1 / 24
登場人物紹介
しおりを挟むフィオナは焦っていた。シャルロットは何か誤解をしている様だ。どうにかして、誤解を解かなくては……。
「シャルロット様っ、待って下さ……」
止めようと声を上げるが、興奮気味の彼女の耳には届かない。
そんな中、シャルロットが手を振り上げた。すると瞬間物凄い勢いの風が吹き抜ける。フィオナとオリフェオが呆気に取られる中、先程の鳥とは比べ物にならい程大きな鳥が現れた。全長1メートル以上はあるだろうか……。更に翼開長なら、フィオナの身体の倍近くありそうだ。
「いらっしゃいませ~、アトラス」
鳥の大きさにフィオナは、息を呑んだ。鋭い目付きでこちらを見ている。アトラスは首から下は茶や黒だが、その上は白く首回りはモフっとしていた。迫力はあるが、少し可愛いかも知れない。
グワッ‼︎
呑気にそんな事を考えていると、アトラスが、威嚇する様に鳴いた。その声にフィオナは身体をビクりとさせる。やはり、怖い……。
「さあ、アトラス。そこの下郎を懲らしめなさいませ!」
シャルロットの声を合図に、アトラスが羽をバタバタと広げると、そのまま飛ばずに突進して来る。その勢いと迫力に、フィオナの身体は強ばり動けない。
すると、瞬間身体がフワリと浮いた。オリフェオがフィオナを抱き上げたのだ。立たせてくれると、いきなり突き飛ばされた。
「っ⁉︎」
地味に痛い……。
突然の事に踏ん張れず、フィオナは少し離れた場所に尻餅をついた。いくら何でもこれは酷い、と思いながら顔をあげると、オリフェオはフィオナをまるで庇う様に前へ出てアトラスと対峙していた。
「⁉︎」
もしかして、助けてくれた……?
だが、あんなに大きく獰猛そうな鳥相手に、彼は丸腰だ。このままではオリフェオが、危険だ。
「オリフェオ殿下っ」
フィオナがそう叫んだと同時に、アトラスがオリフェオまで到達しそのまま襲い掛かる。
「え……」
と思われたが、オリフェオを素通りしてフィオナに向かって来た。
「ア、アトラス⁉︎何してますの⁉︎」
「待て‼︎相手は私だっ」
シャルロットとオリフェオの焦る声が聞こえて来た。フィオナは慌てて立ちがろうとするが……まさかの腰が抜けて立ち上がれない……。こんな時に、本当に情けない……。
そうしている間にも、アトラスが迫って来るのが見える。
もしかして、このまま食い殺されてしまうのかも知れない……そんな事を他人事の様にボンヤリと思った。
最期に、ヴィレーム様に会いたかったな……。
気が付けばアトラスが目の前にいた。シャルロットが手を構え、何かしようとしているのが視界に入る。オリフェオが急いでこちらへ向かってこようとしているのが見えた。何時もより流れる時間がゆっくりと感じた。
グワッ‼︎
「ヴィレーム、さまっ……」
フィオナは身を守る様にして、身体を縮こませる。目をギュッとキツく瞑り顔を伏せた。
◆◆◆
ガチャンッ。
「あ……」
ヴィレームの手からカップが滑り落ちた。まだ半分程残っていたお茶と割れたカップの破片が床に散らばる。
「何をなさっているんですか。仕事を増やさないで下さい」
怒られた……。
普通こう言う時、主人の心配をするものではないか?と不満に思うが、クルトはそう言う奴だ。ため息を吐く。
「ため息を吐きたいのは私の方です」
「……」
割れたカップを片付けながら、更に嫌味を言われた。ヴィレームは、暫くクルトが片付けている様子をボンヤリ眺めていた。
今日は頑張った甲斐あって、大分仕事が捗った。今夜はもう絶対仕事はしない!フィオナが帰って来たら、二人でのんびりイチャイチャして過ごす!
