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ワーヒド国にて

触れ合う肌

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「っく、や、やぁ、」
「鳴き声も愛らしい。もっと さえずるが良い」

鳴き声とか、囀るとか。俺は鳥じゃないぞ。
意味わかんない。


……嘘だろ。
男に。ちんこ握られて、擦られて。一方的に、無理矢理されてるのに。

こんな、気持ち良くなってるなんて。


王様が上手すぎるから?
多分そうに違いない。経験値の差だろう。

これだけの美形なんだから、数百人単位の相手と経験していてもおかしくない。
……変な病気持ってないだろうな?


†††


「邪魔な、」
長い裾をたくし上げるのが面倒だったのか、服の前を、曲刀で切って開かれてしまった。

何てもったいないことをするんだ。
これ、たぶん神様がくれた服だからな? 罰当たるぞ!?


「ふふ、ここ・・の色も、淡く薄いな? 触れられたことなど無さそうだ……」
乳首の先を、ぐにぐにとこねるようにされて。

「ひゃ、」
変な声が出てしまう。

いや、色の濃淡は単にメラニン色素の問題で、経験とは無関係だからな? 摩擦で黒くなる場合もあるだろうけど。……経験は、確かに無い。悪かったな!


切り裂かれた服を、左右にはだけられて。
首とか胸とか、あちこち舐めたり吸ったりされて。身体の力が抜けていってしまう。

「く、くすぐったいから、やめ、」
男の胸なんて不要なものだと思ってたのに。くすぐったい、というか。何だか変な感じがする。

「何と甘い肌だ……」
舌を這わせながら囁かれて、ぞくぞくする。

肌が甘い? そんなわけないだろ。
……でも。王様とのキスは、甘かった。砂糖でも舐めたのか?

「も、やめろ、……って、」
口では嫌だ、やめろと言ってるものの。

俺が本気で嫌がっているわけではないと、王様には伝わってしまってるんだろう。
嫌がっても、くすくすと笑われるだけだ。


だって。他人から触れられたことなんて、ほとんどない。何もかも未経験の身体だ。
耐性なんか、全くない。

だから?
だから、こんな風に力が抜けてしまって、抵抗できないのか?


†††


王様は、俺の両足を大きく開かせて。
ふっ、と笑った。

「……毛も薄い。まだ子供のようだが。精通は済ませているのか?」

子供のようだ、って。どこを見て言ってるんだ!?
失礼な!

「そ、そんなの、とっくに済ませてるってば!」


俺を何歳だと思ってるんだ。
って、18歳だって言ったよな!? それが信じられないほどアレか? ちっちゃいってのか!?

毛が薄いのは、人種的なものだと思う。外国人があちこちモサモサすぎるんだよ。ホルモン過多なんじゃないか?
王様と一緒にいた男たちは、髭モジャな上、指や手の甲までもっさりしてたな。

剥けてないのは……ほっといて欲しい。日本人の大半は仮性だっていうし。普通だし。


「なら良い。精通も済ませておらぬ幼子おさなごに手を出すのはさすがにまずいのでな。改めて確かめたのだ。……言っておくが、この私がこうして”奉仕”など施してやるのは、この世で唯一、そなただけだぞ?」
王様は、意味深な笑みを浮かべた。

……奉仕・・、って?
まさか。


「……ええっ!?」

王様の口が、とんでもないモノを含んだ衝撃に。
心臓が停まるかと思った。

お、俺のちん……、嘘だろ!?
そんなモノ、王様が口にしていいようなモノじゃないから!


未知の快楽と。
あまりの衝撃で、俺はもう、失神寸前だった。

金色の、ゆるやかなウエーブのある髪が、俺の足の間で揺れて。太股をくすぐっている。

王様の、あの、形の良い唇が。俺の、アレを。
くわえてる、だなんて。


不敬すぎる……!


何だよ、この光景。
感覚もそうだけど。視覚的にも、とんでもなさすぎる。

夢なら醒め……いや、せめてイくまでは醒めないで。


†††


口の中は、熱くて。
とろけてしまいそうだ。

他人から口でされるのって、こんなに気持ち良いことなんだ。


こんな、最上級の快楽を知ってしまって。
自分でして・・も、満足できない身体になったら、どうしてくれるんだ!

責任取れ……って、妃にするって言ってた。責任取る気満々じゃないか。
ああもう、どうしようもないじゃん!


「……くっ、ああっ、」
瞬殺だった。

王様は、俺が堪えきれずに出してしまったのを、ごくりと飲み込んでしまった。


……信じられない。
あんなの、飲んじゃうなんて。

無理矢理えっちなことをされたというのに、むしろ罪悪感を覚えてしまうのは何故だろう。
嫌悪感がないどころか、気持ち良かったからかな?


「……随分と濃かったが。出した・・・のは初めてか?」

舌なめずりして。
やたらエロい視線を向けられた。

初めてって。
いや、さっき、精通はとっくに済ませたって言っただろ! ちゃんと人の話を聞けっての。

「んなわけな……っ! ひゃん、」
また、パックンってされて。変な声が出てしまった。

この人、一国の王様のくせに、男のアレを口でする・・ことに躊躇なさすぎじゃないか!?
信じられない。


奉仕、って言ってたっけ。
人にするのは初めてだっていうけど。された経験はいっぱいあるんだろうな。

俺は絶対無理だ。
こんなこと、出来ないって。


「ミズキ……、」
興奮して、欲情した顔。

何か油のようなもので濡らしたようで、ぬるぬるした指が。
思わせぶりに、俺の尻を撫でている。


色事にうとい俺にも、王様がこれから、何をどうしたいかは理解できた。
固いの、当たってるし。

挿入、したいんだよな? 王様のアレ・・を。そこ・・に。


怖いけど。
どうしてだか、絶対嫌だ、とは思わなかった。

そんなモノしゃぶらせちゃってごめんなさい、とか。
そんな場所に王様の指突っ込ませてごめんなさい、とは思ったけど。

拘束されて。
一方的に、好きなようにされてるのに。犯されそうになってるのに。


たぶん、頭がどうかしてしまったんだ。初めての快楽で。

だって。
脳みそ溶けそうなくらい、気持ち良い。
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