよと話が進められてしまう。  記憶喪失が嘘だと明かすタイミングを逃してしまった秋は、流れ流され夏と同棲まで始めてしまうが案外夏との恋人生活は居心地が良い。  一方では、夏も秋を騙している罪悪感を抱えて悩むものの、一度手に入れた大切な人を手放す気はなくてあの手この手で秋を甘やかす。  あまり深く考えずにまぁ良いかと騙され続ける受けと、騙している事に罪悪感を持ちながらも必死に受けを繋ぎ止めようとする攻めのコメディ寄りの話です。 【主人公にだけ甘い後輩✕無気力な流され大学生】  反応いただけるととても喜びます!誤字報告もありがたいです。  ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載中。

ヤンデレ王子と哀れなおっさん辺境伯 恋も人生も二度目なら

音無野ウサギ
BL
ある日おっさん辺境伯ゲオハルトは美貌の第三王子リヒトにぺろりと食べられてしまいました。 しかも貴族たちに濡れ場を聞かれてしまい…… ところが権力者による性的搾取かと思われた出来事には実はもう少し深いわけが…… だって第三王子には前世の記憶があったから! といった感じの話です。おっさんがグチョグチョにされていても許してくださる方どうぞ。 濡れ場回にはタイトルに※をいれています おっさん企画を知ってから自分なりのおっさん受けってどんな形かなって考えていて生まれた話です。 この作品はムーンライトノベルズでも公開しています。

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

処理中です...