そんな風に考えたら、無意識に頬が緩んできた。
「ヴィレーム様、顔がダラシないですよ。まだまだ仕事がございます。気を抜かずにず、確りなさって下さい」
「……分かってるよ」
はぁ……早く、フィオナ帰って来ないかなぁ……。
「シャルロット様っ、待って下さ……」
止めようと声を上げるが、興奮気味の彼女の耳には届かない。
そんな中、シャルロットが手を振り上げた。すると瞬間物凄い勢いの風が吹き抜ける。フィオナとオリフェオが呆気に取られる中、先程の鳥とは比べ物にならい程大きな鳥が現れた。全長1メートル以上はあるだろうか……。更に翼開長なら、フィオナの身体の倍近くありそうだ。
「いらっしゃいませ~、アトラス」
鳥の大きさにフィオナは、息を呑んだ。鋭い目付きでこちらを見ている。アトラスは首から下は茶や黒だが、その上は白く首回りはモフっとしていた。迫力はあるが、少し可愛いかも知れない。
グワッ‼︎
呑気にそんな事を考えていると、アトラスが、威嚇する様に鳴いた。その声にフィオナは身体をビクりとさせる。やはり、怖い……。
「さあ、アトラス。そこの下郎を懲らしめなさいませ!」
シャルロットの声を合図に、アトラスが羽をバタバタと広げると、そのまま飛ばずに突進して来る。その勢いと迫力に、フィオナの身体は強ばり動けない。
すると、瞬間身体がフワリと浮いた。オリフェオがフィオナを抱き上げたのだ。立たせてくれると、いきなり突き飛ばされた。
「っ⁉︎」
地味に痛い……。
突然の事に踏ん張れず、フィオナは少し離れた場所に尻餅をついた。いくら何でもこれは酷い、と思いながら顔をあげると、オリフェオはフィオナをまるで庇う様に前へ出てアトラスと対峙していた。
「⁉︎」
もしかして、助けてくれた……?
だが、あんなに大きく獰猛そうな鳥相手に、彼は丸腰だ。このままではオリフェオが、危険だ。
「オリフェオ殿下っ」
フィオナがそう叫んだと同時に、アトラスがオリフェオまで到達しそのまま襲い掛かる。
「え……」
と思われたが、オリフェオを素通りしてフィオナに向かって来た。
「ア、アトラス⁉︎何してますの⁉︎」
「待て‼︎相手は私だっ」
シャルロットとオリフェオの焦る声が聞こえて来た。フィオナは慌てて立ちがろうとするが……まさかの腰が抜けて立ち上がれない……。こんな時に、本当に情けない……。
そうしている間にも、アトラスが迫って来るのが見える。
もしかして、このまま食い殺されてしまうのかも知れない……そんな事を他人事の様にボンヤリと思った。
最期に、ヴィレーム様に会いたかったな……。
気が付けばアトラスが目の前にいた。シャルロットが手を構え、何かしようとしているのが視界に入る。オリフェオが急いでこちらへ向かってこようとしているのが見えた。何時もより流れる時間がゆっくりと感じた。
グワッ‼︎
「ヴィレーム、さまっ……」
フィオナは身を守る様にして、身体を縮こませる。目をギュッとキツく瞑り顔を伏せた。
◆◆◆
ガチャンッ。
「あ……」
ヴィレームの手からカップが滑り落ちた。まだ半分程残っていたお茶と割れたカップの破片が床に散らばる。
「何をなさっているんですか。仕事を増やさないで下さい」
怒られた……。
普通こう言う時、主人の心配をするものではないか?と不満に思うが、クルトはそう言う奴だ。ため息を吐く。
「ため息を吐きたいのは私の方です」
「……」
割れたカップを片付けながら、更に嫌味を言われた。ヴィレームは、暫くクルトが片付けている様子をボンヤリ眺めていた。
今日は頑張った甲斐あって、大分仕事が捗った。今夜はもう絶対仕事はしない!フィオナが帰って来たら、二人でのんびりイチャイチャして過ごす!
そんな風に考えたら、無意識に頬が緩んできた。
「ヴィレーム様、顔がダラシないですよ。まだまだ仕事がございます。気を抜かずにず、確りなさって下さい」
「……分かってるよ」
はぁ……早く、フィオナ帰って来ないかなぁ……。
0
お気に入りに追加
314
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞


お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。


究極の雨男で疎まれていた俺ですが異世界では熱烈歓迎を受けています
まつぼっくり
BL
ずっとこの可笑しな体質が嫌だった。でも、いつかこの体質で救える命もあるんじゃないかと思っていた。
シリアスそうでシリアスではない
攻 異世界の虎さん✕ 受 究極の雨男
ムーンさんからの転載です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる