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おまけ
里帰り
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先程二人で話し合っていた時。
竜王はリカルドに、異世界の扉を開ける魔法を伝授したという。
なので、皆の都合さえ揃えば里帰りも可能だと。
……偽の私はどうなるのだろう。ドッペルゲンガーか?
そんなものを見せられた自分の気持ちを考えると、いたたまれないが。
いきなり異世界に来たのだから、家族には挨拶をしておきたい。
睦月の里帰りの時にも顔を出したい。
「しかし、そんな簡単に、異世界間を移動できるものなのか?」
リカルドは以前、異世界を移動するのは、とんでもなく高等な魔法だとか言っていたが。
そうでもなかったのだろうか。
「いや、リッキーほどの潤沢な魔力があれば造作もないことだ。魂を召喚する魔法を応用するだけなのでな」
「ご教授、感謝するよ。レックス」
竜王まで、リカルドのことを愛称で……。
レックスとは、こちら風でいうアレクシスの愛称だそうだ。
リカルドは竜王のことを敵視していたような気がしていたが。
いつの間にそんなに仲良くなったのか。
異世界の伴侶を持った国王同士、意気投合したのだろうか?
移動魔法を教えてもらう代わりに、リカルドは竜王に、偽物の魂を作る魔法を教えたようだ。
何に使う気だ。
*****
「じゃあ、またね!」
貴賓室で異世界の扉を開き、睦月と竜王が帰って行った。
別れの挨拶がさよならではなく、また、とは。睦月らしいな。一人称が俺になっても可愛いのでよし。
先程は何故、二人が竜の姿で中庭に現れたかというと。
魂の情報を読んで、それを辿って来たため。私が最初に召喚されたアンブロージョ領の森に出てしまったそうだ。
それで私の現在地を捜索し、竜の姿になってここまで飛んで来た、という話だった。
知り合いだったと言って、皆を安心させないとな。
「……穂波を、連れ戻されてしまうかと思った」
リカルドは心底安心したようにほっと息を吐いて、私を見た。
いつか、睦月が里帰りした時にでも、私の魂を偽物とすり替えたのがバレてしまい。
こうして二人がこの世界に迎えに来て。私がリカルドを置いて元の世界に戻ってしまうかもしれない、と。
ずっと思い悩んでいたようだ。
「そんな無駄な心配をしてたのか。この一年、やたらべたべたと付きまとって片時も離れたくない、とか言っていたのもそのせいか?」
「いや、連れ戻される心配がなくとも、片時も離れたくない」
真顔で答えられた。
ああ、そう……。
「ふふ、照れているのか? 頬が赤い」
頬に触れられる。
「うるさい。いちいち指摘するな」
「かわいい」
抱き寄せられて。額にキスをされる。
全く、この男は。
面倒臭くてヤキモチ焼きで。なのに自分に自信がないのだ。
*****
「……私はどこにも行かない。リカルドの腕の中が、私の居場所だ。だから、何があっても放すな」
言葉に出して伝えてやる。気が済むまで、何度でも。
「穂波……、」
腰掛けていた貴賓室のソファーに押し倒される。
まさか、ここで!?
