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原点回帰
無駄な命なんて存在しない
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そもそも俺、”砂漠の国”ってものに対して、元々ぼんやりとしたイメージしか持ってなかったんだよなあ。
砂漠の国って、主にサウジアラビア辺り? ドバイの石油王とかのイメージだけど。ドバイって具体的にどこかと訊かれたらちょっと困る。
あと、エジプトも砂漠だったっけ?
といっても、テレビでは映らないようにしてるけど、有名なスフィンクス像の前にはフランチャイズ店が並んでいると聞いた。
今は砂に埋もれてるけど。ピラミッドが建った当時のエジプトは、緑が多くジャングルみたいだったらしい。何千年かで、砂漠化しちゃったんだ。
プレート移動とかもあるし、色々移動するもんなんだな。
歴史や地理は受験に関係ない科目だからって、積極的に覚えようとしなかったのを後悔する。
本は好きで、雑学系のなら、よく読んでたけど。
もっと、世の中の色々なものに目を向けておけば良かったと、今になって思う。
だって。
目の前の光景がカオスすぎる。
次に作ったオアシスは、実際にオアシスにある砂漠の国をいくつか見てから作ったものだから、わりとこの世界の植生と違和感ない感じにできたけど。
ここは酷い。ほんとに酷い。
思わず頭を抱えたくなるほどだ。
芝生とか、砂漠に生えたらすぐに枯れてしまいそうな植物も、何故か元気に生えてる。
タンポポとか生えちゃってるし!
それと何故か、前に作った時よりもオアシスが拡がってる気がするんだけど……。
気のせいだよな?
こんなの、有り得ないって。
もう今更だけど。
まあいいか! 正しい植物なんて、誰も知らないだろうし!
と開き直ってみる。
†††
「素晴らしいな」
オアシスを眺めていたアーディルが呟いた。
「我々は、生きるのに必要のない生物を不要なものとして、見殺しにしてきた」
人類に残された水は、食糧は。
無限じゃないから。
自分たちが生きるので精一杯だから、という理由で。
自分たちの生活に最低限必要な植物や生物だけ、取捨選択して生かすようにした。
その結果。
色々な生物が滅びた。
それと知らず、根を張り、水を保持していた植物を失い。
せっかくのオアシスを枯らすことになったりもした国もあったという。
そういえば。
どこだったか、外国で。家畜を襲う狼を駆除した結果、広大な森が消えたという話を聞いたことがある。
天敵のいなくなった、鹿などの草食動物が森を食い荒らした結果、草食動物が増えて。新芽までも食い荒らされて、森が枯れてしまったんだ。
無駄な生物なんて、微生物のひとつだっていないんだ。
むしろ、余計な手を加えたり、私欲で狩ったりして色々な生物を絶滅に追い込んだ人間が一番無駄な生き物のように思える。
ただ邪魔なだけに思える蚊やハエだって。それを餌にしている生き物がいる。その生き物を餌にしてる生き物も。
そして生き物は死んで。その死骸を食べる動物や、昆虫。それを分解する微生物によって、植物は育ち、森は栄養を貯えるんだ。
そうやって、みんな、食物連鎖によって生きているんだから。
そのことは、肝に銘じておかなくちゃ。
自分の好き嫌いで、適当な生き物を発生させてはいけないって。
砂漠になった世界を再生させるって、とんでもないことだったんだな。
……俺、もしかしなくても。
身に余る、とんでもない能力を授かっちゃったんじゃないか?
まさか”オアシスを産む能力”が、ここまで凄いものだなんて思わなかった。
水と植物だけじゃなく、生物まで発生させることが可能なんて。
神様、いくら何でもサービスしすぎだって!
「ただ鳴き声を楽しみ、見た目を愛でる。これが、心の余裕というものなのだな」
アーディルは微笑みを浮かべながら俺を見た。
「夕陽が落ち行く砂漠が美しいことも、先程初めて気付いた」
俺が、見てたから?
実は現実逃避半分だったけど。綺麗だよな。光の屈折で、色が変わるのも面白い。
「ミズキのお陰で、これからの世界を楽しみに思う」
夕陽を浴びたアーディルも、すごく綺麗だ。
……うん。
アーディルと一緒なら。
俺は、間違えたりしない。
この世界を、水と緑。
それから、様々な生物で。この砂漠の世界をいっぱいに満たしてみせるよ。
†††
オアシスの傍で一泊して。
朝早くに、ハムサ国へ向かった。
ハムサ国へ近づくと。アルバ国に比べて、少し涼しいような気がした。
涼しい、といっても、ほんの僅かな差なんだけど。
緯度のせいかな? 地図でいえば、北極の辺りだったし。
この世界にも太陽と月があるのは見てわかる。一日の感覚も似てるし。
同じように公転してるのかなあ?
星が多すぎて、よくわからなかったけど。
水金地火木土天海、と。太陽をとりまく惑星も同じなのかな?
月や木星の引力により彗星や小惑星とかの衝突を防いでたり、惑星の位置がちょっとでもずれてたら生命が発生できなかったり。
地球っていうのは奇跡的なバランスで成り立ってる惑星だっていうよな。
ここもそうだとか?
……あまり深く考えすぎない方がいいかも。
頭爆発しちゃいそうだ。
何せ、魔法の存在する異世界なんだし。
実は太陽とかは神様が作った火の玉だったとしても驚かないぞ。
「見えてきた。あれがハムサ国だ」
アーディルが示した先には、ピラミッドみたいな形をした巨大な建造物があった。
でも、天辺には吹き流しみたいなものがたなびいてる。
……風もないのに?
