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王様はホワイトタイガー

異世界の王は、白い虎

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「うぅ、うあっ、あっ、いっ、痛っ、」

めちゃくちゃに突き上げられる。
その度に、ギシギシと鳴る鎖の音が耳障りなほどだ。

手枷が擦れる痛みより、穿たれている腰……尻の穴周辺の痛みの方が強い。


ナミル王は、零れた俺の涙や唾液を舐めて。
耳元に、鼻先を摺り寄せた。

『……そなたは、良い匂いがする。発情期の、メスのような匂いだ』
そんな、失礼な。

『神が私に遣わせた、ツガイなのかもしれんな』


勝手なことを言っている。
誰が、あんたなんかのものになるか。

こんな、犯されたって。
身体をいくら自由にしたって。

心までは、自由にならないことを知ればいい。


†††


「っく、……ん、やぁ、ひっ、い、」

右足を、肩の上に乗せたかたちで。
ぐいぐいと腰を押し付けられる。

奥の方を突き上げられる度に、内臓が押されて。
気持ち悪い。

お腹が空いてなければ、吐いてたんじゃないだろうか。


鎖はもう、外されていたけど。
2kgもないだろう手枷すら重く感じて、手を動かす気力もない。

ぬちゅぬちゅと、出し入れされる度に、音がする。

溢れるほど、中に出された。
いい加減、犯される痛みにも慣れたというか、麻痺してきた。


いったい、……何回出せば、気が済むんだ?

もう、十回くらい、中に出された気がするけど。
まだ出てるみたいだ。

どうなってるんだ?

精力無尽蔵なのか。
異世界だからか? 普通の人間とは、体力が違うのか?


『……虎は、何回交尾をする生き物か、知っているか?』

何を突然。
虎の生態なんか、詳しく知らねえよ。

首を横に振る。


『二日で、百回以上だ。まだまだ、余裕だぞ?』
よく見たら。

ナミル王の耳が、虎の耳になっている。

左足に、ふさふさのものが当たって。

え……?
これ、虎のしっぽ?


異世界の王様は、虎人間だった。

しかも、ホワイトタイガー。


薄れゆく意識の中。

そんな異世界らしさはいらない、と。
心から思った。


†††


『私を発情させたのは、そなただ。責任を取れ』

そんな勝手なことを言いながら、ナミル王は思う存分俺を犯した。

うなじに噛み付かれて。
めちゃくちゃに腰を叩きつけられて。

いつの間にか、失神していたのか。
気付いたら、辺りは暗くなっていたが。


「っ、」

荒い息が、耳に当たった。
ぞくぞくする。

「や、……ひぁ、あ、」

何だ、これ。


『ん? 悦くなってきたか? 声が甘い』

ぐちゅぐちゅと。
大きいもので、腹の中を搔き回されているのがわかる。

痛みとは別の感覚を覚え始めていて。
こわくなる。


後ろから抱き締められて。

『私のものになると言え、ナナミ』
囁かれる。

思わず頷いてしまいたくなるような、魅惑的な声だったが。


「く……っ、い、やだ、」

こんな、無理矢理されて。
絶対、言いなりになんてなるものか。

尊大な王様だろうが。金や力でも、絶対に手に入らないものがあると知ればいい。


『……ならば、』

腹の中が、熱くなって。
何だ、これは。

「……!?」
『トラの性器には、棘があるのだ。メスの性器をこれで刺激し、排卵を促すためと、次のオスに交尾をさせないためだ』


棘?

『これを無理に引き抜こうとすれば、内臓がズタズタになるぞ? どうする?』

ナミル王は、腰を軽く揺すった。

そんな。
今度は脅しか。


「……あんたなんかの言いなりになるくらいなら、死んだほうがマシだ」


†††


ぶわっ、と怖気がした。
鳥肌が立つ。

……怒りだ。
肌がビリビリするほどの怒気を感じた。


『……そうか。その言葉、後悔するなよ?』
押し殺した声で。

腰を掴まれて。
引き抜かれると同時に、激痛が走る。

「あぐ、うああっ、ひっ、」

再び、奥まで突き入れられて。
また引き抜かれるのを繰り返される。


ベッドに、鮮血が落ちているのが見えた。
俺の太股に、大量の血が流れてる。


お腹が。
お尻が痛い。引き裂かれて。

……死ぬ、死んじゃう。


凶器のようなものを、何度も出し入れされて。
何度目かに、意識を手放した。


†††


……あれ?

俺、生きてる?


最初に目に入ったのは、天蓋ベッドの天井。
俺はまだ、昨日連れて来られた、王妃様の部屋っぽいところにいるようだ。

残念ながら、異世界に来たのは夢じゃなかったようだ。


ナミル王に、犯されたのは現実か?
虎の耳が生えてた。虎の尾も。あれも、現実?

身体を引き裂かれるような痛みを覚えたのも。
あの、トゲの生えた凶器みたいな性器で実際に内臓を引き裂かれて。

てっきり死んだと思ったけど。

生きてる、よな?
何で?

身体に感じる痛みはない。
腹も、尻も。あちこち噛みつかれたはずの場所も。


右手を見たら。
まだ宝石のついた手枷ははめられていたが、鎖はついてなかった。

左腕には……、点滴?


……何だよ、これ。
ムカついて、点滴の針を引き抜こうとした手を止められた。

『だ、ダメです。怪我は治しましたが、血が足らないんです』


俺の手を止めた人。
その緑色の目には見覚えがあった。

昨日の、回復魔法の人だ。今日はマスクを外していた。


浅黒い肌に、黒い髪。
人のよさそうな顔をした青年だった。

身体の痛みは、もう、ないけど。


……血が足らない?
そうか。

だるいのは、貧血のせいか。どれだけ血を失ったんだか。

あんな、酷い真似をするなんて。
痛みで人を従わせようとするなんて。最低だな。

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