ぎょっとして、リカルドを見上げると。
「大丈夫。人払いはしておく。私のかわいい穂波の肌は誰にも見せたくないからね」
リカルドはもうすでに臨戦態勢である。
はだけた下衣からは興奮し、今にも暴発しそうなほど昂った性器が見えている。
「愛している、穂波」
降りて来る唇に。
「私も愛している、リカルド」
そう答えて、キスを受け入れた。
「穂波?」
慣らそうと、後ろに伸ばされた手を引き止める。
「いいから、来い」
軽く足を開き、リカルドを誘う。
愛撫など、後で良いから。早く欲しい。
その気になれば濡れて、すぐにでも受け入れることが可能な身体になったのをありがたく思うとは。どうかしている。
「穂波……っ、」
リカルドは私の足を更に開かせて。いきり立った性器の先端を押し付けた。
「んっ、」
それでも、さすがに挿入時には違和感を覚えてしまうのだが。
それさえ過ぎれば。
理性を吹っ飛ばすような快楽が待っている。
「……すごい。中、熱くて奥へ誘うようにうねってる」
恥ずかしいことを耳元で囁かれると。
ぞくぞくして、更に締め付けてしまう。
それをわかっていて、わざと口にするのだ。
「中、すっかり私のかたちに拡がってるね。私のものだ……!」
腰を掴まれ、一気に奥を突き上げられる。
目の前がチカチカして、声も出ないほどの快感。
「このまま繋がって。溶けてひとつになってしまいたい」
腰をゆさゆさと揺さぶりながら、囁かれる。
そうしたら、離れられなくなるから、と。
全く、この男ときたら。
「溶けてひとつになったら、色々な体位が出来なくなるが、いいのか?」
「……それは、困るな」
二人でひとしきり笑って。
キスを交わした。
*****
電子音。
「何だ?」
思わず飛び起きて、音の発生源を見ると。
睦月に渡されたスマートフォンもどきにメールが来ていた。
本当に、異世界間で、普通に通じるのか。すごいな。
メールの内容は。
早くも、里帰りの予定の打診であった。
問題は、その追伸である。
『二人を撮った写真、みんなに見せたらお似合いだって言ってたよ。あと、お兄のその姿、中学生の時だって? 可愛かったんだね♡』
などと書かれていた。
いつの間に写真など撮っていたのだ。
この姿で家族の前に出るのは、かなり勇気が要るが。
私とて、自慢のツガイであるリカルドを紹介したい気持ちはある。
「リカルド、私の家族に君を紹介したいのだが。いいか?」
私の愛するツガイは。
驚いたように数度瞬きをし。
「ああ、もちろんだ。いつがいい?」
満面の笑みを浮かべて頷いてくれたのだった。
おしまい
竜王はリカルドに、異世界の扉を開ける魔法を伝授したという。
なので、皆の都合さえ揃えば里帰りも可能だと。
……偽の私はどうなるのだろう。ドッペルゲンガーか?
そんなものを見せられた自分の気持ちを考えると、いたたまれないが。
いきなり異世界に来たのだから、家族には挨拶をしておきたい。
睦月の里帰りの時にも顔を出したい。
「しかし、そんな簡単に、異世界間を移動できるものなのか?」
リカルドは以前、異世界を移動するのは、とんでもなく高等な魔法だとか言っていたが。
そうでもなかったのだろうか。
「いや、リッキーほどの潤沢な魔力があれば造作もないことだ。魂を召喚する魔法を応用するだけなのでな」
「ご教授、感謝するよ。レックス」
竜王まで、リカルドのことを愛称で……。
レックスとは、こちら風でいうアレクシスの愛称だそうだ。
リカルドは竜王のことを敵視していたような気がしていたが。
いつの間にそんなに仲良くなったのか。
異世界の伴侶を持った国王同士、意気投合したのだろうか?