砂漠の国って、主にサウジアラビア辺り? ドバイの石油王とかのイメージだけど。ドバイって具体的にどこかと訊かれたらちょっと困る。
あと、エジプトも砂漠だったっけ?
といっても、テレビでは映らないようにしてるけど、有名なスフィンクス像の前にはフランチャイズ店が並んでいると聞いた。
今は砂に埋もれてるけど。ピラミッドが建った当時のエジプトは、緑が多くジャングルみたいだったらしい。何千年かで、砂漠化しちゃったんだ。
プレート移動とかもあるし、色々移動するもんなんだな。
歴史や地理は受験に関係ない科目だからって、積極的に覚えようとしなかったのを後悔する。
本は好きで、雑学系のなら、よく読んでたけど。
もっと、世の中の色々なものに目を向けておけば良かったと、今になって思う。
だって。
目の前の光景がカオスすぎる。
次に作ったオアシスは、実際にオアシスにある砂漠の国をいくつか見てから作ったものだから、わりとこの世界の植生と違和感ない感じにできたけど。
ここは酷い。ほんとに酷い。
思わず頭を抱えたくなるほどだ。
芝生とか、砂漠に生えたらすぐに枯れてしまいそうな植物も、何故か元気に生えてる。
タンポポとか生えちゃってるし!
それと何故か、前に作った時よりもオアシスが拡がってる気がするんだけど……。
気のせいだよな?
こんなの、有り得ないって。
もう今更だけど。
まあいいか! 正しい植物なんて、誰も知らないだろうし!
と開き直ってみる。
†††
「素晴らしいな」
オアシスを眺めていたアーディルが呟いた。
「我々は、生きるのに必要のない生物を不要なものとして、見殺しにしてきた」
人類に残された水は、食糧は。
無限じゃないから。
自分たちが生きるので精一杯だから、という理由で。
自分たちの生活に最低限必要な植物や生物だけ、取捨選択して生かすようにした。
その結果。
色々な生物が滅びた。
それと知らず、根を張り、水を保持していた植物を失い。
せっかくのオアシスを枯らすことになったりもした国もあったという。
そういえば。
どこだったか、外国で。家畜を襲う狼を駆除した結果、広大な森が消えたという話を聞いたことがある。
天敵のいなくなった、鹿などの草食動物が森を食い荒らした結果、草食動物が増えて。新芽までも食い荒らされて、森が枯れてしまったんだ。
無駄な生物なんて、微生物のひとつだっていないんだ。
むしろ、余計な手を加えたり、私欲で狩ったりして色々な生物を絶滅に追い込んだ人間が一番無駄な生き物のように思える。
ただ邪魔なだけに思える蚊やハエだって。それを餌にしている生き物がいる。その生き物を餌にしてる生き物も。
そして生き物は死んで。その死骸を食べる動物や、昆虫。それを分解する微生物によって、植物は育ち、森は栄養を貯えるんだ。
そうやって、みんな、食物連鎖によって生きているんだから。
そのことは、肝に銘じておかなくちゃ。
自分の好き嫌いで、適当な生き物を発生させてはいけないって。
砂漠になった世界を再生させるって、とんでもないことだったんだな。
……俺、もしかしなくても。
身に余る、とんでもない能力を授かっちゃったんじゃないか?
まさか”オアシスを産む能力”が、ここまで凄いものだなんて思わなかった。
水と植物だけじゃなく、生物まで発生させることが可能なんて。
神様、いくら何でもサービスしすぎだって!
「ただ鳴き声を楽しみ、見た目を愛でる。これが、心の余裕というものなのだな」
アーディルは微笑みを浮かべながら俺を見た。
「夕陽が落ち行く砂漠が美しいことも、先程初めて気付いた」
俺が、見てたから?
実は現実逃避半分だったけど。綺麗だよな。光の屈折で、色が変わるのも面白い。
「ミズキのお陰で、これからの世界を楽しみに思う」
夕陽を浴びたアーディルも、すごく綺麗だ。
……うん。
アーディルと一緒なら。
俺は、間違えたりしない。
この世界を、水と緑。
それから、様々な生物で。この砂漠の世界をいっぱいに満たしてみせるよ。
†††
オアシスの傍で一泊して。
朝早くに、ハムサ国へ向かった。
ハムサ国へ近づくと。アルバ国に比べて、少し涼しいような気がした。
涼しい、といっても、ほんの僅かな差なんだけど。
緯度のせいかな? 地図でいえば、北極の辺りだったし。
この世界にも太陽と月があるのは見てわかる。一日の感覚も似てるし。
同じように公転してるのかなあ?
星が多すぎて、よくわからなかったけど。
水金地火木土天海、と。太陽をとりまく惑星も同じなのかな?
月や木星の引力により彗星や小惑星とかの衝突を防いでたり、惑星の位置がちょっとでもずれてたら生命が発生できなかったり。
地球っていうのは奇跡的なバランスで成り立ってる惑星だっていうよな。
ここもそうだとか?
……あまり深く考えすぎない方がいいかも。
頭爆発しちゃいそうだ。
何せ、魔法の存在する異世界なんだし。
実は太陽とかは神様が作った火の玉だったとしても驚かないぞ。
「見えてきた。あれがハムサ国だ」
アーディルが示した先には、ピラミッドみたいな形をした巨大な建造物があった。
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……風もないのに?
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