移動魔法を教えてもらう代わりに、リカルドは竜王に、偽物の魂を作る魔法を教えたようだ。
何に使う気だ。
*****
「じゃあ、またね!」
貴賓室で異世界の扉を開き、睦月と竜王が帰って行った。
別れの挨拶がさよならではなく、また、とは。睦月らしいな。一人称が俺になっても可愛いのでよし。
先程は何故、二人が竜の姿で中庭に現れたかというと。
魂の情報を読んで、それを辿って来たため。私が最初に召喚されたアンブロージョ領の森に出てしまったそうだ。
それで私の現在地を捜索し、竜の姿になってここまで飛んで来た、という話だった。
知り合いだったと言って、皆を安心させないとな。
「……穂波を、連れ戻されてしまうかと思った」
リカルドは心底安心したようにほっと息を吐いて、私を見た。
いつか、睦月が里帰りした時にでも、私の魂を偽物とすり替えたのがバレてしまい。
こうして二人がこの世界に迎えに来て。私がリカルドを置いて元の世界に戻ってしまうかもしれない、と。
ずっと思い悩んでいたようだ。
「そんな無駄な心配をしてたのか。この一年、やたらべたべたと付きまとって片時も離れたくない、とか言っていたのもそのせいか?」
「いや、連れ戻される心配がなくとも、片時も離れたくない」
真顔で答えられた。
ああ、そう……。
「ふふ、照れているのか? 頬が赤い」
頬に触れられる。
「うるさい。いちいち指摘するな」
「かわいい」
抱き寄せられて。額にキスをされる。
全く、この男は。
面倒臭くてヤキモチ焼きで。なのに自分に自信がないのだ。
*****
「……私はどこにも行かない。リカルドの腕の中が、私の居場所だ。だから、何があっても放すな」
言葉に出して伝えてやる。気が済むまで、何度でも。
「穂波……、」
腰掛けていた貴賓室のソファーに押し倒される。
まさか、ここで!?
ぎょっとして、リカルドを見上げると。
「大丈夫。人払いはしておく。私のかわいい穂波の肌は誰にも見せたくないからね」
リカルドはもうすでに臨戦態勢である。
はだけた下衣からは興奮し、今にも暴発しそうなほど昂った性器が見えている。
「愛している、穂波」
降りて来る唇に。
「私も愛している、リカルド」
そう答えて、キスを受け入れた。
「穂波?」
慣らそうと、後ろに伸ばされた手を引き止める。
「いいから、来い」
軽く足を開き、リカルドを誘う。
愛撫など、後で良いから。早く欲しい。
その気になれば濡れて、すぐにでも受け入れることが可能な身体になったのをありがたく思うとは。どうかしている。
「穂波……っ、」
リカルドは私の足を更に開かせて。いきり立った性器の先端を押し付けた。
「んっ、」
それでも、さすがに挿入時には違和感を覚えてしまうのだが。
それさえ過ぎれば。
理性を吹っ飛ばすような快楽が待っている。
「……すごい。中、熱くて奥へ誘うようにうねってる」
恥ずかしいことを耳元で囁かれると。
ぞくぞくして、更に締め付けてしまう。
それをわかっていて、わざと口にするのだ。
「中、すっかり私のかたちに拡がってるね。私のものだ……!」
腰を掴まれ、一気に奥を突き上げられる。
目の前がチカチカして、声も出ないほどの快感。
「このまま繋がって。溶けてひとつになってしまいたい」
腰をゆさゆさと揺さぶりながら、囁かれる。
そうしたら、離れられなくなるから、と。
全く、この男ときたら。
「溶けてひとつになったら、色々な体位が出来なくなるが、いいのか?」
「……それは、困るな」
二人でひとしきり笑って。
キスを交わした。
*****
電子音。
「何だ?」
思わず飛び起きて、音の発生源を見ると。
睦月に渡されたスマートフォンもどきにメールが来ていた。
本当に、異世界間で、普通に通じるのか。すごいな。
メールの内容は。
早くも、里帰りの予定の打診であった。
問題は、その追伸である。
『二人を撮った写真、みんなに見せたらお似合いだって言ってたよ。あと、お兄のその姿、中学生の時だって? 可愛かったんだね♡』
などと書かれていた。
いつの間に写真など撮っていたのだ。
この姿で家族の前に出るのは、かなり勇気が要るが。
私とて、自慢のツガイであるリカルドを紹介したい気持ちはある。
「リカルド、私の家族に君を紹介したいのだが。いいか?」
私の愛するツガイは。
驚いたように数度瞬きをし。
「ああ、もちろんだ。いつがいい?」
満面の笑みを浮かべて頷いてくれたのだった。
おしまい
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時にそうだよね!の哲学も含めとても面白かったです。楽しい時間をありがとうございました。
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